
盗みに入った先から逃亡中、ビルから落ちた先は修道院。
その修道院のシスターたちから、富豪の父親に連れていかれ高層ビルの最上階に閉じ込められている仲間のシスターを助けて欲しいと依頼されたドートマンダー。
終盤は特に声を出して笑ってしまうような展開でしたが、これまで以上にお笑い要素多めなので、面白いけどこれ以上ギャグ・テイストを強めて欲しくないなぁと思ったりも(笑)。
けれどもその分(?)、最後はきれいな着地点を見せてくれたんじゃないでしょうか。
さて、今回はドートマンダー自身の不運の連続にはもちろん笑ってしまうんですが、監禁されているシスターを助け出すためには仲間が必要。
しかし、無償で手伝ってくれるのは腐れ縁の相棒ケルプぐらい。
そこで、侵入したビルのテナントに入っている店から、金目の物を盗み出すという事で仲間を集める事に。
今回の仲間となったタイニー、それに初登場のハウイーの活躍ぶりが目を引くんですが、ハウイーに関しては少々アクが強過ぎな道化師的な役割でかき回してくれ、笑わかせてくれます。
一方の大男のタイニーはいつもと変わらぬその恐ろしい様子を見せるかと思いきや、今回、盗品を隠して捌く場所として利用する事になる通販会社のオーナー、J・C・テイラーに対する意外な態度にはニヤリとしちゃいますね(笑)。
そうそう、シスターたちや、ドートマンダーの恋人メイ、それに初登場のJ・C・テイラーといった女性陣の強さも印象的でした。

ドートマンダーが単独で盗みに入った貴金属店。
目ぼしい物を手に入れて意気揚々と恋人のメイが待つ自宅に帰ったものの、たまたま持ち帰った大きなルビーの指輪は実はとんでもないお宝、アメリカがトルコに返却予定だった「ビザンチンの炎」だった。
そうとは知らず呑気な様子のドートマンダーですが、そのルビーの指輪と自身が狙われている事を知って右往左往する様子が、まさに命がけだけに実に可笑しいです。
NY市警は盗んだ犯人を探すために街中の悪党を引っ張り締め上げ、悪党たちはそんな状況に追い込んだ犯人を恨んで警察に引き渡すべく動き出します。
警察やFBI、ルビーの持ち主であると主張する国々や、宗教的な理由から犯人の命も狙う集団、更には仲間である悪党たちからも追われ、まさに四面楚歌なドートマンダーですが、ケルプの助けを借りつつ起死回生の一手を打つ事ができるのでしょうか。
いつもはドートマンダーから疫病神扱いされているケルプが、健気にも今回はドートマンダーを助けるために一緒になって危険な状況に飛び込む姿、その友情は胸を熱くさせてくれます。
もっとも、どんな状況でも陽気なケルプです。身を潜めた先でもドートマンダーをイラつかせるのはしょうがないですよね(笑)。
そして誰もが恐れる大男のタイニー。
今回、ルビーを盗んだ者を探すために街中の悪党たちから情報を得ようとリーダーシップを発揮する様子や、仲間たちを守ろうとする行動には、単なる力自慢で恐怖の対象でしかないのかと思っていただけに、意外性のある人物だったんだなと印象的でした。
それからドートマンダーを追う警察やFBIの個性的な面々のやり取りも可笑しかったですね。
特にマロ―二―警視正が、ドートマンダーからの電話を切ってしまう場面では思わず笑ってしまいました(笑)。
『ミッキー7』の続編。
エクスペンダブルズ(使い捨て人間)としての任から解放されたミッキーですが、再び自分のクローンを目撃します。
一体何が起こっているのかと思っているところに犬猿の仲というか反目し合う司令官に呼ばれます。
この星に移住してきた人類たちにとって危機が迫っているため、反物質爆弾を回収しないといけないという…。
ミッキーは反物質爆弾を回収するために、敵対している先住者のムカデの協力が必要になってくるんですが、そのムカデたちもまた敵対するムカデたちとの問題があり、単なる回収作業で済むはずが、ミッキーは思いもよらない危険な冒険に挑む事に。
ミッキーは乏しい装備で恋人のナーシャと友人のベルト、それに警備兵のキャットたちなどと共に探索行に赴かざるを得なくなるのですが、仲間同士でも意見は一致しないのに、果たして異星人と信頼関係を築き協力し合えたり出来るのでしょうか。
ムカデと意思疎通を図るにも、価値観など根本的な違いから、なかなか理解を得る事ができない様子などがユーモラスな描写を交えながら展開するので、ミッキーたちが陥る危機的状況も、どこかコミカルで、危機や苦難をどう乗り切るのかを楽しみながら読む事ができました。
そうしてミッキーがどうにかこうにか意思の疎通を図り、理解し、協調しようとしてきたムカデとの関係、終盤はなかなかに胸熱なものがあり、ちょっとグッとくるものも。

ところで前作はポン・ジュノ監督によって映画化(映画版は『ミッキー17』)されて公開中ですね。どのように映像化されているのか、観てみたいです。

