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Meaning

日記と言うより言葉を徒然と。

「こんにちは」
眩しく差し込む陽の下で柔らかく微笑む人が居た。
「久しぶりだな」
その人に逢って微笑み返す人が居た。
「えぇ、本当に」


並んで座って鳥が羽ばたく空を眺めた。
「お仕事、お忙しいんですか?」
「へっ?」
「・・・なんだか疲れた顔していらっしゃるから・・・」
「・・・否、そんなことねーよ。」
「それなら良いんですけれど」
変わらず微笑む彼女にちょっとしたいたずら心が芽生える。
「疲れたって言ったら膝枕でもしてくれる?」
慌ててくれれば面白いと思った。
「時によっては」
彼女の返答になんだかずっと前からのなじみの知人であるかのように
安らいだ気分になる。


-いつでも 星が光る時間が 来るの-
-今は 静かに 眠る時を知る あの鳥のように-
-いつでも 月が満ちる夜 訪れ-
-貴方の為に 静寂をもたらしてくれるから-
-安らかに 2人で目蓋を 閉じましょう-
-きっと 目覚めた時には-
-新しい時間が待ってくれてる-


彼女が謳うのは誰かのため。
他人のため。言葉通じぬ者達へのため。自分自身のため。

「なぁ・・・」
「はい」
「1コだけ聞いてイイ?」
「何をです?」
「・・・オトコ居んの?」

単刀直入に聞きすぎた。
でもそれはずっと聞いておきたかったこと。
「・・・居るわけありません」
「そっか。ょっ」

寝転んでいた背を起こし真剣な顔で彼女に向き直った。
「どうしたんです?」
「オレのコト・・・嫌い?」
「なんですか急に」
「・・・あぁっだからぁっその・・・」
自分でも驚くほどに言葉が出てこない。
人並み程度にはそれなりの付き合いもあったのに。
「?大丈夫ですか?顔、赤いですよ」
「オレと付きあわねぇ?」
「はぁ・・・ぇ!?」
さすがに彼女も驚いた顔で彼を見る。
「絶対幸せにするし絶対・・・寂しい思いなんてさせねぇし」
「・・・」
「泣かせたりも・・・しねぇよ」
自分でもなんて在り来たりで下手な告白だろうと思う。

こんな言葉を紡ぐ自分がいるなんて知らなかった。

「今日は・・・来ないのかしら・・・」
陽が落ちて星の瞬き始めた空を見上げて彼女は寂しげに呟いた。
必ず来ると約束したわけじゃない、と自嘲しながら彼女は紡ぐ。
優しい歌を。
「・・・あら、もう見つかっちゃったのね」
「翠蓮様・・・お迎えに上がりました」
「・・・有難う、銀<シロガネ>」
銀と呼ばれた青年は翠蓮に手を伸ばし立たせると自身の羽織っていたショールを翠蓮に纏わせる。
「お風邪を召されますよ。まだ肌寒いですから」
人の良さそうな笑みを浮かべて手を引く。
「有難う・・・でも貴方が風邪引いちゃうわ。」
「私は丈夫ですから。さ、帰りましょう。父君もご心配なされます」
「・・・そうね・・・」
視線を落として彼女はゆっくりと歩き始める。

飛ぶこと出来なくとも届く想ひ...


交わした約束があった
忘れえぬあの日
夕暮れ 繋いだ手


例え遥か引き裂かれても
何度でも結ぶ縁を
手繰り寄せて君と頬寄せ合う

願い事は壱つだけ


眠れぬ宵闇があった

覚へて消えぬ
夜明けと 暁

例えココロ恋い焦がれても
結ばれること無い絆
手繰り寄せては君と寄り添う


願い事叶えて…

波間に漂う引き裂かれた感情


泣きながら叫んでいたね 

君は


求めて


遥か 離れた たったひとりの片割れ探して

歩いてく


暁の空に 思いを馳せて
夜明けの星と共に消えていく


サヨナラも告げずに去った君を追いかけて

前に彼女に出逢ったのはいつだったか。
初めて逢った時以来、彼女と再び邂逅することはなかった。
泰央は椅子に腰掛け窓枠に腕を置いてただ空を見つめている。
このずっとずっと先には出逢った場所があった。
「なぁなぁ・・・軍師長どうしちまったんだ?」
「先日出逢った鳥の君が忘れられないらしいですよ」
「へぇーあの軍師長がねぇ。」
『珍しいこともあるものですね』
距離を置いたトコロで部下たちが密談を交わしている。
「手も出せずに終ったんでしょうかね」
「もしかしたら凄すぎた、とか?」
最も
「・・・オマエラね」
しっかり泰央の耳には届いているのだが。
「軍師長!そんな来る日も来る日も来る日も来る日も何にも変わらずに
ただ晴れてるだけの外ばっかり見てないでお仕事してください!」
勢いよくドアを開けて間髪置かずに喋りだす。
「憂(ウイ)・・・。」
「副師長・・・」
「貴方が外を眺めてるときも着々と確実にみっちりとお仕事は溜まっていくんですからね。
経理省や軍省から急かされて頭の固いジジイな方々に延々嫌味言われる
私の身にもなってくださいよぉぉぉ」
泰央の目前まであっという間に迫ったかと思うと今度は豪快に泣き始める。
「憂サン・・・?」
「というわけで・・・今日こそきっちりしっかりとお仕事こなして頂きますからね。」
ドサッと机の上に置かれたのは書類の束。
「今日の分です。終るまで帰しませんよ?なんなら今日の分と言わずにこれまで溜まった書類全て
を今すぐこの場に持ってきて差し上げても構いませんが・・・まぁさすがにそれは酷と言う物で
しょうしあまり追い詰めすぎるとかえって逃亡の危険性が高まるということも軍師長の場合は
有り得そうな気がしますのでとりあえず・・・」
「憂サン・・・?」
「終るまで部屋から・・・いいえいっそ今この場から1歩たりとも動くことは許しません」
「う・・・」
「許しません。」
「・・・ウソだろ・・・」
「さーぁちゃっちゃか手を動かしてくださいー!!副師長・憂、ただいまより鬼になりますよぉ!」

