ソファでうとうとする旦那のそばで、私はお高い方のワインを飲みながらラインを見ました。
旦那は、「俺はなにもしてないのに申し訳ないな。嬉しいけど…困るな」
と返していました。A子は、
「この前もごちそうしてもらって、そのお返しなので気にしないで下さい!」
と返していました。
イラっとしましたが、それ以上にもっと許せない事が書いてありました。
旦那にラインを送っていた夜、A子の子供は嘔吐と下痢で夜間救急に行っていました。
ウイルス性の胃腸炎だったようで、「病名がわかって安心しました!」と書いてありました。
旦那へのプレゼントを考えている間、子供さんの体調はすでに悪かったのではないか。
よその旦那の誕生日を祝っている場合ではなかったのではないか。
やっぱりA子の言動が私の考える常識とはかけ離れ過ぎていて、旦那と同じ匂いしかしなくて、恐くなりました。
この子に私の怒りを訴えたところで本当に通じるんだろうか…
私は架空の人物・安田君とのラインで、架空とわかっているのにA子のような内容を書くことができませんでした。
仕事でのミスに対して次はこうしたらいいよというアドバイス、読んだ本やドラマの話し、正直旦那が心配して何か言ってくるような内容ではありませんでした。
自作自演までする意味がないとわかっていても、理性が邪魔してどうしても書けませんでした。
結局は、自分と対話する事で心を安定させるのが目的になってしまっていました。
午前0時過ぎ、やっと起きた旦那は空になったワインボトルの写真を撮り始めました。
目の前で写真を撮る旦那を見て、それをどうするつもりなのかも分かっていた私はキレました。
記憶をなくすほどではないけど、私も旦那も確実に酔っていました。
「あんたの誕生日、13分前に終わったからね」
この後待っていたのは、史上最悪のケンカでした。