ヤシカのLynx-14です。

相変わらず何度見てもアンバランスな程に巨大なレンズです。

当に目玉のオヤジです。

 

 

いつも嘆いている、ボヤいている難ありのヤシカクオリィティなのですが、それでも修理してしまうんですよね。

中でもLynx-14は写りと映りがかなり良いのでついつい手が出てしまいます。

そして意外と海外でも人気があります。

まぁ、この手のカメラを修理してからテスト撮影までして出品している人は殆どいませんからねぇ。

 

 

このカメラはヤフオクにて落札したのですが、今迄よりはかなりの高値で落札してしまいました。

落札時に『ヤベェ!酔っぱらってヤチマッタわ!』と後悔していたのですが、いざ商品が到着して検品してみるとその程度の良さに驚いてしまいました。

電池室をチェックしようと底蓋を外してみたらとてつもない程綺麗です。

 

 

電池室の結線も確認してみたのですが、ハンダ付けした部分にも全く腐食がありません。こんな極上のLynx-14は初めてです。

勿論、露出計は正常に作動しています。

数値もほぼほぼ合っています。

これなら『高額で落札してしまった』という後悔は払拭されて充分に元が取れます。

 

話は変わるのですが…、

今迄このヤフオクでカメラを私と入札を競って勝利した人達は私と同じように修理をしているのでしょうか?

その割には修理再生の記事はネットで殆ど見ませんが…。

また、修理済みの個体がヤフオク等に出品されているのも見ませんし、業者さんが修理して販売している広告も数件しか見つかりません。

まぁ、このLynx-14やハーフ14を業者さんが販売してしまったら、後々の保障やアフターサービスで痛い思いをする事になると思いますが…。

 

 

さて、まずは軍艦を外します。

この個体は非常に程度が良く露出計の配線を引き直す必要はありませんし、シャッターと絞りの羽根も油分はなく動作も非常にスムーズでレンズも前玉&後玉共に曇りやカビ汚れといったものも全くありません。

ただ、ファインダー内が少し汚れているのと露出計の指針をファインダー内に表示するためのミラーが外れてしまっているためにそれを修復する必要があります。

 

 

本来ならば矢印の部分にミラーが付いているのですが外れてしまっています。

しかしそのミラーが軍艦内部に見当たりません!

 

 

どうやらここより更に奥へ落下してしまったようです。

ちくしょう~!

今回も前板を外すことになってしまったぁ~⤵⤵⤵

 

 

Lynx-14は革が薄いので剥がすのがかなり難しいです。

前板を外して中を見たのですがミラーはありませんでした。

これはとても困りました⤵⤵⤵

どうしましょう。

何か対策を考えます。

 

 

作業が止まってしまったのでファインダーを清掃します。

 

 

レンジファインダー用のこのミラーがポロッと取れてしまいました!

接着剤が劣化してしまっているのですね。

ヤシカではミラーの脱落は比較的多いような気がします。

これがヤシカクオリティです。

エポキシ接着剤で取り付け直しますが、そうするとピントを合わせる二重画像の上下が狂ってしまいます。

 

 

そこで矢印のネジを左右に回転させることで二重画像の上下を調整します。

これで二重画像の上下左右が一致しました。

 

本日はこれ以上作業を進ませることが出来ないのでここで終わります。

 

 

※ 紛失したミラーについて

その後いろいろ考えてみました。

するとアクリルのミラーで厚みが2mmの物が格安であったのでコレで代用しようかと思ったのですが、どうやら厚みは2mmではなく1mmのようです。

それにやっぱり樹脂ではなくオリジナル同様ガラス製が良いですもんね。

 

 

このミラーと厚みが同じだったと推測されます。

改めて色々とネットで検索していたらヤフオクに厚さ1mmのミラーが出品されていました。

しかもカメラの修理用の補修部品として出品されていましたので購入しました。

そしてガラスカッターも購入しました。

商品が届き次第作業を続けたいと思います。

 

 

 

露出計の動作不良でアメリカから返品されて来たキャノンのデミEE17です。

 

 

前回までで不具合人ついては全て修理しました。

元々このカメラは三流品として組み上げました。

レンズには若干のキズやクモリがあったり

外装もそれなりに傷が有ったり

無限のピント調整もせず

テスト撮影も行っていませんでした。

その分値段を大幅に下げて出品していました。

同じカメラでも一流品、二流品、三流品として組み上げて高価格から低価格迄幅広い価格帯で販売してみたというわけです。

ですが今回の再修理を機にアップグレードしていくことにしました。

三流品から二流または二流半品のレベルまでアップグレードしようと思っています。

 

 

