間もなく、もがいていた足の動きが止まった。
無気力な体が私に委ねられた。
ロープを手に取り、手足をそれぞれ縛り上げる。
またクローゼットの金具に引っ掛けたロープを、有希の体へ繋ぐ。
何時、コイツが起きても問題がなかった。
私は、玄関のドアをわずかに開け、OKサインをハナへ送った。
OKサインが悪魔のサインであった、なんてTV番組の言葉を思い出した。
ハナは頷き、有希の状態を確認することもせず、エレベータホールへ向かった。
私は時計を見た。
ハナがリミットの時間より30分は早かった。
2時間後、ハナは成田空港にいることになる。
卒業までの1ヶ月間の余暇をロスで過ごすことにしている。
「よし。やるか。」
変声機の声に慣れ、緊張とともに、本日2度目のクリーム色のドアを開けた。
部屋に有希がいなかったら?
計画が途中で失敗したら?
私以上にハナは法とリスクを犯している。
それでも、ハナは捕まらない確信とリスキーを楽しむ余裕があるのだろう。