ダイニングと通じるドアは、部屋のデザインと同系色のクリーム色であり、
中の様子は伺えない。
いずれにせよ、ドアを開けた瞬間に、有希の視線は私に向けられ、
奇声が発せられるだろう。
「奇声はよくない。まるでこっちが悪者だ。」
変声機を確かめるように、私は小声で喋った。
深く深呼吸をし、ゆっくりとドアを開けた。
わずか0.5秒の間に、窓の外を眺めている有希の後姿を捕らえた。
ドアを閉める間、彼女はその姿勢を保ったままだった。
1時間弱の間に有希との信頼関係を築いたハナに感謝した。
足音を立てない最大限の速さで、有希へ向かう。
そして、振り向くやいなや、声がでるやいなや、有希の口元をタオルで縛った。
絶妙のタイミングであろう。
その証拠に、有希の口元から血が見えた。
彼女は声にならない声をあげ、私は背後から首を絞めはじめた。
殺すつもりは全くない。
血流を遮断し、数分間失神してもらいたかっただけである。