という事でまずは無限遠のピントの再調整です。

いつものようにピントスクリーンを取付けまして

 

 

デジカメロタ維持させます。

フォーカスリングをフリーにしてヘリコイドを直接回転させて一番ピントが合っている場所を探します。

そうすると

 

 

このようになりました。

ゾーンフォーカス式のカメラの無限遠のピントの再調整を行うとフィルムへの写り・映りが格段に向上します。

一度ソレを体感してしまったら手間が掛かっても是非ともやっておきたくなります。

それ程の効果があります。

 

 

次にレンズ、前玉です。

今迄装着していた前玉はレンズ外周部にクモリがありました。

外周部なのでフィルムの外枠から外れるので撮影には影響が無いと思われたのですが、もう少し程度の良い物に交換します。

今回は画像の前玉をチョイスしました。

普通に見た感じでは極上品に見えるのですが…

 

 

この様に光を当てるとヘアラインのような傷が確認できます。

 

 

更に青色LEDで照らすとキズやクスミのようなものが確認できます。

 

 

光の加減で見え方が違ってくるので複数の画像を挙げます。

 

 

この程度のキズやクスミなら撮影結果の画質に影響は無いと思われますが、テスト撮影にてその辺も検証できるかと思います。

 

 

革も貼り付けいよいよ完成かと思ったらナ、ナント!

フィルムカウンターが動いて言いません。

フィルムカウンターに爪を押し付けているスプリングが弱いのかと思い交換してみたのですが全く動きません。

 

 

アレヤコレヤと悪戦苦闘してもまるで埒が明ません。

そうこうしているうちに取り敢えず爪を外してみようかと赤色矢印のネジを回したのですが、緩みも締まりもしません!

『ナンだコレ!』と不思議に思いながらよく見てみると、ネジを回転させる事によって爪が前後に動きます。

そうなんです、ネジだと思っていたのはカムだったんです。

爪が前後に動くことによってフイルムを巻き上げた時の爪の移動量を調整できるようになっていたんです。

これは私にとって新発見でした。

爪の長さを調整する事によりようやくフィルムカウンターがキチンと動くようになりました。

 

 

さぁ~て

ようやく完成しました。

前玉レンズに傷があるため極上のコンディションとは言えませんが、二流もしくは

二流半の状態には仕上がったと思います。

時間だけは極上品以上に費やしていますけどね。

あとはテスト撮影の結果次第です。

 

 

 

 

 

 

 

露出計不良で返品されて来たキャノンデミE17です。

 

 

注意喚起の記事を書こうと思って注意喚起の通り絞り羽根を壊して実証してしまい余計な修理を行う羽目になり大幅に本筋から外れてしまいました。

またとてつもない時間を浪費してしまいました。

 

 

昨日は

成功か失敗かデッド or アライブといったナイフの切っ先を突き立てられたような感じで感じで悪戦苦闘の末どうにかシャッタユニットの組上げに成功しました。

これでとうとうデミEE17は全バラ出来るようになった訳ですが出来れば二度とやりたくありません。

 

 

前板を取り付けて動作確認をすると動作が渋いというか何かがおかしい感じがします。

ウン、これ使うのを止めましょう!

コレを使ってしまって後々クレームになってしまって返品されても困るのでここは素直にまるごと交換してしまいましょう。

結果的に時間の無駄になってしまいましたが今の私の実力ではここまでです。

でも大変勉強になりました。

 

 

上が今回断念したユニットです。

下が部品取り機から移植するユニットです。

一部金属の材質が違いますね。

おそらく下の真鍮を使われたユニットの方が初期型になると思われます。

 

 

移植するユニットですが、異常に程度が良いです。

どうも以前に私自身が一度クリーニングをしたみたいです。

そういえば…。過去に発送前に最終チェックしたデミEE17の動作が良くなかったので今回のようにユニットを丸ごと交換した事がありました。

ひょっとしたらそのユニットかもしれないと思い一度仮組をして動作を確認してみました。

しかし全く問題なくスムースに動作しているのでコレを使用します。

 

 

次に露出計のユニットです。

こちらも部品取り機からの移植になるのですが、良さげなユニットがなかなか見つかりません。

そんな中cds素子の端子(電線)が水銀電池の液漏れが原因で腐食してボロボロに崩れて短くなり過ぎて再使用を断念した個体を発見!

