大手町のゴースト2024 50 真の警察 | のむりんのブログ

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私のいろんな作文です。原則として日曜日、水曜日および金曜日に投稿します。作文のほか、演劇やキリスト教の記事を載せます。みなさまよろしくお願いします。

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-実は、課長の状況は、私、ぜんぶ、見えています-

 

「なに?」

 

-丸見えです。先も見えます。課長、もうすぐ殺されます。嘘でもいいから、何か白状しないと、殺されます、そう思います-

 

「・・・」

 

驚き、言葉がでないでいると、刑事が「熱田」という名前に反応して、課長をのぞきこんでいました。

 

警視も腕組みして、ことのなりゆきに興味をもった様子。

 

-でも嘘も思いつかないでしょう、課長。私が助けます。これ、私からの電話だと、目の前の悪党どもにいってやってください-

 

「はい?」

 

じれったくなったか警視が課長に訊ね、

 

「電話の相手は?」

 

 いってやってください、という強い熱田の声。課長はそれに突き飛ばされたかのように声をあげました。

 

「熱田!私の部下です」

 

「熱田?」かの美男刑事が驚き、「馬鹿な。課長さん、嘘をいっちゃだめだ」

 

「いえ本当です。この声に間違いはない」

 

「そんな馬鹿な」

 

繰り返す刑事に向って、警視がふてくされたようにいう。

 

「ふん、そうか熱田か。課長の部下か。どういうことだろうね。まあいい、何の用件だね、話を続けなさいよ」

 

 課長は携帯にかじりつく。

 

「熱田くん!それで、用件は?」

 

-真実を暴露する-

 

「は?」

 

-その連中こそ真の警察です-

 

「真の警察?」

 

-国家が生み出した、国家に奉仕する、国家のための警察、みんなが作り出した怪物の警察。

 

話せば長くなるが、中身は簡単な話。共同幻想が生み出した現実の暴力装置。

 

しかし僕はこれに対峙する、新しい何か-

 

「熱田くん。君、やっぱり、おかしい。大丈夫か」

 

-課長!そいつらに、いってやってください、僕は生きているって。生きているから見にこいって。そして書類はそこで渡してやるって-

 

 警視が怒鳴る、「何だといってるんだ、熱田くんは?」

 

「生きているって。生きているから見に来いって、そこで書類は渡すと・・・」

 

と、課長は熱田の言葉を反復しました。

 

「ふん」警視は吐き捨てるように、「どこに行けばいいんだ?」

 

・・・地獄だよ

 

  と、また、あの、課長の内なる伝導音声・・・。

 

・・・つづく