計画は驚くほど順調に進んでいったわ。マリコはタフでおねだり上手な女よ。たった十日で十二回もやったそうよ。「俺のカム飲みやがったよ、あのクソアマ。ディープスローティングしたままゴクッとな。ベアバックでバットファックしてやったし、中で出してやった。日本人の女って、ベッドの上じゃ何でもありだよな。アア、イクー。コワレチャウー」(GUFFAWS)(INHALES)彼は私の中に入れたままそう言ったの。

 幕が開いてから既に三週間が経とうとしていた頃だったわ。夜中の二時過ぎ、私の携帯が鳴り響いたの。

 「焼き加減はいかが致しましょうか?」ってビル。

 「生で頂くわ」

 「かしこまりました、お嬢様」

 彼の滞在していたホテルまで、パパの車でぶっ飛ばしたわ。

 血塗れの新聞紙。(GIGGLES)彼自身がしたんではないって言ってたわ。彼の仕事仲間が二十万で引き受けたんですって。物騒になったものね、この国も。

 ヒロシの指、私がひととおり遊んでから、犬のアリスにあげたわ。でも彼女、興味を示すだけで口に含もうとはしなかったのよ。結構グルメみたいね。ピラニアでも飼っていれば良かったわ。喜んで喰らいついたでしょうに。(GIGGLES)どう処分しようかと迷った挙句、ティッシュに包んで公園のトイレの汚物入れに捨てたわ。

 M.A.

 そうよ。(GIGGLES)好きだわ、その言葉。(GASPS)思い出しただけでこんなにゾクゾクするわ。アソコもグチョグチョになってしまいそうよ。(CACKLES)

 私の華麗なる復讐劇の第一幕は男探し。金次第では平気で親をも殺せる危険な男を見つける為に、夜の街を彷徨ったわ。それほど時間はかからなかった。丁度いい男とクラブで知り合ったの。ウイリアムっていう白人よ。危険な匂いがプンプンしてたわよ。彼は際立ってハンサムというわけではなかったけど、馬鹿な女が好意を持つには充分な容姿と肉体を備えていたわ。

 私、彼と寝たわ。まずは親密な関係になっておいた方が好都合だと判断したからよ。私のようなとび抜けていい女、いくらセックスの玩具として白人が重宝されるこの国でも、滅多にお目にかかれないはずよ。私は彼に餌をあげたの。麻薬よりも常習性の強い餌を。

 セックスの際、彼にコンドームを使用するように促したわ。だって私、あのターミナル・ディジーズに罹っていたもの。そうしたら、彼もそうだって。それを知っていながら、毎晩違う女と寝てるんだって。さすがに上手だったわよ、場数踏んでるから。(CHUCKLES)私もかなり奮闘したわ。彼に何度も頂点を見せてあげたわ、体のあらゆるパーツを駆使してね。

 ベッドに素っ裸で横たわったまま、私は彼にビジネスのオファーをしたわ。当初の目的はヒロシの小指を切断すること。指が足りなければ、ピアニストとしては致命的でしょ?(GIGGLES)でも、ビルが病気持ちだってことが判明したものだから、少し付け足しをしたの。まずはヒロシの女、マリコに病原体を植え付けるの。普通に知り合ってセックスするだけよ。レイプじゃないわ。それで二百万の報酬。それから、ヒロシの小指に三百万。彼は即オッケーよ。

 (LIGHTS HER 4TH CIGARETTE)

 マリアに生まれ変わった私は、退院するとヒロシとすぐに連絡を取ったわ。隣町のサ店。知ってる顔に出くわしたくなかったの。全てを生々しく語ってあげたわ、彼の仕草や態度を伺いながらね。私がひととおり話し終えると、閉ざされていた彼の口が開いたの。「これからどうするつもりだ?」って。(SCOFFS)私は鼻で笑いながら、バッグから取り出したヴァージニアスリムに火を点けたわ。ヒロシは絶句よ。まあ、当然よね。それまでハエの一匹すら殺せなかったお嬢様が、彼の顔に白い煙を吹きかけたんですもの。驚きを隠そうと必死で平静を装う彼に、私は予め用意しておいた台詞を吐いたわ。「レイプが目的だったのなら、何であんなに腹を蹴られたのかしらね。まるで私を流産させるのが目的だったみたいよね。あなたもそう思わない?」彼の切れ長の瞳からは怒りと焦りが読み取れたわ。「マリコさんっていったかしら、あなたの彼女。彼女がレイプされないように配慮してあげなさいよ。あ、彼女はされないか、妊娠してないから」明らかに動揺していたわ。「ねえ、知ってる?罪は償わなければいけないものなのよ」そう言い捨てると、私はクールに店を出たの。

 抑えようのない怒りが込み上げたわ。何かを思いっきり噛み締めたくて、バッグからハンカチを取り出すと、それを口に放り込んだわ。体が震え、視界が曇り、呼吸すら忘れていたわ。運転どころではなかった。

 学校は辞めたわ。ピアノも車も売り払った。ひろ子が愛用していたダサい洋服も捨てたわ。私は完全に生まれ変わったのよ。ショパンやユーミンにも別れを告げたわ。中山美穂の髪型を真似るのもやめた。

 街を離れる準備を着々と進めていたわ。だけどね、その前にひとつだけやっておかなければならないことがあったのよ。