1DKを一望するのには、5分もかからなかった。
言うなれば、靴を脱いで最初のドアを開けたところで、メインの部屋を確認できてしまう。
有希は、クローゼットからキッチンまで念入りにチェックしているようだった。
気に入ったからなのか、今の部屋と比較しているのかは分からなかったが、そんなことはどうでも良かった。
まもなく、ハナから合図が届いた。
「すみませんが、会社から着信がありましたので、外で電話してきますね。」
「失礼いたします。」
「あ、はい。分かりました。少し内覧させていただきます。」
ハナが玄関へ向かうダイニングの扉を開ける動作と同時に、私はトイレのドアをゆっくりと開けた。
トイレの入口は、洗面所に面しているため、有希から見えることはない。
ハナは視線を右側にうつし、私の全身を足のつま先から舐めまわすように斜視した。
よっぽど私の変装がおかしかったのだろうか。
アイコンタクトでバトンタッチし、私は一時間ぶりに部屋へ足を向けた。
ハナには数分間の間、玄関前で待機してもらうように頼んだ。念のため。