6月のH.E.A.Tの来日公演のチケットのDLが昨日できました。
整理券番号、うまくいけば最前列を陣取れる番号でした。
楽しみ(≧▽≦)
さて、3月の読書記録ですが、3月はウェストレイクの〈ドートマンダー〉シリーズ祭りでした。
未訳だった『うしろにご用心!』が翻訳されたのを機に、シリーズ1作目から再読キャンペーンを実施。
毎日笑いながら読んでいます(笑)。
しかしその間に積読山脈が大きくなっているので、この後も続ける思案中です(;・∀・)
3月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:3765
ナイス数:320
逃げだした秘宝 (ミステリアス・プレス文庫 122 ドートマンダー・シリーズ)の感想
再読キャンペーン中〈ドートマンダー〉シリーズ5作目。今回は単独での仕事を首尾よくこなしたと思ったら、盗んだ宝石はとんでもないお宝。それを知らない呑気な様子のドートマンダーが宝石と自身が狙われている事を知って右往左往する様が、真剣だけに可笑しい。いつもは疫病神扱いされているケルプがドートマンダーを助ける様も、なんだかんだ言いつつ友情が胸を熱くさせます。力自慢なだけかと思ってたタイニーがリーダーシップを働かせたり皆を守る姿を見せたりするのも良かったですし、ドートマンダーを追う警察側も個性的で楽しいかったです。
読了日:03月30日 著者:ドナルド・E. ウェストレイク
悪党たちのジャムセッション (角川文庫 ウ 11-4)の感想
再読キャンペーンその4。今回は絵画盗難による保険金詐欺の手伝いとして、財政難の持ち主から絵画を盗んで後で返すというドートマンダーたち。首尾よく盗みは成功と思いきや、またも不運が。けれども起死回生の手段にかつての仲間達も加わり、その後のパーティの場面はなんだか胸が熱くなるものが。でもそこで終わる訳もなく、更なる深みにはまるドートマンダーたち。序盤でドートマンダーがケルプを受け入れる場面のケルプの姿も可愛かったですし、ラストの甲冑での追いかけっこも絵になりますw
読了日:03月28日 著者:ドナルド・E. ウエストレイク
ジミー・ザ・キッド (角川文庫)の感想
〈ドートマンダー〉シリーズ再読キャンペーンもシリーズ3作目に突入。今回は子供を誘拐するという。それもウェストレイクの別名義リチャード・スタークによる〈悪党パーカー〉シリーズの中の『誘拐』という作品(実在しない)の内容をそのままに誘拐事件を企てるというもの。もうこの設定だけでご飯が食べれますw そして当然の如く計画通りにはいかず渋面のドートマンダーw 誘拐された当人にジミーが頭が良くていい子なんだけど、そのジミーが最後に見せてくれるものとは?!ラストがまたいいのよね。それを見たドートマンダー達を見てみたいw
読了日:03月25日 著者:ドナルド・E. ウエストレイク
強盗プロフェッショナル 改版 (角川文庫 ウ 11-2)の感想
〈ドートマンダー〉シリーズ2作目も何度目かの再読。今回は銀行強盗、というか銀行強奪!冒頭、ドートマンダーが百科事典販売詐欺からのケルプに新たな仕事をもちこまれる描写だけでもう笑えます。恋人のメイやドライバーのマーチのお袋さんの活躍も楽しい。そうしてドタバタとした銀行強奪の結末はいかに。唖然茫然、ケルプの甥のビクターの「ただ見てるだけならビューティフルだった」というセリフと、それに対するケルプの返しには爆笑でしたw
読了日:03月24日 著者:ドナルド・E. ウエストレイク
マチネの終わりに (文春文庫 ひ 19-2)の感想
「未来は常に過去を変えている」。なによりもこの言葉とテーマが染み入りました。クラシックギタリストの蒔野聡史と国際ジャーナリストの小峰洋子。自立した二人だからこそ一度会っただけの人を愛し、婚約を解消して一緒になろうと思えるのでしょうか。過去と未来、愛と憎しみ、戦争と平和、色んな要素を絡めつつ、すれ違った二人の運命を見届けたく後半は没頭するように一気読みでした。正直すれ違うようになる場面は昔のメロドラマとかトレンディドラマみたいなんて思ったりもしたんですけどね(笑)。
読了日:03月22日 著者:平野 啓一郎
ホット・ロック (角川文庫 ウ 11-1)の感想
久し振りに何度目かの再読。もう冒頭から面白く、何度も笑いながら読みました。依頼されたエメラルドを盗む仕事は何度も不慮の事態で失敗。それを奇想天外、予想の斜め上をいくような計画でもって再チャレンジしていく様は、個性的で憎めない悪党たちのお陰でとにかく楽しい。この仕事に嫌気をさして百科事典を売る方がいいとぼやくドートーマンダーの悲哀に満ちた姿と、対照的に能天気なケルプの姿が可笑しくてしょうがなかったです。シリーズまとめて復刊希望!
