新庄知慧のブログ

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私のいろんな作文です。原則として3~4日に一度投稿します。作文のほか、演劇やキリスト教の記事を載せます。みなさまよろしくお願いします。

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「あなたは、ヒロエさんと同じ年頃の、ティーンだった。

 

ひょっとして、ヒロエさんみたいに、不幸な目にあったんじゃないんですか。私は、写真を見ました・・・」

 

洋子は、かっと目を見開いて、私を見た。私はかまわず続けて、

 

「勝手なことを言いますが。私の想像で。

 

ジョーは、防波堤の上で女の子を救い、女の子か、あるいは、防波堤でぶちのめしたヤクザの連中から、何かを聞いた。

 

そして、暴力団のアジトに乗り込んだ。

 

そこには、ヒロエさんがとらわれていた。

 

写真にあったようなことが、そこで行われていた。

 

ジョーは、ヒロエさんを助けに行った・・・。

 

ひょっとして、あなたも、そこに捕らわれていたんじゃないですか?」

 

洋子は、グラスにバーボンを注いだ。さらに私は続ける。

 

「ジョーは、ヒロエさんの命を救った。しかし、ヒロエさんの顔は、あんなになってしまった。

 

二目と見られないような、醜い顔に。硫酸でも顔にかけられたんでしょうか・・・」

 

洋子は二杯目のバーボンをあおり、耐えられない、という顔をした。

 

「失礼、もう少し、いわせてください。

 

写真は、ミミクソから見せてもらったんです。あとは、彼から聞いた話から、私が考えた話です。

 

ついでに、ミミクソ君から聞いてしまいました。

 

あなたは、ヒロエさん母子に、何かと資金援助を続けてきたんですね。

 

あんな顔にされてしまい、ろくな働き口もなくなったヒロエさんを、ずっと支援してきた。

 

ヒロエさんは、つくづく不幸な人だ。

 

十代の頃に、あんな目にあって、それでもやっと、結婚できたのに、その夫も亡くなってしまった。

 

それから、本当に困窮してしまったヒロエさんを、経済的に援助なさってきた。

 

ただの友達じゃあできないことです」

 

洋子は、いよいよ耐えられなくなり、激しく、いった。

 

「そうだよ!あんまりかわいそうじゃないか、ヒロエったら。

 

それよりあんた、わかったような顔して、そんな話をして何になるんだ?

 

聞きたいのはジョーの話だろ?

 

もう、ジョーは死んでしまったんだ。だから助けてくれる人は、もういない。誰も助けてくれないよ」

 

「私は、助けたいと思っている・・・さっきは、あいまいな言い方をしましたが、私は、確信しています。

 

ヒロエさんは殺されたんだ!誰がなぜ、ヒロエさんを殺した?それを知るためには、三十年前の事件から、解明する必要がある。

 

だから、ジョーのことから調べる必要があるんです。

 

・・・ショーは、本当は、どうなってしまったんです?」

 

私の真剣な問いかけに対し、洋子は、疲労した暗い表情、暗い目つきになった。

 

「あんた、これ以上、ジョーのことを嗅ぎまわったら、殺されるよ」

 

「・・・・」

 

「あたしだって、危ない。もう、ジョーは死んだんだ。正義は死んだ」

 

洋子の口から、「正義」という意外な言葉を聞き、私は少し明るいものを感じて、

 

「私たちが戦えば、正義は生き返ります」

 

洋子は驚いたような顔をした。

 

しかし、すぐに表情を歪めて、小さな声でいった。

 

「あたしは三十年も戦った。でも生き返らない」

 

私は、洋子の顔を見たまま沈黙した。洋子がぽつりといった。

 

「ジョーは、殺されたんだよ」

 

 

・・・・つづく