数日前の話である。
名刺を渡したこの部屋で、ハナは一言言った。
「なんで場所をここにしようと私が言ったか分かる?」
聞きたかったことを逆に質問された。
引越しで荷物を片付けたとはいえ、契約書を辿ればすぐに身元はばれてしまう。
口封じ何てこともできない。
「教えて」単刀直入に返した。
ハナは笑顔で答えた。
「この家、私の家じゃないからよ。」
私は唖然とし、言葉を詰まらせながら言った。
「どういうこと?」
「この部屋に最初に来た日を覚えている?」
「先週、私が計画の内容を話したときですよね。」
私は警戒すると、なんとなく敬語がでてしまう。
「そう、そのときに私はこういったことを覚えている?。
『もうすぐ実家へ戻るから荷物を片付けている』
『この計画には、ちょうどいい時期だわ』」
私も記憶力には自信があった。確かにハナは言っていた。
「覚えているよ。」
人間は相手に聞きたいことがあるときほど、言葉は単純になるものだ。
「そう。それでこの部屋で計画の詳細を話したよね」
「そうですね。」
「でも、私はこの家が自分の家だとは一切言っていない。」
「さっきの2つの内容は実はリンクしていないのよ」
「嘘をついているわけじゃないの。現に私の部屋も荷物はほぼないしね。」
「私の先入観だったってことね。参りました。」
「もう一人、協力者がいるってこと?この家の?」
「いないわ。後々面倒になりそうだしね。」
「この家は、私の元彼よ。」