- 著者:森見 登美彦
- 『太陽の塔』 (新潮文庫)
あろうことかこの「私」を振った水尾さん。
彼女を研究材料にと「水尾さん研究」にいそしむ私は、もてない友人達と共に妄想の限りの毎日を送る。
そして季節はクリスマスシーズン。
もてない男達の暴走が京都の街に・・・!
いやはや、これはなんとも言えない面白さ。
“研究”と称して振られた元彼女を追い回すストーカー男の妄執と妄想、ある意味空虚ともいえる日々。
これが単なるストーカーの日記ならひいてしまうところだけど、この妄想に彩られた日々には笑うしかない(笑)。
正直、これが受け入られるられるかどうか、また、自分自身を誤魔化し正当化するもてない男、なんて辺りに共感できるかどうかによってこの作品を楽しめるかどうかが大きく変わるかも。
京都を舞台にして、へんてこな小道具、一風変った同じくもてない友人達、他人の夢、それらが混然として、迎えるクリスマス・イブに巻き起こる騒動!
可笑しくて思わず吹き出してしまった(笑)。
とにかく物語を包む不思議な雰囲気が読んでて意外に心地よく、最後はほんのり切ない気分に。
ところで、著者のブログ も面白く、小説の雰囲気が楽しめるので覗くべし。
なお今回、3xnwさんの独特な視点が勉強になる「毒か薬」 さんの記事 に触発されてこの作品に接する機会にめぐまれました。
この場を借りて感謝を!