ヘリオス44 3世代 ロシアンビオター 後編 続き | シネレンズとオールドレンズで遊ぶ!

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カメラマンヨッピーのブログ。シネレンズやオールドレンズなどのマニュアルフォーカスレンズをミラーレスカメラに装着して遊び、試写を載せていきます。カメラ界でまことしやかに語られているうわさも再考察していきます。

前編で紹介した工場の情報から一言にロシアレンズといっても広大な旧ソ連各地で作られていたことがわかる。同じ商品をいろいろな土地で同時平行的に長い年月作り続けているところがいかにも社会主義国らしい。ちなみにヘリオス44シリーズの基礎設計は50年以上変更されていない。


左から Helios-44-2(バルダイ光学機械工場)、Helios-44(
ミンスク機械工場)、MC Helios-44M-7(バルダイ光学機械工場


まずはHelios44
から。

Helios-44【ミンスク機械工場】

初期のヘリオス44でM39マウント。ロシアカメラには国内向けと海外向けが存在する。その差は分かりやすく海外向けは銘板がアルファベットで国内向けは キリル文字で書かれている。この個体は海外向けらしくアルファベット表記だ。このレンズのシリアルは50から始まる。ロシアレンズの定説で言えば先頭二桁 は生産年を示すが1950年にはヘリオスはおろかBTKやミンスク機械工場自体も存在していないためここの部分は謎である。

構成はビオターとほぼ同じ(M42 Mount Spiral に詳細が出ている。)でシングルコートが施されている。






M39マウントはM39-M42アダプターでM42化している。
コーティングが未熟な分、ハレーションも出やすい。写りの線が細い反面中心解像力は高く、絞り込むとさらに解像力は上がる。


Biotar譲りのグルグルが見て取れる。

背景はややざわつくがいい意味でオールドレンズらしい。

逆光時はハレーションが起こるが嫌味のない素直なハレーション。
順光時の発色は自然で階調も豊かだ。森の部分の日のあたり方が良く分かる。ややねむく見えるのこの豊かな階調のせいだ。


Helios-44-2【バルダイ光学機械工場】

ヘリオス44の後継モデル。M42化されていてボディーも黒塗りに変更。ロシアらしい紫のコーティング。外観としては刻印がカラフルになった。







鏡胴の刻印の印象がかなり変わっている。

青紫色のコーティングの色がロシアンレンズらしい。

ぐるぐるは初代ヘリオスとあまり変わらない。

発色もコントラストも高くなっている。ヌケがややいい感じ。

初代や最終型と違いややクールトーン。

写りに申し分はない。構成もビオターコピーなら硝材もビオターのコピーのようだ。いい硝材を使っている。



MC Helios-44M-7【VALDAY/バルダイ光学機械工場】

ヘリオスの最終型。マルチコートタイプになりレンズデザインも現在っぽくなった。透過率、解像力とももっともいい44M-7だ。

一気に近代的なデザインになりました。

刻印もシルク印刷。

やや控えめな色のマルチコート。

刻印の色は2代目を踏襲してる。



このカットは3枚とも驚くほどよく似ている。

3枚の中でもっとも鮮やか。MCが効いいるようだ。

少しアンバー寄りの写りです。

抜け感は3本中トップだ。


写りを比べてみると










色調はHelios-44-2のみクールトーン。

逆行条件でも比べてみた。

上がシングルコートのHelios44、下がマルチコートのMC Helios-44M-7。
上のほうが均一にハレーションのベールが覆っている。一方したの写真は画面の場所によりハレーションにムラがある。帯の部分のヌケは良いがその下ではかえってハレーションが悪化している。

上は全体にハレーションが覆っている。ややヌケが悪いが雰囲気はある。
下のMCの写真はヌケが改善して発色が良くなっている。
こういった写りは個人の好き嫌いになってくるが、個人的にはシングルコートのHelios-44が好みである。

同構成のレンズのため僅差であるが、ハレーションのベールを出したいならHelios-44。クールトーンがお好みならHelios-44-2,逆光時のヌケを求めるならHelios-44M-7をチョイスすると良いようだ。