1on1ミーティングの落とし穴

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こんにちは。
リバース・フロウの清原です。

 

とにかく暑いですね。

 

一説によればここ100年で、日本の平均気温は

3.2度も上昇しているとのこと。

 

「節電しましょう」と言い続けてきたメディア

が、いまや「冷房をつけてください」と連呼す

る世の中は、想像もできませんでした。

 

 

さて今日は、あらたまってマジメな、しかも

具体的な仕事のお話をしようと思います。

 

ここ3~4年で、企業の耳目を集めている「1on1」

についてです。

 

※すみませんが、1on1そのものについての基本説

明は、このコラムでは省略させていただきます。

 

 

当社も組織開発の会社ですので、やはり「1on1」

導入を検討されたい企業様から相談をいただくこ

とが増えています。

 

なぜここに来て、1on1がこれほど注目を集めて

いるかは、想像に難くなく

・職場でのコミュニケーションが減っている

・若手の定着率が良くない

・経営と現場の温度差が広がっている

など、

 

まさにVUCAの時代を迎えた昨今に起きがちな

現象が、その背景になっています。

 

その波に乗るかのように、多くの研修会社も

1on1を推し進めています。

ここでは、

企業側が、念頭に置いておくべきことを

申し上げておきたいと思います。

 

いくつか簡単なポイントにまとめましたので、

経営者やHR責任者の方々のご参考になれば

うれしく思います。

 

1on1導入の際に注意すべきポイント

 

  1. 1. 本当に1on1でその問題は解決するか
 

コミュニケーションの質が悪いというのは、

たしかに組織にとってはいずれ大きな災いを

もたらす要因になり得るものです。

 

たしかに1on1はその問題に貢献はできる

ものでしょう。

 

でも、よく考えていただきたいのですが、

組織のコミュニケーションが悪いのは、

だいたいにおいてリーダーのコミュニケー

ションに問題があることが多いです。

 

リーダーの行動を変容することが、組織の

行動変容につながるという原則を考えれば

、まずは社長なり部門長なりが、腹をくく

り、プロの力を借りて一人で行動変容に取り

組むべきです。

 

よく検討いただきたいと思います。

 

 

 

2. コストと時間がかかるもの

 

1on1を導入したからといって、今期中に

業績が上がるとは約束はできません。

 

私のクライアント企業様で言えば、

1on1とは、

企業風土を変革するためにしかけるものだ、

と、ご認識いただいています。

ここを理解できる経営者、HR責任者は、

さすがです。

導入に、無駄な投資をせずに済むでしょう。

 

企業には、「文明」と「文化」があります。

 

文明とは、明文化されたあらゆるもの。

評価、開発プロセス、アカウント管理、業績

など、だれもがきちんと認識し、再現されなけれ

ばならないものです。

 

一方、

文化とは、明文化されていない、あらゆるもの。

人間関係、暗黙のルール、コミュニケーション

の良し悪し、飲み会の頻度、伝統的な共通言語

などです。

そこにしばらくいないとわからないが、いった

んわかれば、人間どうしの絆を左右する最大の

要因となります。

 

それで、1on1は、何のためかといえば、

 

文明ではなく、文化を整えるものです。

 

ですから、組織風土を改善するというのは、

まずは「文化」(ソフト)そして「文明」

(ハード)という順を追って、取り組むべき

ものだ、ということです。

 

1on1は、組織風土のソフト面をまずは整備

する、という認識で、検討を進めてみてくだ

さいね。

 

 

3. そのコンサルタントで本当に大丈夫か

 

コンサルタントではない研修講師に、1on1

導入を相談しないでください。

 

あらためてその棲み分けを理解いただいたい

のですが、

 

研修講師は、御社の問題を解決してくれません。

大勢の人に対し、答えのあるシナリオを伝える

人です。

御社の問題や課題を解決する提案はありません。

あらかじめ用意されたシナリオに沿って、忠実

に納品をおこないます。

 

コンサルタントは、御社の問題を解決するしくみ

をつくる人です。

シナリオはある程度しかありませんが、御社の

状況に応じた提案をおこなう人です。

 

※研修講師を否定するものではなく、役割の

違いを説明していますので、ご理解ください。

 

1on1を導入したい、というのは、表向き

どの企業も同じような問題を抱えているように

映りますね。

 

しかし、なにが問題でそのニーズに至ったのか

は、まさに企業の数だけ違うものです。

 

1on1が上手な研修講師ではなく、

1on1で本当に良いのか考えてくれるコンサル

タントに相談してみてください。

 

 

4. 失敗事例を知っておくこと

 

1on1が失敗する原因は何だと思いますか?

