ヤシカ Half 14 のシャッター機能向上実験の続きです。

フライホイール等の部品を洗浄のためにとベンジンに一晩漬け込みましたが、本当はそんな長時間漬け込んだからといって綺麗になるわけなんかないんですよね。
無意味な事だと判っていたんです。それでもメリットがありました。
それは『一晩考える事ができた』ということです。妄想とも云いますが…。
性能的には充分というか過剰ともいえるベルハンマーゴールドなんですが粘性が高くそれが長期的に見て抵抗になってしまうのではないかという懸念を払拭できないために如何にしてこのベルハンマーゴールドを使いこなす(注入or塗布)かについてモンモンと考えていました。
当初から粘度が高いのが心配なのでベンジンで薄めて希釈して粘度を下げて使おうと思っていました。ただそれを何倍に薄めて希釈して使えば良いのか?という問題が残っていました。
この希釈率についてさらに深く考えていった時に自分がトンでもない考え違い ⇒ ミスをしている事に気付いてしまいました。
正解というか実際には『ベンジンで何倍・何十倍にしてもベルハンマーゴールドの成分は薄まらない!』んですね。
つまり粘度は変わりません。
ベルハンマーゴールドにベンジンをどれだけ混ぜても体積(容積)が増えたベンジンとベルハンマーゴールドとの混合液になるだけであってベルハンマーゴールドの成分自体は薄まらないんです。
ベンジンのような揮発性(蒸発)の高い溶剤は塗布又は注入しても数十秒から数分で気化して蒸発して消えて無くなってしまいます。
つまりベンジンとベルハンマーゴールド混合液を塗付・注入してからしばらくするとベンジンは『気化(蒸発)してしまい塗付・注入した場所からいなくなってしまう』んです。するとそこに残ったのは何になるでしょうか?
『ベルハンマーゴールドだけ』になりますよね。ということはベルハンマーゴールドの成分は薄まっていない事になります。
塩を水に溶すと塩は見えなくなります。しかしその水を沸かして水を蒸発させると塩が再び出てきます。
それと同じようなもんではないでしょうか。
ではベンジンでベルハンマーゴールドを薄めて塗付・注入する時
と薄めないで塗付・注入した時と何が違うのでしょうか?
それは『塗膜(油膜)の厚さ』の違いではないでしょうか。
ベンジンで薄めれば薄めるほどベルハンマーゴールドを薄く塗布できるのではないでしょうか。でも成分が薄まったわけではありません。
とまぁ昨夜に以上のような考察(妄想)結果となりました。

じゃぁ何倍に薄めれば良いんだよ?
とそれはまだ悩んでいるのですが…。
とその前にベルハンマーゴールドをの塗布・注入方法なのですが。
画像は昔に買った腕時計の歯車に注油するツールです。
腕時計と言えばカメラよりも遥かに極小な部品ですからその注油用の工具であれば利用できるのではないかと購入したのですが使い方が今一つよく解らず放置していました。

このように先端が僅かに膨れています。
これで最大部の径が0.8mmになります。

こちらが0.5mmになります。
軸の部分にベルハンマーゴールドが雫状に付着しています。
ほかにもっと細いのが三種類あります。
これであればかなり薄く塗布できるのではないかと判断しベルハンマーゴールドは希釈せずに原液で使ってみます。

ちょっとピントが合っていませんが、上記の針のような注油機でフライホイールの軸部にベルハンマーゴールドを塗布しその上に黒鉛を塗布しました。
そのためピカピカに光っていた軸部が黒くなっています。
ベルハンマーゴールドの残留性の強さによって重力に逆らって軸部の表面に付着し続けています。
この軸部に付着したベルハンマーゴールドをボンド代わりにして黒鉛を軸部に付着させました。
そしてフライホイールの穴にもベルハンマーゴールドを少量塗布しました。

組み上がりました。
シャッター羽根に黒鉛を塗布しフライホイール部を分解洗浄をして軸部にベルハンマーと黒鉛を塗布しました。
早速動作を確認してみましょう。
ダメです。
B(開放)になりません!
なんのこっちゃ⤵⤵⤵
あれだけウンチク語ってさんざん努力して苦労して時間かけて結果がコレじゃぁあまりにも悲しすぎます。
全てが水泡に帰して元の木阿弥です⤵⤵⤵
シャッター音の感じから明らかに抵抗が存在してフライホイールの回転の勢いが落ちてしまいB(開放)までシャッター羽根が開き切らない感じです。
あれでもベルハンマーゴールドをフライホイールの軸に塗布し過ぎたのでしょうか?
やはりベンジンで薄めてから塗布するべきだった?
フライホイールの軸には黒鉛を塗布せずにベルハンマーゴールドだけを塗布するべきだった?
フライホイールの軸にはベルハンマーゴールドを塗布せずに黒鉛だけを塗布するべきだった?
それともシャッター羽根に黒鉛を塗布し過ぎた?
シャッター羽根に黒鉛を塗布しない方が良かった?
等々と色々考えてしまいます。
でも今回分解&洗浄する前の状態でもベルハンマーゴールド&黒煙でB(開放)までシャッター羽根が開いたのですから方向性が間違っていたとは考えにくいし。。。
グぬぬぬ...。
悔しいィィィ!!!
流石にこのまま失敗しましたとは引き下がることが出来ないのでせめてもの抗いとしてフライホイールの軸部にベンジンを流し込んで何度も動作を繰り返して抵抗の軽減を試みたり、シャッター羽根にもベンジンを流し込んで塗布し過ぎたと思われる黒鉛を綿棒で拭き取ってみたりしました。するとB(開放)にはなったのですが時間が経過するとベンジンが乾き切ってしまったせいか再びB(開放)にならなくなってしまいました⤵⤵⤵
で、でも…。
これってもしかして…。
ひょっとしたら?
一縷の望みをかけてめげる事無く再びベンジンを流し込んで同じことを繰り返しました。
がそれでもまたもや時間が経過するとB(開放)にならなくなってしまう。
でも少し動きが良くなったような…。
そおして三度目のベンジンの流し込みをやってとうとうベンジンが乾燥しても上の動画のようにB(開放)になるようになりました!何度繰り返してもB(開放)になってくれます。もうベンジン流しの処方をしてから一時間近く経過していますがB(開放)になってくれています。
これで明日になってもB(開放)になってくれるようであれば成功と判断しても良いでしょう。
どうやらあれだけ神経を使ってベルハンマーゴールドを塗布しても過剰だったのではないかと思われます。
そして黒鉛の塗布も過剰だったのでしょう。
ともあれ最終判断は明日となります。