ヤシカの Half 14 の修理の続きです。

 

 

私の判断ミスでハンダ付けに塩化亜鉛を含んだフラックスを使ってしまったためにファインダー内の露出計の針が動かなくなってしまいました。

 

 

このため露出計ユニットを部品取り機から移植する事にしました。

 

 

しかしファインダー用の露出計の針は事情に繊細なため、すぐに曲がったり折れたりしてしまいます。

 

 

そこで先に無限遠のピントの再調整を行います。

ピントの再調整の前に現在の状態を確認しましょう。

まず前後玉を仮付けした前板をボデイに仮付けします。

ってあれ?

レンズがやたらと透き通っているような気がします。

キレイだ。。。

 

 

ピントスクリーンを取り付けて

 

 

三脚を取付けて...。

それにしてもなんかやたらと目立つというか気になるレンズだな。

 

 

デジカメをセットして撮影します。

 

 

結果がコレです。

ウゲッ完璧やんか!

再調整の必要はありませんね。

二年前の私はまだ無限遠のピントの再調整のスキルは持っていませんでしたから無限遠のピントの再調整はやっていないはずです。

ということは工場出荷時からこの状態だったという事になります。

素晴らしいというか『当たり!』の個体だったようですね。

 

 

そしてさっきからやたらと気になっていたレンズなんですが…。

青色LEDの光をいろんな角度から透過してみました。

現在の光の状態でも薄クモリが全く無い非常にクリアな状態です。

前玉&後玉セットで光を透過させているのにこれだけクリアなのは驚異的です。

 

 

白い粒粒はクモリではなくレンズ内での反射です。

 

 

なんと素敵な光の色でしょう!

キャノン Demi EE17 の時にはあれだけ薄クモリに悩まされましたが、こちらは全く問題ありません。

このクリアさで更にF1.4という大口径のレンズをハーフサイズカメラに奢るなんて。。。

実に魅力的です!

散々残念ヤシカクオリティなどと揶揄していますがそれでも何度も何度もHalf 14の修理を繰り返すのはこれが理由です!

 

 

露出計の移植が完了しました。

一部変形している場所があって露出計本体の針が動かなくなっていたので力ずくでひん曲げました。

ヤシカは力ずくでひん曲げるパターンがちょくちょくあります。

 

 

前板がボディに装着されました。

 

 

ファインダーが付きました。

 

 

電池室が付きました。

 

と、ここでタイマーが動作していなかった事を思い出しました!

再びシャッターユニットまで分解します⤵⤵⤵

 

雇用はここまでとさせていただきます。

 

 

ヤシカ Half14 の二つのシャッターユニットです。

どちらも試行錯誤しながら分解&組立をして昨日B(開放)がちゃんと機能するようになりました。

 

 

本日(2025年03月04日)は起きたらなんかやたらと寒かったです。

寒い中作業部屋へ赴き早速昨日手を入れたシャッターユニットの動作確認をするとベルハンマーゴールドと黒煙を塗布した方はやはりB(開放)が機能しなくなっていました⤵⤵⤵

ところが!

なんと黒鉛のみを塗布したシヤッターユニットの方までB(開放)が機能しなくなっているじゃないですかぁ!!!

一体どうしてなんだろう?

しばし黙考してから『あっ、もしかして寒いから?』と思い作業部屋の暖房のスイッチを入れて10数分後に再び試てみたらどちらもB(開放)が機能するようになりました。

 

 
こちらは黒鉛のみ
 

 

こちらはベルハンマーゴールド&黒鉛

 

どちらもしっかりB(開放)が機能しています。

しかし温度の影響というか温度が低いとまともに動かなくなるようじゃぁ益々ベルハンマーゴールドのような潤滑油は使えないですね。

それに黒鉛のみの方も機能しなくなるなんて...。

フィルムカメラってこんなに温度に敏感なんでしたっけ?

