『闇の牢獄』 ダヴィド・ラーゲルクランツ | 固ゆで卵で行こう!

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貧困層出身の警察官ミカエラが、ストックホルムで起きたサッカー審判員撲殺事件の捜査に加わり、そこで出会ったのは、尋問のスペシャリストで心理学者のレッケ。

ミカエラは、美しい妻と娘を持つ富裕層のレッケとは何もかも正反対のようですが、どちらも問題を自身に抱えています。

特にレッケに躁鬱混合状態で薬物に依存、周りを振り回すような言動を繰り返しています。

しかし、二人とも洞察力と直観力に優れ、二人が組む事でより効果的な結果を生んでいきます。

中でも、二人を敵視するような相手を黙らせてしまうような場面は痛快です。

さて、著者自身も明らかにしていますが、本作はその設定からしてシャーロック・ホームズへのオマージュが込められています。

しかし本家のホームズに比べても、レッケは離婚したり自殺を図ったりと、目に見えて危うい様子が。
そんなレッケを魅力的に感じるワトスン役のミカエラも、自身が移民の出である事に加え、犯罪者の兄を持つなど、こちらもこちらで危うさが。

事件そのものは最初に抱いた印象からは思いがけない展開を見せ、思わず「え、これってそういうお話なの?!」と思ってしまいました(笑)。

さて、持たざる者とそうでない者、多くの移民や難民を受け入れてきたスウェーデンが抱える問題、価値観の違いなど、現代的で根深く、解決が難しい現実もが描かれる中、二人が立ち向かう事になるものは一体?!

三部作になるという事で、二人の今後のバディぶりが楽しみです。