伊岡瞬『いつか、虹の向こうへ』2005・角川書店-元刑事の中年男子と4人の同居人の物語 | ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

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 2021年冬のブログです

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 伊岡瞬さんの『いつか、虹の向こうへ』(2005・角川書店)を読みました。

 面白かったです。

 何日か前に、本書の感想文をあるかたのブログで読ませてもらって、面白かったのでまた読みたくなり、たしかあったよな、と思いながら本棚を探してみたら、下のほうにひっそりとありました。

 2005年の本で、貧乏なじーじにはめずらしく単行本、ひょっとすると古本屋さんで購入したのかもしれません。

 なかみは当然(?)、すっかり忘れていて、「いつか、虹の向こうへ」という少し格好良すぎる題名で敬遠をしていたのかもしれません(伊岡さん、ごめんなさい)。

 しかーし、いい小説です。

 一日で一気に読んでしまいました。

 あらすじはあえて書きませんが、登場人物の5人がそれぞれ哀しい過去を抱えながらも、新しい出会いとある事件をきっかけに、少しだけ前を向いて生きることなります。

 人は生きているだけで、悪意はなくても他人を傷つけてしまうかもしれないということ、そういう哀しみをうまく描いています。

 そして、哀しいことに悪意のある者も少なくないことも描きます。

 そこで試されることは何なのか、考えさせられます。

 贖罪、赦し、…。

 重たい課題ですが、希望といえないまでも、前を向ける何かは感じられそうな気がします。

 そういうことを考えたり、思ったり、感じたりできる、いい小説だと思います。    (2021.2 記)