主人公の新道依子という強烈なキャラクターが文字通り突然読者の前に現れたかと思うと、彼女という個人の存在について何も分からないまま、新道依子の内にある熱に煽られるように物語の渦に飲み込まれました。
力を振るうことが好きな依子。
彼女がその拳や脚などを思う存分振るう場面は鮮やかで情景も浮かびやすかったです。
この辺り、暴力描写の激しい作品を読みなれている読者には若干ライトな感じに映ったりするかも。
自分も、某あの作家や某この作家が描いていたら、もっとエグくてよりインパクトがあったんじゃないかな、なんて思ったりも。
けれども、依子が喧嘩や、暴力を振るうのが好きなんだと自覚する場面にはゾクッとするものがありましたし、依子がボディガードをつとめることになったヤクザの令嬢である尚子との関係性が変わっていく様子も自然に受け入れるような描写だったかと思います。
そんな依子と尚子、二人の運命が大きく動く出来事が起きた後から描かれるもの。
そこに最初は違和感を覚えたものですが、その違和感の正体が判明した時には思わず「おお」と驚き、「やられた」とちょっと悔しく感じたりも(笑)。
さて、依子と尚子、二人に関係とは一体どんなものだったのでしょうか。
依子自身も言葉として明確にできるものでは無いようでしたが、確かに愛情や友情といったものもそこには含まれているのかも知れないけれど、二人が運命共同体であったことは間違いないんでしょうね。
ところで本書は200ページほどで、あっという間に読み終えることができます。
それは依子自身のことについて以外にも、柳というヤクザをはじめとして気になる人の運命が描かれていらず、読者の想像に任されている余白が大きいからでもあるのかも。
そしてそれは、読み手によって受け止め方や感じ方が違ってきそうな、鮮やかなラストシーンにも象徴されているのではないでしょうか。
本書は日本人初の翻訳部門のダガー賞受賞作ということで手に取ってみたんですが、自分と同じような人も多いんじゃないでしょうか。
普段は翻訳ものはあまり読まないとい方も、折角の機会ですのでダガー賞関連の作品も手に取って欲しいなぁ、と翻訳ミステリーファンとしては思うところでもあります(笑)。























