コロナ恐慌は起きるのか? コロナ不況 失業 倒産 世界恐慌 景気後退 GDP | ЯαYの日記

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信なくば立たず

 新型コロナ(SARS-CoV-2、COVID-19)の経済的影響は「スペインかぜ」が参考になるでしょう。以下のグラフでご説明しますが、少し予備知識を説明させて下さい。


 スペインかぜの流行は1918年~1920年です。このインフルエンザは致死率3.4%~10%で(新型コロナよりかなり致死率が高いです)、更に死者の大部分は経済の中心の若い世代で、新型コロナより経済活動に対する影響はずっと大きいと思われます。

 更に当時の全世界人口の25%が感染者ですから、感染率も致死率も感染者数割合も新型コロナを遥かに凌駕しています。しかも当時の医療や政府の対応は今より劣っていますので、経済的影響が出るならば新型コロナよりハッキリ出る筈です。

 もう一つの注意事項はスペインかぜ発祥の地はアメリカです。ところが名称が「スペインかぜ」になったのは、当時中立国だったスペインだけが患者数を公表していたためです。これは丁度第一次世界大戦と完全に被ってしまうので、参戦国は国内の不利な情報は一切出さなかった訳です。
 上記を予備知識として以下のグラフのアメリカの1918年から3年間位を見て頂ければと思います。

 


 如何でしょう、殆ど影響が無いのが判ります。一方イギリスは同時期に(一人当り)GDPを下げてますがこれは第一次大戦の影響です。
 一方アメリカの1930年辺りのグラフを見て下さい。GDPを大幅に下げてます。所謂「世界恐慌」です。その原因は「信用収縮」ですが、これは日本のバブル崩壊とその後の長く続いた不況と同じ原因です。これ以外の恐慌も全て自然災害や疫病の類ではなく、経済システムそのものが引き起こしています。最近のリーマンショックも当然そうです。

 多くの専門家が「(コロナの影響によって)世界恐慌レベル」が来ると予言してますが、ちゃんとデータを見て無いという事です。そこまで行かなくても大幅な景気後退が起こるという言説も同様です。この両者の意見が全てじゃないですかね。もし違う意見の専門家をご存じならばお教え下さい。大変興味深いです。
 
 ついでにあともう一つ1940年から数年間を見て下さい。戦勝国のアメリカもイギリスもGDPの伸びが高いです。もっと言えば日本も敗戦後のGDPがV字回復してます。これはグラフにない敗戦国ドイツも同様です。
 つまり戦争は勝っても負けても最高の景気対策になる。という事を知っておいて下さい。これに関してはまた別に記事を書きますが「人類はなぜ戦争をするのか?」の解答になります。


 悪い指導者がいるからとか陰謀があるから戦争するのでは全くありません

 兎に角僕が以前コロナ恐慌に対して言葉を濁した理由をご理解頂けたでしょうか。データとして否定する指標がハッキリ出てしまっているからです。それに基づく分析が外れたら申し訳ありませんが、自分的には外れる理由を知りたい位で寧ろ興味深いです。

 但し以前の記事でも書いたように「逆イールド」が発生してるのと、ドイツ銀行の倒産が何れ起きてそれを引き金に恐慌が起こる予定です。そのドイツ銀行の負債は260兆円なのですが、リーマンの場合の60兆円の4倍以上もあります。これが飛ぶのは時間の問題なのですがその規模です。リーマンの何倍ものアタックにどういう影響が出るのか想像もつかない位です。なので恐慌自体は何れにしろ近い未来に来るでしょう。是非とも予想が外れて欲しいものですが。
 
 強毒のスペイン風邪ウイルスでも経済的悪影響は殆どありませんでした。ではどの位の人々が死ねば影響があるのでしょうか?
 これは我々の太平洋戦争後の事を想定して頂くのが解り易いかもしれません。

 日本の太平洋戦争の軍属(つまり世代的に経済活動の中心)での死者は230万人です。当時の日本の20歳~40歳までの男性の人口は約1000万人ですから1/4近くが亡くなった計算になります。コロナどころかスペイン風邪なんか問題にならない位の人材損失です。

 ですが上記グラフの通り経済はV字回復です。つまりその社会を構成する4分の1(今の日本ですと3000万人)を失っても、経済活動への悪影響は全く無いのです。

 

 今回どの国の政府も経済を止めてしまったので、その分の悪影響は当然あるでしょう。止めた経済をまた動かしても暫くは厳しいと思います。

 しかしこれも太平洋戦争後の日本を想定すれば分ると思いますが、経済が止まってしまった上に社会資本もほぼ全滅しました。今のコロナの死者数よりも経済情勢も遥かに危機的です。それでもV字回復なのです。

 社会というのは災害や感染症等の人命損失に対しては実に強靭な抵抗力を持っています。逆に経済システムへのダメージにはかなり弱い代物なのです。
 
 【追記】
 新型コロナでロックダウン(かそれに準じた政策)が世界中の各国政府で行われてますが、これによって恐慌或いは大きな景気後退が起きると殆どの専門家は言ってると思います。 
 これがもし「一時的に悪化するが、数ヶ月で回復する可能性がある」と言って外れたら「恐慌になる可能性がある」という表現より遥かに社会的非難を浴びる可能性が高いからです。
 でも実は両者共同じ意味でして、後者は経済的には大丈夫な可能性もあるというのが含意されています。もうホント馬鹿馬鹿しいですよね。

 コロナ自体についてもそうです。前回記事に書いたように、新型コロナの致死率は30代までは0.2%で40代でも0.4%、つまり虚弱体質か持病でも無い限りまず死なないにも関わらずほぼ全ての医療関係者が大袈裟に言ってるのと同じです。

 でも彼等の本質的問題は経済的影響を全く考えないで発言する所です。医者は仕事は山ほどあるし収入も良いので、経済を止めてしまって困る人々の事まで想像が及ばないのだと思います。
  
 話を戻しますが、僕からみると「今生きてる人間で(本物の)恐慌を経験した人は居ないのだけど、良くもまあこんな断言出来るなぁ」という印象です。
 しかも景気後退にも言及してますから今後数年間の未来を慎重な分析も無しに(文章内容でも判るしそんなすぐに見解は出ません)言ってる事になります。
 未来の事なんか簡単には断言出来ない筈なのに「このまま行くと新型コロナは大参事になる」とか「経済の大不況が到来する」とかそういう見解は信用しないで欲しいと思います。
 それって政府が対策を全力でしてますので、予想が外れてもそれは政府が頑張ったからだと説明出来ますし、駄目だったら「やっぱり自分の予想が当たったろ」となり言った人間は無傷なのです。
 だから多くの専門家は最初から悪い方の予想を言っておいて、後付けで色々理由を持って来る。色々分析して考えて確信を持って述べるのではなく、最初から結論を決めておいて理由は後付けです。学者も含めた大部分は素人相手にそうして食べています。
 結局自分で勉強し、自分の頭で考え、自分で結論を出すしか無いなと僕は思っています。