それとも残念ヤシカクオリティなのでしょうか…。

 

まぁ、それはさておき今回の実験の結果から

ベルハンマーゴールド ✖

黒鉛         ◎

という事になるかと思います。

ベルハンマーゴールドはベルハンマーゴールド自体の性能が悪いのではなく、このような使い方に適さないという意味です。

ほんらいの使用環境下であればベルハンマーゴールドはすこぶる優秀だと思います自動車やバイクであれば使ってみたい箇所が沢山頭に浮かんできます。

5~10回もベンジンを流し込んでようやく機能すようになったという事は大分ベルハンマーゴールドを流し出したという事になるのでないも同然でしょう。

対して黒鉛はドライな環境で使えるので非常に重宝します。シヤッター羽根に振りかけるだけでもかなりの効果がありました。フライホイールの軸に塗布する時はIPAか無水エタノールを含ませてから使えば良いかもしれません。

 

以上となります。

 

 

さて、ここからは約二年前に自分で分解&修理した Half14 を再び修理します。

自分が修理したカメラの二年後はどんな状態になっているかを学べる良い機会だと思います。

ちなみにシリアルナンバーは H48041340 です。

 

 

不具合の原因はファインダー内の露出計の針が動かない事でした。

分解して確認した所、取れて無くなってしまった針を修復するために太さ0.1mmという銅線をハンダ付けするために使ったフラックスのせいです

 

 

フラックスには塩化亜鉛が含まれていたために針をハンダ付けしたアームの軸部を腐食させてしまったんです。

 

 

取付ネジがこんなに錆びてしまっています。

修理に使う材料の成分にも注意をしないといけません。

今回は一つ反省しました。

ここまで錆びてしまってはもうどうしようもありません。

露出計ユニットを丸ごと交換するしかありません。

部品取り機から提供してもらいます。

 

 

しかしベルハンマーゴールドの実験に使った個体がバラバラの状態なので先にこちらを元の状態に近い仮組を行います。

このシヤッターユニットは今後も定期的にチェックして動作確認を行っていきます。

もし今後もずっとB(開放)が機能するようであればベルハンマーゴールドの使用を再考しようと思います。

 

 

もう数十回近く分解&組立しているので動作確認関係なしの仮組だけなら一時間もかかりません。

 

 

露出計ユニットを提供してもらう個体です。

一見キレイなので修理して復活できそうなのですが…。

 

 

このように後蓋の塗装にミミズのような痕があります。

これでは復活させようがありません。

部品取りに使うしかありません。

これは地金が塗装の下で錆びてしまっている時に出る症状です。

ヤシカはこの様な塗装の劣化やその下地の地金の腐蝕している個体が多いですね。

エレクトロ35のブラックボディの塗装なんかは最悪です。

 

 

軍艦を外して露出計本体に直接1.55Vの電圧をかけて動作を確認します。

が…。

何かが変です。

それと露出計の針の形状がちょっと変です。

 

 

ファインダーの蓋となる紙がありません。

私はこのカメラを分解するのは今回が初めてです。

よく見ると接着剤の跡があります。

なぜ蓋の紙がないのでしょうか?

一見したところ過去に分解された痕跡は見当たらないのですが。。。

そしたら床に蓋の紙は落ちていました。

 

 

この小さな基板をUSBポートに差し込むと直流電圧最大15.0Vだったか?まで出力できます。

左のつまみを回して1.55Vにセットします。

 

 

露出計本体は通電していない時は針が右側にあります。

 

 

そして通電させると針が左に来ます。

このことから露出計本体は問題無く動作している事が確認できました。

 

 

前板を外すために底蓋を外すのですが…、電池室の蓋が随分と緑色になっていますね。

となれば

 

 

そうですね

電池が入っていますよね。

 

 

でもこれ、かなりひどいですね。

今までで一番腐食した電池ですね。

全然取り出せません。

 

 

ようやく何とか電池を取り出せましたが、真っ赤に錆びてます!

こんなの初めてです。

 

 

赤錆を大体除去したのですが電極迄錆びてメッキが剥がれてしまっています。

再利用できるかなぁ。

そして驚いたことに電線もハンダ付け部は全く腐食していませんでした!

