私立の受験まであと一ヶ月をきった時、娘はまた情緒不安定になっていました。
「お母さん、私、私立も落ちるかもしれない」
ソファに座っていた私の膝に頭を乗せて泣き始めました。
話しを聞くと、自信があった模試の結果がいまいちで落ち込んでいるのが理由でした。
娘が泣くなんて久々の事だったので私も一緒になって泣いてしまい、ありきたりな言葉しか言えませんでしたが、ずっと背中をさすって励ましていました。
気持ちが落ち着いて泣き止んだ娘は、「今日は歌番組に推しが出るから見て元気だそう!」と言って笑ってくれました。
夜、宣言通りテレビの前に来てスタンバイしている娘を見て私は安心して笑ってしまいました。
そんな流れを一切知らない旦那は、
「お前私立まで1カ月切ってるのにそんなに呑気でいいのか~?」
と以前と同じように言ってきました。
もちろん自分はゲームをしながら。
「ちょっと休憩してるだけ!」
前は笑って受け流していた娘の顔が曇っていきました。
旦那は娘のそんな表情の変化に気付くわけもなく、
「お前のちょっとはいつも長いじゃん!そうやって休憩してる間にみんな勉強してるんだよ」
受験が近づいてきて、旦那も心配しているのは分かったのですが、タイミングが悪すぎました。
「推しが出るからそこを見るだけだよね」私がそういうと、
「はぁー…そんなの合格したらいくらでも見れるじゃん」
私がキレる前に、娘がキレました。
「ゲームばっかりしてる人にそんな事言われたくないよ!」
パパ大好きな娘がこんな言い方をするのは初めてで驚きました。
「俺は仕事して、ちゃんとやることやってゲームしてるの!」
「私だってちゃんとやってるし。見てないのに勝手な事言ってプレッシャーかけてくるのやめてよ‼」
娘は泣きながらリビングを出ていきました。
夫婦だけでなく娘と旦那もケンカして、家庭の中はもうめちゃくちゃになっていました。