鑑賞歴50年オトコの「落語のすゝめ」

1956年に落語に出逢い、鑑賞歴50余年。聴けばきくほど奥深く、雑学豊かに、ネタ広がる。落語とともに歩んだ人生を振り返ると共に、子や孫達、若い世代、そして落語初心者と仰る方々に是非とも落語の魅力を伝えたいと願っている。


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“かかあ天下”をテーマにした「熊の皮(くまのかわ)」という滑稽噺を聴いてみよう。

 

八百屋の棒手振(ぼてふり 行商)をやってる甚兵衛さん、典型的な女房の尻に敷かれている亭主である。一緒になった当座はそうではなかったが、ある時女房に「おい!」と呼ばれてつい「はい」と答えた時から立場が入れ替わったものであったと述懐している。今日も仕事から帰ったばかりだというのに一服させてももらえず、女房の言いつけで井戸の水汲み、米とぎ、洗濯と次々にこき使われる。

 

やっと仕事から解放されて飯にありつく。好物の赤飯が出され、訳を訊くと、「お屋敷からの到来物(貰い物)のお裾分けだと言って横丁の先生(医師)から貰ったものだよ」と女房が言う。先生は甚兵衛の間の抜けた所が気に入って可愛がってくれているという間柄であった。

 

「で、お前さん、食べ終わったら早速お礼を言いに行ってきておくれ」「そんなもん、ついでの時でいいじゃねえか」「お前さんはすぐに物忘れをするから今行っておいで。私が口上を教えるから意味など考えないでその通りに言ってくるんだよ」という夫婦間のやりとりがある。

女房の教えた口上は、“先生はご在宅でいらっしゃいますか? 承りますればこの度はお屋敷からご到来の物があったそうでおめでとうございます。手前共にまでも赤飯のお裾分けをいただき、ありがとうございました”というもので、「最後に、“女房がよろしくと申しておりました”と言っておくれ。肝心なところだから忘れないようにね」と言って、尻を押すようにして甚兵衛を送り出した。

 

先生宅を訪ねた甚兵衛、「先生はご在宅でいらっしゃいますか?」「目の前にいるよ」「お屋敷がお弔いだそうでおめでとうございます。手前共にまでもご石塔をいただき、ありがとうございました。以上です」ととんちんかんに口上を言う。「今日はいつも以上に抜けていて面白いね、ますます気に入ったよ。言いたいことは分かりました。病気を治して上げたお屋敷のお嬢さんの快気祝いに貰ったものだよ。お礼などついでの時でよかったのに」「やっぱりそうでしょう、私もかかあにそう言ったんですが…」「甚兵衛さんの前に置いてある“熊の皮”も一緒に貰ったものだよ」「どうやって使うんですか?」「尻に敷くんだよ」「あっ! 忘れていました。女房がよろしくと申しておりました」。

 

【雑学】“かかあ天下”は“からっ風”と並んで上州(群馬県)の名物と言われている。これは、上州はかつては養蚕を始めとする絹産業が盛んで、これの担い手であった妻の方が夫より経済力が強かったことに由来するものらしい。従って、元来は“家庭を守る働き者”という意味であったが今は専ら“亭主関白”の対義語として使われるようになっているようである。

 

(草津温泉・群馬 2001年) 

 


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