液漏れはしていなかったってことですね。

 

本日はここまでとさせていただきます。

 

 

昨日完成したヤシカHalf14のシャッターユニットです。

 

 

一晩経過した現在でもB(開放)がちゃんと機能してくれるかどうかこれから確認します。

実は昨日の記事の投稿してからしばらくしてから再び動作チェックをしたのですが、その時点で最初の数回はB(開放)にならなくなってしまいました。

さて、現在はどうでしょうか?

まだ確認はしていませんので結果は判りません。

これからこの記事に投稿する動画を録画しながら確認します。

結果を読者の方と共有するためです。

 

 
やはりB(開放)にはなりませんでしたね。
このように時間が経過するとB(開放)にならなくなってしまうのです。
いままで分解&修理してきたHalf14は全てB(開放)が機能するようになりました。
しかしそれらも上記のように時間が経過するとB(開放)が機能しなくなるのではないかと私は予測しています。
私の想像では早くて3ヶ月後もしくは半年後にはB(開放)が機能しなくなる個体もあるのではないかと思っています。
ですのでこのカメラの販売については『定期的な分解&修理』ありきで販売しなければなりません。
つまり将来B(開放)が機能しなくなったら再び無料で分解&修理をする(ただし分解&修理のためにかかる往復の送料は含まず)という条件で販売するという事になります。
 
動画の録画直後に再びフライホイールとアームの軸部にベンジンを流し込みました。
するとあっさりとB(開放)が機能するようになりました。
ですから今後も数日くらいベンジンの流し込みをB(開放)機能が安定するまで繰り返していきます。
 
 
という事で実験を続けるためにもう一台のHalf14です。
こちらで別の方法を試します。
 

 

こちらは数回に一回B(開放)が機能するといった感じです。

実はこの個体は約二年前に分解&修理しています。当時露出計に問題があって販売(出品)を保留した個体です。

ですのでフライホイールやシャッター羽根は洗浄済です。

今回はこの個体を使って黒鉛だけの実験をしてみます。

 

① シャッター羽根に黒煙を塗付してみる。

② フライホイールの軸部に黒煙を塗付してみる。

 

以上となります。

前の個体では既にベルハンマーゴールドを塗布してしまっていたのでベンジンで洗浄してもベルハンマーゴールド成分を完全に除去しきれない可能性があるため黒鉛だけの実験をしませんでした。

 

 

さすが過去に分解&修理されているために内部も非常に綺麗です。

 

 

シャッター羽根の上に黒鉛を振りかけます。

なるべく均等に広がるように軽くトントンと叩きます。

その後何度かシャッター切って黒鉛を浸透させて馴染ませます。

次に裏返して何回かシャッターを切ってシャッター羽根の裏側の方を浸透させて馴染ませます。

するとあっさりと常時B(開放)が機能するようになりました。

 

 

本来ならフライホイールの軸部にも黒煙を塗布したかったのですがこの個体は過去に分解&洗浄済ですし既にB(開放)が機能しているので気晴らし程度な気持ちで外部に黒鉛を振りかけます。

 

 

そして何回か何回かシャッターを切って黒鉛が各部に浸透するように馴染ませます。

 

 

最後にエアブローで余分な黒鉛を吹き飛ばして完了です。

 

 

ご覧のように見事にB(開放)が機能するようになりました!

 

 

ちなみにベルハンマーゴールドを使用したシャッターユニットはやはりB(開放)が機能しなくなったので再度ベンジンをシャッター羽根にも流し込んで綿棒で清掃してみたらB(開放)が機能するようになりました。

今度は良い感じな気がします。

もう三時間以上経過しましたがちゃんと機能しています。

 

以上

 

① ベルハンマーゴールド + 黒鉛

② 黒鉛のみ

 

の二種類の実験をしましたが結論としてはやはりベルハンマーゴールドはオーバークオリティの様です。

やはり成分として含まれている極厚添加剤が抵抗になってしまうようです。

対して黒鉛はシャッター羽根に少量振りかけるだけで効果がありました。

またシャッター羽根が閉じる時の動きがベルハンマーゴールドの時よりもスムーズで軽やかでした。

別の個体を修理する時はフライホイールの軸部にも黒鉛を塗付できるようにしてみたいと思います。

黒鉛で心配なのはドライ方式のため潤滑を求める部位にいつまで黒鉛が残留してくれるかということです。

せめて三年、いや二年はB(開放)が機能していてくれるようになればと思います。

 