それからしばらくの会話が始まった。


彼---泰央が武人だと言うこと。
今日は武人同士の会合が煩わしくて抜け出してきたこと。
多分明日は友人や同僚にそのことについて怒られるんだろうということ。
彼女---翠蓮は楽しそうに聞いていた。
泰央の目を真っ直ぐに見つめながら。


「---っと・・・さすがにそろそろ帰んねぇとマズいか」
空は青から赤に変わり始めている。
太陽は既に姿を消し真白い月が空に淡く光り始めている。
「家何処?送ってく」
立ち上がり手を伸ばした。
翠蓮はその手を借りて立ち上がる。
「いえ、すぐ近くですから」
スカートの裾を払いながら彼女は答える。
「でもすぐに暗くなんぜ?」
「大丈夫です」
微笑んで彼女は言った。
有無を言わさぬ瞳で見つめて。
「・・・解かった。じゃぁ・・・また逢える?」
「・・・はい」
少し戸惑いながらも彼女は微笑んだ。
「そんじゃぁ・・・また、な」
「はい」
泰央は踵を返すと片手を上げてひらひらと振る。
「気ぃ付けて帰れよ」
確実な約束なんてしなかった。
出来なかったと言った方がニュアンス的には正しい。
彼女は黙ってそれを見送って空を見上げ呟いた。
「・・・変わった人・・・」
輝き始めた星は応えることなくただ其処に在った。
しばらくして遠くのに彼女を呼ぶ声がした。
いつもの迎えが来たのだろう。
翠蓮は名残惜しそうに声のするほうへと歩き出した。

私たちが出逢ったのは偶然じゃなくて・・・
必然という運命だったの。
私はそう----信じたい。
ありがとう。
ごめんなさい。


「・・・?」
普段ほとんど通らない道。
此処は天空世界<ジオラマ>の中枢から外れた何もない場所。
あるのは唯、野原と川と一本の大樹くらい。
彼は人目から逃れる為にこの道を辿った。
彼女は・・・。

野原の真中で小さな草花に囲まれて鳥と戯れる少女に近づいていく。
ほんの些細な興味から。
少女は全く警戒していない。
「・・・もしもし、おねぇさん」
「えっ」
とても驚いた様子で少女は彼の方を向く。
鳥は彼女の傍を離れ飛び立った。
青い空に小さな鳥の色が映える。
「こんなトコロで何してんの?・・・つか驚かせちゃったみたいね、悪ぃ」
「・・・いえ・・・」
青年の屈託の無い笑みに彼女は少しずつ落ち着きを取り戻す。
悪いヒトでは無いようだ。
「・・・私はただ・・・少しだけ、羽根を伸ばしに」
少し困った表情の後に照れた笑みを浮かべる。
少女は問い返す。
「貴方こそ・・・どうしてこんな場所へ?」
この野原に立ち寄るヒトなんてほとんど居ないのに。
寂しそうに付け加えると彼女は俯いた。
「オレは小煩いヤツから逃げてきただけ」
「何か悪戯でもしたのですか?」
「オレってそーゆぅ風に見える?」
「えぇ、少し」
「見抜かれてんね」
くすくすと彼女は笑った楽しそうに。
彼は屈んで手を差し出した。
「オレは泰央<タイオウ>。おネェさんのおナマエは?」
「・・・私は・・・翠蓮<スイレン>と申します」
彼女はその手を握り返す。
小さな手だった。

近くて遠いの。

貴方との距離。

近付いてる筈なのに
ほんの些細な言葉で遠くなる。

ほんとうはね。

他のことなんてなんにも考えないで
ずぅっと
二人ぽっちで漂っていたいの。

あったかくて
やさしい時間を
二人きりで共有するの。

あの日の言葉は
どこまで本気?

早く早く
その時がきますように。
そこに居てくれるだけでしあわせなのに
あなたが居てくれることがしあわせの理由なのに
私はどんどん求めて我儘になっていく

そんな自分が嫌い

もういちど
見つめ直して
思い出そう

求めるだけが恋じゃないの

確かめよう

どうして私が
しあわせな気持ちになれるのか。
たった1つだけ願いごとがあるの。
それは決して叶えられない願いごと。
死ぬまで叶わない願いごと。

もしも叶う時がくれば
私はどんなにしあわせなんだろう。

叶える為に
生きてくの。

叶えるために
死んでいくの。

今はまだその途中なの。
どうか叶う日がきますように。