大手町のゴースト2024 49 うんざりだ | のむりんのブログ

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私のいろんな作文です。原則として日曜日、水曜日および金曜日に投稿します。作文のほか、演劇やキリスト教の記事を載せます。みなさまよろしくお願いします。

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「そうだよ、やめなさい、いじめは駄目だよ、みんなあ!逮捕しちゃうぞ」

 

どっと女たちの笑い声が聞えました。課長は、かの美男刑事を見た。刑事は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

 

「つまんないなあ・・・」

 

女の一人がつぶやくと同時に、また、タイヤのパンク音がしました。

 

ぱん、ぱん、と二発鳴ったあと、少し間をおいて、今度は爆竹が鳴るように、続けて数え切れない破裂音が鳴りまくった、

 

「くうわああああ」という男の恐ろしい悲鳴が、その破裂音の合間をぬって、一瞬聞え、しかしすぐに、ぱぱぱぱぱぱぱん、という連続射撃の音にかき消された。

 

  静寂・・・

 

  硝煙の、鼻をつくにおいが、あたりにたちこめました。

 

「もう、終わり?・・・」

 

  ぽつりと女の声。

 

「ねえ、もう、おわりなのかしらあ?」

 

 すねるような女の声・・・

 

彼女たちは、手に手に短銃を持って、警視の方を見た。警視はにやりと笑い、

 

「もう、弾がないでしょ?」

 

「ないの?あるでしょ、まだ。頂戴よ。今日はもう終わりなの?ねえ、頂戴よ」

 

 警視は、困ったねえ、という顔で肩をすくめ、課長の顔を見ました。

 

「次は誰をやるの?それとも、終わりに、します?」

 

その目は、終わりでなければ、課長が次の獲物だといっていたのです!課長は背筋が凍りつき、完璧に固まった。

 

「終わりにしたいなら課長さん、早くすませましょう、話してください、汚職のこと」

 

「そ、そんなことをいわれても、私は、何も・・・」

 

「何も?知りませんか?それじゃあ、終わりにならないぜ

 

 迫力のある顔で、警視が唸った。

 

そのとき、ぴぴぴ、という音。携帯?課長の胸ポケットで携帯のベルが鳴ったのです。

 

「お?何か鳴ってますよ、課長。電話だ。出てもらっていいですよ。ひょっとして、何かのてがかりになるかな?さあ、でなさい」

 

強制され、課長は震える手で携帯を懐から取り出す。

 

「も、もしもし・・・」

 

携帯の向うから、聞き覚えのある声がしました。

 

-課長、おひさしぶりです。-

 

「 熱田くん!」

 

-いま、よろしいでしょうか。おとりこみ中でしょうか。でも、いいかげん、うんざりしてきたんじゃありませんか、課長?-

 

「うん。まったく、そうだ、とりこみ中だ、うんざりだ」

 

 

・・・・つづく