次回からは今回分解したHalf14の露出計のトラブルを解消して販売可能な状態に仕上げたいと思います。

 

 

 

 

 

ヤシカ Half 14 のシャッター機能向上実験の続きです。

 

 

フライホイール等の部品を洗浄のためにとベンジンに一晩漬け込みましたが、本当はそんな長時間漬け込んだからといって綺麗になるわけなんかないんですよね。

無意味な事だと判っていたんです。それでもメリットがありました。

それは『一晩考える事ができた』ということです。妄想とも云いますが…。

性能的には充分というか過剰ともいえるベルハンマーゴールドなんですが粘性が高くそれが長期的に見て抵抗になってしまうのではないかという懸念を払拭できないために如何にしてこのベルハンマーゴールドを使いこなす(注入or塗布)かについてモンモンと考えていました。

当初から粘度が高いのが心配なのでベンジンで薄めて希釈して粘度を下げて使おうと思っていました。ただそれを何倍に薄めて希釈して使えば良いのか?という問題が残っていました。

この希釈率についてさらに深く考えていった時に自分がトンでもない考え違い ⇒ ミスをしている事に気付いてしまいました。

正解というか実際には『ベンジンで何倍・何十倍にしてもベルハンマーゴールドの成分は薄まらない!』んですね。

つまり粘度は変わりません。

ベルハンマーゴールドにベンジンをどれだけ混ぜても体積(容積)が増えたベンジンとベルハンマーゴールドとの混合液になるだけであってベルハンマーゴールドの成分自体は薄まらないんです。

ベンジンのような揮発性(蒸発)の高い溶剤は塗布又は注入しても数十秒から数分で気化して蒸発して消えて無くなってしまいます。

つまりベンジンとベルハンマーゴールド混合液を塗付・注入してからしばらくするとベンジンは『気化(蒸発)してしまい塗付・注入した場所からいなくなってしまう』んです。するとそこに残ったのは何になるでしょうか?

『ベルハンマーゴールドだけ』になりますよね。ということはベルハンマーゴールドの成分は薄まっていない事になります。

塩を水に溶すと塩は見えなくなります。しかしその水を沸かして水を蒸発させると塩が再び出てきます。

それと同じようなもんではないでしょうか。

ではベンジンでベルハンマーゴールドを薄めて塗付・注入する時

と薄めないで塗付・注入した時と何が違うのでしょうか?

それは『塗膜(油膜)の厚さ』の違いではないでしょうか。

ベンジンで薄めれば薄めるほどベルハンマーゴールドを薄く塗布できるのではないでしょうか。でも成分が薄まったわけではありません。

とまぁ昨夜に以上のような考察(妄想)結果となりました。

 

 

じゃぁ何倍に薄めれば良いんだよ?

とそれはまだ悩んでいるのですが…。

とその前にベルハンマーゴールドをの塗布・注入方法なのですが。

画像は昔に買った腕時計の歯車に注油するツールです。

腕時計と言えばカメラよりも遥かに極小な部品ですからその注油用の工具であれば利用できるのではないかと購入したのですが使い方が今一つよく解らず放置していました。

 

 

このように先端が僅かに膨れています。

これで最大部の径が0.8mmになります。

 

 

こちらが0.5mmになります。

軸の部分にベルハンマーゴールドが雫状に付着しています。

ほかにもっと細いのが三種類あります。

これであればかなり薄く塗布できるのではないかと判断しベルハンマーゴールドは希釈せずに原液で使ってみます。

 

 

ちょっとピントが合っていませんが、上記の針のような注油機でフライホイールの軸部にベルハンマーゴールドを塗布しその上に黒鉛を塗布しました。

そのためピカピカに光っていた軸部が黒くなっています。

ベルハンマーゴールドの残留性の強さによって重力に逆らって軸部の表面に付着し続けています。

この軸部に付着したベルハンマーゴールドをボンド代わりにして黒鉛を軸部に付着させました。

そしてフライホイールの穴にもベルハンマーゴールドを少量塗布しました。

 

 

組み上がりました。

シャッター羽根に黒鉛を塗布しフライホイール部を分解洗浄をして軸部にベルハンマーと黒鉛を塗布しました。

早速動作を確認してみましょう。

 

 

ダメです。

B(開放)になりません!

