今朝、日経電子版に以下のようなインタビューが掲載された。
「元イクメン、現イクジイ」の綱渡り育児 斎藤敏一ルネサンス会長
「イクメン」という言葉がなかった昭和の時代。スポーツクラブ大手ルネサンスの斎藤敏一・代表取締役会長(70)は、看護師の妻と共働き家庭を築き、4人の子供を育てあげた。現在は経済同友会の幹事を務める傍ら、孫育てにも忙しい。上場企業トップには珍しい「元イクメン、現イクジイ」の斎藤さんに男性が育児を担う効用を聞いた。
――孫の世話を時々しているそうだが。
「小学6年から幼児まで8人いる孫のうち、日本で暮らす7人の育児を妻と手伝っている。レストランを経営し休日も働いている長女の子供3人を預かることが多い。公園で遊ばせたりレスリングごっこにつきあったり。自分も育児をしてきたので孫の世話は楽しい」
――時代を考えると、大手企業のトップで共働きは珍しいのでは。
「妻は看護師だった。勉強をして資格を得たのだから、働かない選択肢はなかった。妻は仕事にやりがいを感じていたし、私も妻が仕事を続けるのは当然だと思ってきた。入社後、スイスに留学し、現地では働く女性が多くいた。自分の妻が働くのも当たり前だと自然に思うようになった」
――共働き家庭の育児の支援策も整っていない時代。大変だったのでは。
「保育園への送りは毎朝、私が担当した。苦手な料理以外はすべて分担した。朝の着替えや夜の風呂入れ、掃除など。社内ベンチャーとしてルネサンスの前身を立ち上げたときは多忙で、第三者の手も借りた」
「毎日綱渡りだったが、充実していた。妻と2人で乗り切ったことがいい思い出になっている。4人の子供たちもみな共働き志向が強く、私たち夫婦がやってきたことを継承しているようだ」
――父親、祖父が子育てを支えるメリットは。
「一緒に育児を担っていけば、女性は時間ができ、社会に出ていける。祖父も孫とふれあうことで育児への抵抗感がなくなる」
「女性が働くことに偏見や抵抗感を抱かない男性も増えるだろう。ルネサンスは上場企業の中で、会社法上の役員に就く女性が3人以上いる数少ない企業だ。私自身が女性が働くことはごく自然なことだと思っており、これは働き続けてきた妻のおかげでもある」
(聞き手は編集委員、武類祥子)
「さいとう・としかず 1967年京都大学工学部卒、大日本インキ化学工業(現DIC)入社。スイス連邦工業大学留学。79年、社内ベンチャーでルネサンスの前身を立ち上げる。92年社長、2008年から現職。」
また、今朝の日経の1面、「W の未来 俺に任せろ」の最後の方に私が以下のように紹介されている。
「スポーツクラブ大手、ルネサンスの会長で経済同友会幹事の斎藤敏一(70)は元イクメン、今イクジイだ。看護師の妻と共働きで4人の子供を育て上げ、「苦手な料理以外はすべて分担した」。現在は孫8人のうち国内で暮らす7人の育児を手伝う。「父親や祖父母が一緒に育児を担っていけば、母親は時間ができ、社会に出ていける」と斎藤は言う。イクメンは将来のイクジイ予備軍でもある。
少子高齢化で労働力人口が減る中、女性の活躍と次世代の育成は経済成長に不可欠だ。どちらも実現するには、あの手この手で総力戦で挑む必要がある。物理的にも経済的にも支える手を持つイクジイが果たせる役割は大きい。」
