(続き→その2: 満期日カレンダー

 

オプションの実践的解説記事はオプション道場をはじめゴマンとあるわけですが、米国個別株オプションの第一歩目の理解として教科書的な内容の解説記事があっても良さそうだと思い(それももちろん既にゴマンとあるとは思いますが…)、こないだたまたま目にしたOIC (The Options Industry Council) というオプション取引に役に立つ色々な知識を提供してくれている非営利団体の作成したハンドブックが、そういった入門にうってつけではなかろうかと思ったため、このハンドブックの内容をこれからシリーズで少しずつ紹介していこうかと思います。

 

しかし、チラリと見た限りでは非常に基本的過ぎて大して役に立つ情報はないかもしれない感じでもあったのですが、一応こういうきちんと網羅的にまとめられたものに目を通しておくのも悪くないのではなかろうか、と思った次第です。

 


より実践的で分かりやすい解説を見たい方は、やはりオプション道場の解説記事がベストかと思います。正直、別に教科書的な基礎知識などなしに第一歩目からオプション道場を読めば十分と言いますか、むしろオプション道場の解説を読んで理解できないならば恐らく何を読んでも理解できないのではないかとも思えてしまう所ではありますが…。

 

オプション道場・オプション取引入門講座
(http://www.option-dojo.com/le/)

 


(ついでにいくつか、以前オプションについて触れていた記事をピックアップしてみます)
オプション取引について

 

オプション取引について2~具体例を見てみる~

 

2016/05/12 ベアETFのプットオプションで大儲け?!

 

米国株オプション・権利行使後の手数料にご用心
 

米国株オプション取引はいつ決済される?
 

2016/05/16 ショートストラドル(もどき)に挑戦!?
 

なぜオプションの権利は行使されにくいのか?

 

株式分割・併合があった場合、米国株個別オプションはどうなる!?

→追記
→追記の追記

 

現物買いとコールオプション買いの比較~それぞれの利点・弱点は?

 

特別配当に伴いオプションはどう調整されるのか?
 

会社が倒産したら、そのオプションはどうなる!?
 

通算損益がプラスになったら…

(記事後半でオプション売りサイクルについて、Google株を使って触れています)

 

 

…無駄に自分の記事紹介リンクが長くなってしまいました。自分で言うのも何ですが、大体無駄に長く、とりとめもないまとめな感じなので、やはりオプション道場の解説が一番いい教材ではないかと思います。

 

 

 


前置きが長くなりましたが、オプションハンドブック第1回は、巻末の用語解説から始めようと思います。

 

基本的に単に内容を訳していくだけですが、気になる点があったら『(※注コメント:)』と濃赤字でコメントを入れようかと思います。

 

 

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個別株オプションを理解する
(http://www.optionseducation.org/documents/literature/files/understanding-equity-options.pdf)

 

p. 34 用語解説 (Glossary)

 

アメリカンスタイルオプション (American-style option):

購入日から満期日までの間、いついかなる時でも権利行使が行われ得るオプション契約。
※注コメント:米国株個別オプションはこのスタイルです。なお、実際は、極まれな例外を除き、満期日を迎える前に権利が行使されることはありません。また言い換えると、自分がオプションの買いポジションを持っていて大きく利益が発生する状況になったとしても、権利を行使してはいけません。権利を行使するのではなく、オプションを売り払いましょう。理論上、その方が利益が大きくなります。
参考:なぜオプションの権利は行使されにくいのか?

 


割り当て (Assignment):

オプションの書き手(=売却者。※注:オプション権利書にサインするイメージで、英語ではオプション売却者をwriterと呼ぶようですね)への、権利行使通知の割り当て。対象となる株を、権利保持者を相手に、指定された行使価格で、売却(コールの場合)もしくは購入(プットの場合)する義務を負う。
※注コメント:上の注コメントに書いた通り、通常満期日まで権利は行使されないわけですが、仮に特別配当があったりなどで満期日前に権利が行使された場合、割り当て対象となるオプション売却者が誰になるのかは、OCC(オプション取引を取り仕切るオプション公式機関)によって完全にランダムに決定されます

 


アットザマネー (At-the-money):

オプションの権利行使価格が対象となる株の市場価格と等しい時、そのオプションはアットザマネーであるという。

 


コール (Call):

オプション保有者に、対象となる株を、定められた一定期間、指定された行使価格で購入する権利を与えるオプション契約。

 


オプションのクラス (Class of options):

同じ株を対象とする、同じタイプ(コールかプットか)かつ同じスタイル(アメリカンかヨーロピアンか)のオプション契約。

 


ポジションを畳む購入 (Closing purchase):

オプションのショートポジション(=売りポジション)を減らすまたは無くすことを意図して行われる、購入取引。

 


ポジションを畳む売却 (Closing sale):

オプションのロングポジション(=買いポジション)を減らすまたは無くすことを意図して行われる、売却取引。

 


カバードコールオプション売り (Covered call option writing):

コールオプションを売却する時に、同時に対象となる株を同数保有しておくという戦略。
※注コメント: コール売りはカバードの形でないと大変危険、というより多くの証券会社では極めて大量の証拠金を用意しないと、カバードされていない形のコール裸売りをさせてくれないと思うので、コール売りはカバードコール売りの形が基本でしょう

 


カバードプットオプション売り (Covered put option writing):
プットオプションを売却する時に、同時に対象となる株を同数空売りしておくという戦略。
※注コメント: プット売りは最大損失が『行使価格での株買取』に確定しているため、カバードコールほどの登場頻度ではないかと思われます。そもそも現物口座では空売りができませんしね

