移植手術により左手を取り戻したシッド・ハレー。
しかし、その左手のせいなのか、妻のマリーナは娘を連れて家を出ていってしまう。
愛する妻を失う恐れに苦悩するハレ―の元に、騎手時代からの知人から競馬界で起きている不正についての告発が届き…。
文春文庫より刊行されている〈新・競馬〉シリーズもこれで3作目。
そしてシッド・ハレ―を主人公にした作品はこれで通算6作目ですね。
義手だった左手も移植したことによって、普通の生活を送れるようなったシッド・ハレ―ですが、まさかの家庭崩壊の危機に。
愛する妻が娘を連れて家を出てしまい、苦悩するのですが、このような危機に陥った理由もしかと分からないまま。
そんな中で競馬界に新たな不正疑惑が。
命懸けで告発した知人のために、そして愛する競馬界のために調査に乗り出すハレ―ですが、今回も大きな危険の渦に。
移植した左手のために薬も欠かせない状態でもあり、家庭の危機と共に平行して描かれることでスリル感も倍増。
しかしそれにしても最終盤の描き方が実に素晴らしい!
喪い、そして新たに繋げた左手と向き合うことは、自分自身、そして妻と正面から向き合うこと。
喪失と再生の物語。
思わず二度ほど涙がこぼれました。
特にラストシーンは感動的だったなぁ。
帯の、阿津川辰海さんにる「シリーズでも屈指の名シーン」とはこのことかと納得すると共に、思わず自分自身についても振り返ってみたりもしました。