最小を断念したと言っても端子が短くなり過ぎただけで動作には全く問題ありません。

という事で今回はコレを移植します。

 

 

短くなり過ぎた端子に新たな電線をハンダ付けします。

 

 

裸のままだと短絡やこの部分に曲げ応力が集中してしまい断線してしまう可能性もありますので熱収縮チューブを被せます。

 

 

前板=シャッターユニットを取り付けた後に露出計を取り付けてから電線をハンダ付けします。

延長したcds素子の端子(電線)も見事にフィットしています。

 

 

最後にファインダーを取り付けフォーカスインジケーターの指針の調整をしてシャッターユニットの交換の完了です。

 

 

コレでようやく本題の露出計です。

入射角の違う二つの露出計ともう一台の修理済みのデミEE17を使って精度を確認します。

すると少しズレていますね。

-0.5~-1.0といった感じでしょうか。

 

 

この程度の誤差であれば露出計ユニットの横にある可変抵抗の抵抗値を変える事で調整できます。

明るい所と暗めの所の二カ所を測ってどちらも二つの露出計とデミEE17同じような同じような値になりました。

これで完成です。

 

本来ならここで就労なのですが、今回の再修理を機にこのカメラのアップグレードを行っていきます。

次回は無限遠のピントの調整を行います。

 

キヤノンのデミEE17です。

 

 

なんか本題からは随分と遠回りになってしまいましたね。

 

 

 

絞り羽根がこのような状態になっているという事は絞り羽根がに付いている制御するためのボッチ(ピン)がレールから外れている(脱線している)と思われます。

そうなると練習した時と同じようなレベルまで分解しなくてはなりません。

 

 

取り敢えず前板を外すために外装をチャッチャッと外します。

その工程はもう何回も過去の記事に記載しているので割愛させていただきます。

 

 

ファインダーと露出計を取り外します。

露出計は取り外す前に状態を確認し問題が無かったので通電してテストしてみましたがF5.6以上の反応がやはり悪く可変抵抗でカバーできるレベルではありませんでした。

交換が必要です。

シャッターチャージのリンクも切り離しました。

 

 

前板を外したら直ぐにフォーカスインジケーターの指針を取り外しておきます。

 

 

練習の通り前板からシャッターユニットを取り外します。

 

 

同じく二つの絞り制御リングも取り外します。

 

 

ココより翌日の作業となります。

 

シャッター羽根はバラバラになってしまいましたが先程の練習にて正しい状態を撮影してあるので問題ありません。

そしてシャッター羽根にはまだ僅かに油が付着していたのでベンジンに漬け込みます。

 

 

絞り羽根のプレートと外周ケースの位置関係を記録しておきます。

 

 

絞り羽根のプレートを取り外そうとしたのですが、このピンが邪魔でどうしても取り外すことが出来ません。

仕方なく左手でプレートを持ち上げながら絞り羽根を整える作業をしていたのですがやりにくくてどうしても上手くいきません。

 

 

しかし最初からプレート一体式で製作されたとはとても思えず『複数の部品で組み立てられたのなら分解できないハズがない!』との信念からピンが圧入されているのではないかと思い引っ張ったのですが抜けません。

ならばと左回転させてみたら見事に緩んで外れました!

 

 

プレートが外れてしまえばあとは容易いもんです。

絞り羽根を綺麗に整列させる事に成功しました。

因みに絞り羽根のボッチが脱線している訳ではありませんでした。

 

 

組上げ後に一体でベンジンに漬け込んで清掃いたします。

 

 

絞り羽根をベンジンに漬け込んでいる間にシャッター羽根を組上げます。

まずは右側を置いて

 

 

次にシャッタ羽根衝突防止の膜を置いて

 

 

最後に左側の羽根を置いて

出来上がりました。

 

 

絞り羽根を乾燥させたら染みのようなものが残ってしまいました。

後で除去します。

そしたら絞り羽根のユニットとシャッター羽根のユニットを合体させます。

 

 

これで完成です!

と、なんだか簡単に組み上がったように書きましたがシャッタ羽根と絞り羽根の組み立てだけでまる5時間以上かかっています。

特にシャッターユニット外周部(絞り羽根)を分離したためにシャッターユニット内にある5ヶ所のスプリングの状態がおかしくなってしまいそれらの正しい状態に戻すのにとてつもない時間が掛かってしまいました。

ヤッパリ前板ごとフル交換した方が遥かに効率的でした。

とても疲れてしまったので本日はここまでとさせていただきます。

 

 

 

キヤノンのデミEE17です。

 

前回『AUTOの状態でB(開放)のでシャッタボタンを押してシャッター羽根を開放状態にしたままで絞りリングをマニュアルに回転させてしまうと絞り羽根が壊れる』という注意喚起をしたのですがその記事の撮影中に本当に壊れてしまいました。

 

 

