山中康裕『心理臨床学のコア』2006・京都大学出版会-山中さんの「熱い」思いの本です | ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

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 2013年のブログです

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 なぜか読み落としていました。とてもいい本です。熱い本です。

 山中さんですから、当然といえば当然ですが…。

 いろいろと勉強になったのですが、今回、一番、刺激を受けたのは、「記憶」に関しての部分でした。

 「記憶というものは、感情に色づけられた幾多の別の経験とともに集積していくときに、変容していくことがあるものであることが分かる」との一節を読んだ時には、今までの疑問がパッと氷解するような体験をしました。

 精神分析でも、同じような議論がなされていると思うのですが、人間の記憶の不思議さや複雑さに驚かされます。

 同じ現象を同時に見ているはずなのに、「記憶」は全く違う、そんな経験を日常的にしている者にとっては、本当に大きな示唆でした。

 今後、さらに考察を深めたいと思いました。  (2013.5 記)

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 2020年5月の追記です

 久しぶりに再読をしました。7年ぶりになるのでしょうか(山中さん、ごめんなさい)。

 いい本なのに、もったいないことをしました。

 読んでいると、BS放送大学の「イメージと心理療法」の講義の中で山中さんが話されていることが同じように強調されたりしていて、なかなか印象深く再読をしました。

 今回、印象に残ったことの一つは、山中さんの「内閉」論とおなじみの「窓」論。 

 いずれも、「ひきこもり」の意味を深く理解する見方です。

 遊戯療法家の田中千穂子さんと同じく、「ひきこもり」に積極的な意味を読みとる大切な視点ではないかと思われました。

 もう一つは、遊戯療法についての再考。

 プレイセラピーの意味の再確認や表現療法としての遊戯療法、さらに、箱庭療法と遊戯療法との関係などなど、魅力的な考え方が示されていて、刺激になります。

 さらに深く勉強をしていこうと思います。  (2020.5 記)