なんのこっちゃ⤵⤵⤵

あれだけウンチク語ってさんざん努力して苦労して時間かけて結果がコレじゃぁあまりにも悲しすぎます。

全てが水泡に帰して元の木阿弥です⤵⤵⤵

シャッター音の感じから明らかに抵抗が存在してフライホイールの回転の勢いが落ちてしまいB(開放)までシャッター羽根が開き切らない感じです。

あれでもベルハンマーゴールドをフライホイールの軸に塗布し過ぎたのでしょうか?

やはりベンジンで薄めてから塗布するべきだった?

フライホイールの軸には黒鉛を塗布せずにベルハンマーゴールドだけを塗布するべきだった?

フライホイールの軸にはベルハンマーゴールドを塗布せずに黒鉛だけを塗布するべきだった?

それともシャッター羽根に黒鉛を塗布し過ぎた?

シャッター羽根に黒鉛を塗布しない方が良かった?

等々と色々考えてしまいます。

でも今回分解&洗浄する前の状態でもベルハンマーゴールド&黒煙でB(開放)までシャッター羽根が開いたのですから方向性が間違っていたとは考えにくいし。。。

グぬぬぬ...。

悔しいィィィ!!!

 

 
流石にこのまま失敗しましたとは引き下がることが出来ないのでせめてもの抗いとしてフライホイールの軸部にベンジンを流し込んで何度も動作を繰り返して抵抗の軽減を試みたり、シャッター羽根にもベンジンを流し込んで塗布し過ぎたと思われる黒鉛を綿棒で拭き取ってみたりしました。するとB(開放)にはなったのですが時間が経過するとベンジンが乾き切ってしまったせいか再びB(開放)にならなくなってしまいました⤵⤵⤵
で、でも…。
これってもしかして…。
ひょっとしたら?
一縷の望みをかけてめげる事無く再びベンジンを流し込んで同じことを繰り返しました。
がそれでもまたもや時間が経過するとB(開放)にならなくなってしまう。
でも少し動きが良くなったような…。
そおして三度目のベンジンの流し込みをやってとうとうベンジンが乾燥しても上の動画のようにB(開放)になるようになりました!何度繰り返してもB(開放)になってくれます。もうベンジン流しの処方をしてから一時間近く経過していますがB(開放)になってくれています。
これで明日になってもB(開放)になってくれるようであれば成功と判断しても良いでしょう。
 
どうやらあれだけ神経を使ってベルハンマーゴールドを塗布しても過剰だったのではないかと思われます。
そして黒鉛の塗布も過剰だったのでしょう。
 
ともあれ最終判断は明日となります。

 

 

 

 

 

 

ヤシカのHalf 14 です。

 

 

このカメラにはシャッター機構に難がるようB(開放)が機能しないという弱点があります。

 

 

その原因はシャッターの羽根を開くための運動エネルギーを司るフライホイールとそれに関連する部品の軸受部の潤滑性が落ちるとB(開放)まで開かなくなってしまいます。

分解して各部をベンジンで洗浄してから組み直しても物によっては最悪で数ヶ月で再びB(開放)まで開かなくなってしまいます。

そこで潤滑油としてベルハンマーゴールドを試しにフライホイールの軸部に塗布したらかなりの効果がありました。

しかしベルハンマーゴールドに含まれている極厚添加剤が時間が経過すると逆に抵抗になってしまうのではないかという心配もあります。

そんな時に『去ったー羽根の潤滑には黒鉛を使う』というコメントをいただき『そうだった!その手があったか!』と思い早速Amazonで注文したのですがなかなか届かず一昨日前にようやく届きました。

 

 

注文してから到着まで20日近くかかりました。

なんでそなに時間が掛かったのだろう?

 

 

一体どこの国から送らて来たのだろうと調べてみたら…。

Equatorial Guinea ⇒ 赤道ギニアって書いてありました!