当初はシャッターユニットを前板ごとマルマル交換しようと思ったというよりも、その方が時間短縮になるのでそうしようと思いました。

しかし『でもどうせならダメもとで分解してみようか』という事にしました。

治すことが出来なかったとしても構造を知る良い機会になるでしょうからね。

 

 

ということで修理不能となったジャンク品でリハーサル及び構造の勉強です。

既にここまで分解してしまったのですが、シャッター羽根の分解の際に上下というか表裏逆さまにして分解してしまったためシャッター羽根の構造・配置が判らなくなってしまいました。

後でもう一個のジャンク品を構造確認のために分解します。

 

 

さて絞り羽根のユニットです。

内側にある黒くて円いプレートを取り外すのですが、これも失敗すると各羽根の配置が判らなくなり再現不能となります。

自動車やバイクのようにパーツリストでもあれば助かるんですがねぇ。

 

 

さぁ、これで絞り羽根と対面だぁ!

と思ったら

うげぇッ!

プレートが出て来た。

なぜだかすごぉ~く失敗しそうな気分になりました。

 

 

遂に絞り羽根が出てきました。

上手に分解できたので各絞り羽根の構成が良く判ります。

これならなんとかなるかなぁ

と思うようになったのですが…。

 

 

いくら頑張っても何回もやり直しても4枚の絞り羽根にそれぞれ付いているボッチがプレートの穴に入りません。

 

 

悪戦苦闘する事約2時間!

なんとか組立に成功しました!

とてもベンジンなんか使って脱脂した状態で組付ける余裕などなくて

指紋がベタベタに付いています。

 

 

当初は何も考えずにやみくもに作業していたのですが、

絞り羽根のボッチが1個2個3個と入っていく毎に組付け方法の理屈を発見!

絞り羽根のボッチをそれぞれ90度の角度、直角に対峙するようにすると簡単にプレートに入りました。

絞り羽根が4枚=360÷4枚=90度間隔というわけです。

ヤッパリちゃんと構造を解析して考察して理論付けしてから作業しないとダメなんですね。

まぁ、この答えに辿り着くのに2時間かかったって事ですね。

しかし…。

絞り羽根が16枚もあった昔のレンズの場合の作業の手間は…。

考えると私は絶対にやりたくありません。

 

 

ではお次にもう一個のジャンクユニットでシャッター羽根の構造の解析を行います。

 

 

デミEE17の後玉の更に下にある赤色→の真鍮のナットを緩めます。

カニ目スパナが掛かるように4個の溝が切ってあります。

 

 

するとこの様に前板がフォーカスのヘリコイドリングと一体で外れます。

ヤシカのハーフ14と基本的に同じ構造ですが、ヤシカクオリィティとは違ってキヤノンクオリィティですから非常に作業がやり易いです。

ただ欠点として…。

ココをこのように分解してしまうと再組立後の無限遠のピントがズレるという事になります。

まぁ充分誤差の範囲内ではないかと思いますが厳密には無限遠のピントの再調整は必要ですね。

 

 

それではシャッターユニットからAUTOの絞り制御リングを取り外します。

黒いリングです。

 

 

次はマニュアルの絞り操作リングを外します。

外周の銀色のリングです。

この二本の絞り羽根制御リングの存在がAUTOとマニュアル時の制御方法が別構造であることの証拠です。

 

 

するとマニュアル絞りのリングの下に3本のネジがあります。

このネジを外すとシャッター羽根が出てきます。

ちなみにこの三本にネジは緩めに締まっています。

おそらくシャッター羽根の動きに干渉しないためのクリアランス確保でしょう。

そしてシャッター羽根がバラバラになってしまわないように、このままの状態でシャッターユニットを残して外周部を上に引き抜くような感じでより外します。

 

 

ヨシッ!

今回は上手く外すことに成功しました!

これでシャッター羽根の構成・組み合わせを理解できました。

 

 

注目なのが矢印の羽根のような部品です。

左右のシャッター羽根の間に挟まるようにして組み込まれています。

このようにして左右のシャッター羽根が衝突しないようにしているんですね。

こういう所がキャノンクオリティでしょうか。

ただ…。

油脂等がシャッター羽根に湿潤してくるとシャッター羽根が貼り付く要因の一つになるでしょう。

つまり現在残存するキャノンのデミEE17はシャッター羽根が貼り付いてしまっている個体が多いのではないでしょうか。

しかしこの様に構造さえ判ってしまえばここまで分解しなくてもベンジンを浸透させて清掃するだけでも充分対応出来るでしょう。

 

以上でシャッター羽根と絞り羽根の構造の解析のための予習&練習作業は終了です。

もちろんこの後組立もやります。それも予習の一部です。

次回は実習編となります。