読了日:03月20日 著者:ドナルド・E. ウエストレイク
ミッキー7 反物質ブルース (ハヤカワ文庫SF)の感想
『ミッキー7』の続編。任務から解放され平和に暮らしていたミッキー。しかし反物質爆弾を回収しないといけなくなり、先住者のムカデの協力が必要に。しかしムカデもまた敵対する生物との問題があり、ミッキーたちは思いもよらぬ危険な冒険に挑む事に。仲間同士でも意見が一致しないのに、異星人と果たして信頼し協力などできるのか。ユーモラスな描写を交えながら進むので、危機的状況でも楽しみながら読めました。終盤の展開はなかなか胸熱でもあり、前作の映画版を観るのも楽しみ。
読了日:03月18日 著者:エドワード・アシュトン
オリンピアの感想
【再読】というか再々読になるかも。連作短編集ながら、ほぼ長編といっていい構成。でも、各章はどれも読むたびに何かしらの発見や気付きが得れます。とつぜん目の前に投げかけられる描写は、時に理解しづらく何度も少し前に戻って読み返すことも。少年時代の主人公の純粋な残酷さ、妹への優しさ、そして悲劇を受けた後の青年時代を越えて、最後は救いと希望が浮かびあがる光景に、家族の物語として暖かく優しい気持ちで本を閉じる事ができました。また時間を置いて読んだら新たな気付きもありそうです。
読了日:03月14日 著者:デニス・ボック
世界でいちばん幸せな屋上-ミルリトン探偵局 (中公文庫 よ 39-12)の感想
〈ミリルトン探偵局〉は、黒猫のシンクが持ち帰ってくるものでその背景を推理するけど決して解明はしない。今回はそのシンクが持ち帰ってくるだけでなく、逆に持って行った先が描かれます。それはまるで円田さんが想像し創造したい鏡の世界のようで、なんだか時空まで超えて幸せな気分にさせてくれます。前作よりも大人になった音ちゃんにとって将来や未来はどんなものになるのでしょうか。でも今この瞬間に幸せを感じれるのは何よりも素敵な事なのでは無いでしょうか。
読了日:03月10日 著者:吉田 音
オリンピアの感想
ドイツからカナダに移住してきた家族の物語。オリンピックに出場した祖父母や父を持つ主人公のピーターによる視点で描かれる家族の歴史は、その色彩や触感、音や空気感まで鮮やかに脳裏に浮かぶようです。家族にとってとても辛い出来事がいくつも起こり、それはピーターが父と追いかけた竜巻のように家族を飲み込みます。けれども最後の奇跡のような情景に圧倒されます。それはピーターにとって人生を肯定する希望のようなものだったのかな。最後、こみあげてくるようななんともいえない感情の波が心地良かったです。
読了日:03月08日 著者:デニス・ボック
うしろにご用心! (新潮文庫 ウ 26-2)の感想
不運な犯罪プランナー、ドートマンダーとその仲間たちの活躍が読める、もうそれだけで嬉しい。大富豪のプレストンが不在中のペントハウスから美術品などを盗み出す計画と、あじとに使っている〈OJバー&グリル〉の閉店の危機を救うという、二つの軸で描かれるユーモア犯罪小説。まどろっこしくも感じる描写もふくめてニマニマとじっくり読み進めていくと、終盤の展開にはニヤニヤ。なるほど「うしろにご用心」とはこの事かw 新顔のジャドスンの純朴な様子も可愛いかったなw ドートマンダーものの残りの未訳作品も紹介されますように!
読了日:03月02日 著者:ドナルド・E・ウェストレイク
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