大手町のゴースト2024 58 何をしていた? | のむりんのブログ

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私のいろんな作文です。原則として日曜日、水曜日および金曜日に投稿します。作文のほか、演劇やキリスト教の記事を載せます。みなさまよろしくお願いします。

58

 

 

 

 

「はい」

 

「何をです?」

 

「申し上げにくいことをです、私の知っている、課長に関する申し上げにくいことを、すべて、です。

 

ここの刑事さんたちにね、申し上げたんです」

 

「朝倉さん!」

 

美男刑事が割って入りました。

 

「そんなこと、いっちゃいけません。証言者には、どんな危害が加えられるかわかりませんから」

 

  朝倉は首を横に振り、

 

「いいえ、いいんです。危害っていったって、この課長から、どんな危害がくるっていうんです」

 

と言って、また課長を乱暴に指差しました。

 

「背後に、どんな奴等がいるか、わかりません」

 

と、美男刑事が叫びました。

 

「そ・・・そうだ・・・よ」回転数狂ったテープの声が同意し、

 

「そうよ、ボクもそう思うよ!」と、白痴少年の嫌なキンキン声が続きました。

 

「僕らも、やられちゃったんだから、こいつに」

 

「やられた?」課長は否定し、「とんでもない、殺られそうになったのは、こっちだ。刑事さん、さっき、いったでしょう、

 

私の首に刃物をたてて殺そうとした奴がいるって!

 

そいつらですよ、刑事さん、そいつら、逮捕されて、そこにいるんじゃないんですか?」

 

ははは、と愉快そうな警視の笑い声が響きました。

 

 

「いや、課長、頓狂なキャラをよそおって、あんた意外に嫌な役者だね、さっきの熱田君との会話の件といい・・・」

 

課長は口を大きくあけて、

 

「熱田!そうだ、熱田くん、隣の部屋のあれはいったい。あれは熱田くんの・・・」

 

「首だ」

 

「そ、そうでしょう、残酷な。誰がいったいあんなにしてしまったんだ」

 

「熱田自身だよ」

 

「そんな、馬鹿な、自分で自分の首を切り離せるか」

 

「装置があれば、やれるのさ」

 

警視は悲しそうな目をして、

 

「とんでもないものにとりつかれて、自分でやったのさ。よくやるよ。やっぱり危険思想なんだ。そして、あんた・・・」

 

哀れむような目で課長を見ました。

 

課長はいいました、「熱田くんは電話してきた、確かにケータイで僕としゃべってた、これは本当だ」

 

「狂人の危険思想だよ・・・」と、警視はうんざりした顔。

 

「課長・・・・」

 

ふたたび、朝倉課長が、ゆっくりと口を開きました。

 

「何もかも、わかってしまったのよ、刑事さんたちに。私が証言しました。課長と、部長、そして、熱田くんの、関係・・・」

 

  首を横に振り、救いようもないわね、という、その表情・・・

 

「君・・・」

 

さすがの課長も、何か反論せねばいられない気になり、

 

「朝倉さん、何だその顔は?何だか知らないが、とんでもない勘違いをしている、

 

き、君こそ、昨夜、部長と、何をしていたんだ?

 

 

・・・・つづく