なんとアフリカから送られて来ていました。  

 

 

商品の包装パッケージには Made in China と記載されていました。

 

 

ボトルのラベルも中国語で記載されているみたいです。

ということは中国の会社がアフリカのギニアに工場を持っていてそこで製造した物をAmazonで販売してアフリカのギニアから日本に届いたということなんでしょうね。

いやぁ~昨今のネット通販ですごいんですねぇ~。

 

 

カメラ修理の師匠からは鉛筆の芯をカッターで削って使えば良いと教わっていたのですが、それでは粒子が荒く感じたため今回はなるべく微細な粒子が欲しかったのでわざわざ黒鉛の粉末を発注しました。

 

 

黒鉛を使った最初の実験としてベルハンマーゴールドをフライホイールの軸に注入してから約四週間が経過したシャッターユニットのシャッター羽根の裏表両面の部分に黒鉛の粉末を載せてからベンジンを垂らして何度か動作させて黒鉛をシャッター羽根に浸透・馴染ませてみました。

 

 

すると5回動作させて1回くらいしかB(開放)にしかならなくなっていたシャッターユニットが毎回B(開放)になるように復活しました!

この結果フライホイールだけでなく黒煙を使ってシャッター羽根にもドライ式の潤滑をして摩擦抵抗を軽減させればより効果があるという事になりますね。

ではコレを複合させればどうなるでしょうか。

※ 後に判明したのですがシャッター羽根に黒鉛を載せた時にベンジンを垂らしたのは悪手でした。シャッター羽根に過量に黒煙が張り付いてしまう事になってしまいました。そのためシャッター羽根をベンジンで拭き直したら動きが更にスムーズになりました。ベンジンは使わずに黒煙をドライの状態で使った方が良いです。

 

 

前回ベルハンマーゴールドを注入した時は分解&洗浄していなかったので今回は二つのフライホイールを取り外します。

分解前に二つのフライホイールの軸と水色矢印の真鍮のボッチの位置関係を記録しておきます。

 

 

フライホイールの下にあるギヤがカットされたレバーも外します。

 

 

そして画像の三個の部品の赤色矢印の軸受部となる穴の中を洗浄するためにベンジンに漬け込みます。

驚いたことにこれらの部品には大量のベルハンマーゴールドが付着していました!

つまり部品から流れ落ちる事なく残留出来る強さがあるという事ですね。

 

 

そしてこれらの部品が付いていた赤色矢印の三本の軸部をベンジンで清掃します。

ここは分解しないと清掃できません。

また注油も分解しないと難しいでしょう。

これらの軸の直径は左の二つが約1.35mm、右が約2.0mmと非常に細いため注油が難しいのと、注油しても軸部に残留することなく全部下に流れ落ちてしまう可能性があります。その流れ出た油にホコリが付着してベトついて抵抗の原因となるのではないかと思っています。

このため私はカメラの部品には今迄なるべく注油を行っていませんでした。

ですが上述のようにベルハンマーゴールドは塗布部に残留する性能に優れているので期待が持てます。

そして黒煙は油のような液体ではなくドライなパウダーのためにホコリが付着してベトつくようなこと起きないのでコチラも期待大です。

 

 

1.4mmの軸の顕微鏡を使った拡大写真です。

ピント合わせるのが非常にボケてしまっていますが

二つの赤色矢印の部分がフライホイールの軸受部となります。

上の赤色矢印の部分の方がピカにピカに光っていますがこの輝きは摩耗している証だと言えるでしょう。

こうなってしまうといくら清掃しても注油しても新品に交換しない限り根治することはありません。

せめてもう少し摩耗しにくい材質を使っていてくれたらと思います。

 

 

シャッター羽根も分解して洗浄するべきかどうか悩んだのですが赤色矢印の部分の穴にピンセットを差し込んでシャッター羽根を開閉してみたら非常にスムーズで滑らかだったので必要なしと判断しました。

よく見ると黒鉛の存在が視認できます。やはりかなり効果があるようです。

 

ベンジンに漬け込んだ部品は一晩ほど漬け込んでおきたいので本日はここまでとなります。