復讐 | リアルオプション

ハナは続けた。
「元彼って言っても1年半前に1ヶ月程度しか付き合わなかったわ。」
「今彼は、留学中なの。よっぽどこの家が気に入っているらしくて、賃貸はこのままみたい」
「もしかしたら、金持ちなのかね。」


ハナの言葉は、途中からどこか不確かに聞こえた。
「今での連絡をとっているの?」
恋愛話で出てきそうな会話であったが、男女問題の話に興味はなかった。

ハナはニヤリと笑い、「No.」と答えた。
その答えに、私もニヤリと微笑んだ。


「つまりハナは、元彼が留学中という噂を聞きつけ、そして、当時作った合鍵で忍び込みに成功した。
「もし計画が失敗しても、1ヶ月しか交際していないハナの元へ結びつかない。」
「ってことは、女に困らないほどモテる彼氏への復讐ってこと?」
ハナへ質問した直後には、大抵はこんな理由だろうと思い、すでに安堵していた。


「70点かな。あと交際って言葉も古い。」
部屋窓に向かいながら、ハナは言った。

「復讐という気持ちがあることは正解。でも、もう実行したけどね。」
「格安引越しを調べてたらさー、すっごいリーズナブルなのがあって・・・」
ハナは急に女子大生っぽい口調になった。


要するに、夜逃げもOKのような引越し屋に依頼し、彼の部屋にある荷物を地方のトランクルームへ預けたということ。

捨てようと思ったが、刑事事件になっても困るので、ばれても悪ふざけということで、トランクルームへ預けているらしい。
もちろんトランクルーム代を支払っているのはハナである。
そのお金ももったいないから、元彼が家具を買いなおすころを見計らって、再度荷物を届けるのだと。


「事件は複雑に絡み合ったほうが面白く、そして難解にさせるのよ。」
ハナが軽く言った一言が、頭から離れなかった。