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「あなたは、ヒロエさんと同じ年頃の、ティーンだった。
ひょっとして、ヒロエさんみたいに、不幸な目にあったんじゃないんですか。私は、写真を見ました・・・」
洋子は、かっと目を見開いて、私を見た。私はかまわず続けて、
「勝手なことを言いますが。私の想像で。
ジョーは、防波堤の上で女の子を救い、女の子か、あるいは、防波堤でぶちのめしたヤクザの連中から、何かを聞いた。
そして、暴力団のアジトに乗り込んだ。
そこには、ヒロエさんがとらわれていた。
写真にあったようなことが、そこで行われていた。
ジョーは、ヒロエさんを助けに行った・・・。
ひょっとして、あなたも、そこに捕らわれていたんじゃないですか?」
洋子は、グラスにバーボンを注いだ。さらに私は続ける。
「ジョーは、ヒロエさんの命を救った。しかし、ヒロエさんの顔は、あんなになってしまった。
二目と見られないような、醜い顔に。硫酸でも顔にかけられたんでしょうか・・・」
洋子は二杯目のバーボンをあおり、耐えられない、という顔をした。
「失礼、もう少し、いわせてください。
写真は、ミミクソから見せてもらったんです。あとは、彼から聞いた話から、私が考えた話です。
ついでに、ミミクソ君から聞いてしまいました。
あなたは、ヒロエさん母子に、何かと資金援助を続けてきたんですね。
あんな顔にされてしまい、ろくな働き口もなくなったヒロエさんを、ずっと支援してきた。
ヒロエさんは、つくづく不幸な人だ。
十代の頃に、あんな目にあって、それでもやっと、結婚できたのに、その夫も亡くなってしまった。
それから、本当に困窮してしまったヒロエさんを、経済的に援助なさってきた。
ただの友達じゃあできないことです」
洋子は、いよいよ耐えられなくなり、激しく、いった。
「そうだよ!あんまりかわいそうじゃないか、ヒロエったら。
それよりあんた、わかったような顔して、そんな話をして何になるんだ?
聞きたいのはジョーの話だろ?
もう、ジョーは死んでしまったんだ。だから助けてくれる人は、もういない。誰も助けてくれないよ」
「私は、助けたいと思っている・・・さっきは、あいまいな言い方をしましたが、私は、確信しています。
ヒロエさんは殺されたんだ!誰がなぜ、ヒロエさんを殺した?それを知るためには、三十年前の事件から、解明する必要がある。
だから、ジョーのことから調べる必要があるんです。
・・・ショーは、本当は、どうなってしまったんです?」
私の真剣な問いかけに対し、洋子は、疲労した暗い表情、暗い目つきになった。
「あんた、これ以上、ジョーのことを嗅ぎまわったら、殺されるよ」
「・・・・」
「あたしだって、危ない。もう、ジョーは死んだんだ。正義は死んだ」
洋子の口から、「正義」という意外な言葉を聞き、私は少し明るいものを感じて、
「私たちが戦えば、正義は生き返ります」
洋子は驚いたような顔をした。
しかし、すぐに表情を歪めて、小さな声でいった。
「あたしは三十年も戦った。でも生き返らない」
私は、洋子の顔を見たまま沈黙した。洋子がぽつりといった。
「ジョーは、殺されたんだよ」
・・・・つづく

