魔王のお見合い! 第六十七話『集結す!』
守桜が振り返って、魔王を急かす。
「ほら!さっさとする!」
「は、はい!」(エスコートしてって言ったのに・・・)
結局先導するのは守桜。
二人は手をつなぐこともないまま、映画館まで着いてしまった。
(手つなぎたいんだけど・・・)(だめね。尖っちゃうわ。)
料金を払い、映画館に入ると、二人は真ん中ほどの位置に座った。
「なんか買って来ますよ。」
以前と同じパターンで、魔王が席を立とうとする。
すると、守桜が魔王のピンクスーツの袖を引っ張る。
「いい。ずっと隣にいて・・・」
頬を桃のようにかわいく染める守桜。
「あ、え・・・」(かわいい!)
「べ、べつにアンタが好きな訳じゃないんだからね!ただ一人が怖いだけよ!」(あ、また・・・)
「は、はあ・・・。」
魔王はされるがままに席に戻った。
・・・その頃。
「ここよ。」
フューとジャンは、二人のいる映画館の入り口まで来ていた。
「さあて、どう料理いたしましょうか。」
フューの周りに、凍てつくような空気が流れる。
・・・さらにその頃。
「また『ポニョリータ』・・・」
ミクはフューの気配をたどって、映画館上空に到着した。
(吸血鬼は策敵能力が高いのよ!)
勝利を確信したミクは、にんまりと微笑む。
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魔王のお見合い! 第六十六話『頑固な父親!』
魔王のデートが始まろうとしていた頃・・・。
ヤンとヒメコは、新潟のヒメコの実家で『三度目』の『お願い』をしていた。
「ヒメコさんを・・・僕にください!」
「だめだ。」
仏頂面で頑に娘を渡すことを拒む男性・・・ヒメコの父親・佐藤 准[さとう じゅん]。
その様子を黙って見守る女性・・・ヒメコの母親・佐藤 アイ。
ヒメコやアイの名がカタカナなのは、ヒメコの曾祖母がイギリス人であることに関係あるらしい。
准は佐藤家に婿入りした身なのだが、その威厳から、いつしか誰も逆らうことができなくなってしまっていた。
「あなた、ヤンさんは良い方ですし・・・」
アイが珍しく口出しをする。
数日前に訪れて、もう三回目の申し出をしているヤンを見かねたのだ。
「ならぬものはならぬ。」
まるで会津男子のような口ぶり。
「おねがいします!」
「父さん、おねがい!」
「魔界だとかなんとか・・・訳の分からぬ連中に、娘を渡すはずがなかろう。」
普通の親でも同じことを思うだろう。
しかし、ヤンも引き下がらない。
「ヒメコさんを・・・一生幸せにしてみせます!」
「もう聞き飽きた。出てけ。」
「父さん!」
「出直します。」
「もう来なくていい。」
黙って出て行くヤンに、ヒメコは渋々ついていく。
・・・
ヒメコと同じ部屋に泊まることを許されないヤンは、物置のように散らかった部屋で物思いに耽っていた。
ヒメコの家は立派な屋敷である。
家政婦も数人いる。
また、裏には山がそびえ、そのせいか屋敷はどことなく暗い印象を帯びている。
手入れされた庭がヤンの部屋から見えて、その趣深さが余計にヤンを悲しくさせた。
「はあ。」
これでもか、というくらいに輝く星空が慰めるかのようにヤンを照らす。
「諦められる訳・・・ないですよ。」
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