それは、上記3つのいずれかを、履き違えて

導入に踏み切ってしまうことです。

 

しかし、それらに加え、もう2つあります。

 

1つめ。

そもそも社長が「自分はやらなくてよい」

と決め込んで、会社を迷走させる。

 

 

これは、あり得ません。

当社のクライアント企業様で、そのようなこ

とを見過ごすことも、まずあり得ません。

 

1on1は、

社長が旗振り役の「組織風土改善プロジェクト」

なのです。

その社長が「私?いやいや。今さら良いよ」

という態度では、とうぜんですが、船頭の

いない船が出てしまったのと同然、とたんに

会社は迷走します。

 

 

 

そして、これが最も多い失敗例です↓

 

2つめ。

尊敬されていない上司が1on1をやって

部下のモチベーションを下げる。

 

 

そもそも1on1をやること自体、時間的な負担

を実施者にかけることは事実です。

 

ただでさえ忙しい中間管理層にとっては、

「めんどうな仕事がまた一つ増えた」という

のが、ほとんどの本音でしょう。

 

「でも、会社が言うことだから仕方ない」

という、

仕事の流れの一環で始めてしまうのです。

 

これは、非常に危険です。

いや、危険というよりも、「害」です。

 

普段から部下に信頼の薄い上司というものは、

部下からすれば、

「できるだけコミュニケーションを避けたい」

人でしかありません。

 

その上司が、「やれやれ。仕事が増えた」

というテンションで、

無理やり個別のミーティングを設定し出した

ら、何が起きるか、想像できますよね?

 

部下としては、

ただでさえ話したくない上司と、

これから2週間に1度、ミーティングするの?

ということになります。

 

当然、本音など言わなくなります。

 

そして、めんどくさそうに目の前にいる上司

に対して、本音ではない適当な言葉を並べ、

 

その時間が苦痛でしかなくなります。

 

 

上司も上司で、

 

形ばかりの1on1をこなし、

 

部下からの適当な言葉を「本音だ」と信じる。

 

そしてある日、部下から「じつは会社を辞め
たい」と言われ、

 

「なぜもっと早く相談してくれなかったんだ」
となります。

 

なぜって。。。
本音を言わせないようにしていた上司が原因
だ、と本人も気づいていないのです。

 

 

とてつもなく非生産的な時間だと思いませんか?

 

 

つまり、最大の失敗事例というのは、

 

1on1をやって生産性が下がった

 

という、残念でしかない結果を招くことも

あるのです。

 

 

つまり、1on1は、組織風土を改善するという

目的でなければならない、と私が主張するのは

これが理由なのです。

 

1on1を始める前に、

上司と部下の関係性に目を向けるのです。

 

1on1を始める前に、

上司がみずから内省し、人間として成長

する必要があるのです。

 

1on1を始める前に、

「人の成長に関わる」ことがどれほど覚悟が

いることなのか、腹をくくる必要があるのです。

 

間違っても、

仕事の一環などという認識で、取りかかって

いただきたくないのです。

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

 

世間で流行っているという理由で、形ばかり

の1on1を推し進めようとするのは、危険です。

 

まずは、リーダーご自身の内省からスタート

しましょう。

 

当社のクライアント企業様、経営者の方々に

は、何度も繰り返して申し上げている内容です。

 

 

相談しようかな、と思ったら、まずは上記を

よく吟味してみてくださね。

 

 

御社の企業風土の改善の一助になれば、

うれしく思います。

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとう

ございました。

 

 

~人生とビジネスをフローにするために★☆

◆◇◆ 今週の箴言(しんげん)◆◇◆
(ラ・ロシュフコーより)

 

自分自身を信頼すれば、

 

他のことに対しても

 

信頼が生まれてくる。

 

 

 




引用元:1on1ミーティングの落とし穴