 


派生証券 (Derivative security):

その価値が、部分的に他の証券、つまり対象となる証券の価値と特性によって決定される金融証券。

 


個別株オプション (Equity options):

個々の持分の株式に対するオプション。

 


権利行使 (Exercise):

オプション保有者が、対象となる株を購入する(コールの場合)または売却する(プットの場合)資格があると定めた権利を執行すること。

 


例外行使 (Exercise-by-Exception):

インザマネーで満期を迎えるオプション契約の、決済メンバー(注:およそ115の米国内大手ブローカー・ディーラーや、米国外の証券会社等々から成るグループのようです)による権利行使通知の提出を容易にする、OCCの手続き(Ex-by-Exとも記述される)。

通常、OCCは、決済メンバーにオプションを行使しないように通知されない限り、決済メンバーの決済アカウントにて、特定の閾値(注:行使価格が1セント以上インザマネーに入る)に従ってインザマネーで満期を迎えるコールもしくはプットオプションの権利を行使する。

各証券会社は、顧客に対して、OCCの閾値以外におけるインザマネーコール/プットの権利行使通知の申請について、追加で各社自身の条件を持つこともあり得る。
※注コメント:分かりにくかったですが、OCCによるこの自動権利行使のことを、Ex-by-Exと呼んでいる、ということのようですね

 


権利行使通知 (Exercise notice):

オプション契約の権利を行使するかどうかの希望を反映させるために、決済メンバーによってOCCに提出される通知。

 


権利執行価格 (Exercise price):

行使価格 (Strike price) 参照。

 


失効サイクル (Expiration cycle):

失効(満期)サイクルは、特定の対象となる株の個別株オプションが失効する日に関わっている。

LEAPS(Long-term Equity AnticiPation Securities; 満期まで1年以上あるオプションの総称)、週1、四半期あたり1回以外の個別株オプションは、3つのサイクルの内1つが割り当てられる。1月サイクル・2月サイクル・3月サイクルの3つである(付録の表参照; 次回掲載予定)。どの時点でも、月1オプションは4つの満期日が流通しているであろう。直近2か月と、長期期間2か月である。

 


失効日 (Expiration date):

オプション契約が無効になる日。オプションの保有者は、もしそうしたいならば、この日までに権利行使をする希望を示さなければならない。
※注コメント: 普段『満期日』と『失効日』を混同して使っていますが、満期日というと『その日は有効』、失効日というと『その日に無効』という印象があるものの、Expiration dateを満期日と読んでいたことも多々ある気がします。

…が、いずれにせよ、全ての個別株オプションは金曜日が最終取引可能日だということでしかなく(=金曜日が満期日で、土曜日が失効日…?)、そこさえ抑えておけば用語はどうでもいい気がするので、特にその辺は区別せず適当に使おうかと思います

 


失効時間 (Expiration time):

失効日の、その時までに全ての権利行使通知が受領されておらねばならない時間。

 


ヘッジ (Hedge):

保有中のポジションを相殺する取引を有効にしておくことで、損失を限定するために使われる、保守的な戦略。

 


保有者 (Holder):

オプションの購入者。
※注コメント: 『保有者』も『ホルダー』もイマイチ分かりにくい気がするので、個人的には『コール購入者』『プット購入者』と書くことが多いです

 


インザマネー (In-the-money):

行使価格が対象となる株の市場価格より小さければ、コールオプションはインザマネーである。行使価格が対象となる株の市場価格より大きければ、プットオプションはインザマネーである。

 


本質的価値 (Intrinsic value):

オプションをインザマネーたらしめている価格。
※注コメント:やや分かりにくい説明ですが、単純に『現在の株価-行使価格』(プットならプラスマイナス逆転ですが)のことです。

行使価格10ドルで現在株価が15ドルであれば、このコールオプションは5ドルの本質的価値を持つ。このプットオプションはアウトオブザマネーなので本質的価値を持たない

 

 

LEAPS:

Long-term Equity AnticiPation Securities(長期株期待証券?)、あるいはLEAPSは、長期間の個別株またはインデックスオプションである。

 


買いポジション (Long position):

特定のシリーズのオプションにおける投資家の保有勢力が、純保有者となっているポジション(つまり、購入した契約数が、売却した契約数を超えている形)。

 


オプションの証拠金 (Margin requirement (for options)):

顧客レベルの委託証拠金としては、オプション売却者が証券会社に対してポジションに保険をかけるために、供託し、維持し続けなければいけない金額のこと。証拠金は毎日計算される。

 


裸売り (Naked writer):

カバードされていないコール売り(Uncovered call writing)、カバードされていないプット売り(Uncovered put writing) 参照。

 


ポジションを開く購入 (Opening purchase):

オプションのロングポジション(=買いポジション)を生み出すまたは増やすことを意図して行われる、購入取引。

 


ポジションを開く売却 (Opening sale):

オプションのショートポジション(=売りポジション)を生み出すまたは増やすことを意図して行われる、売却取引。

 


建玉 (Open interest):

市場、または特定のクラスもしくはシリーズにおいて、未決済のオプション契約総数。

 


アウトオブザマネー (Out-of-the-money):

行使価格が対象となる株の市場価格より大きければ、コールオプションはアウトオブザマネーである。行使価格が対象となる株の市場価格より小さければ、プットオプションはアウトオブザマネーである。

 


プレミアム (Premium):

競争市場で決定される、オプション契約の価格。オプションの購入者が、オプションの売却者に、オプション契約によって譲渡される権利のために支払うものである。
※注コメント:特に意味はないですが、何となく分かりやすいので個人的にはよく(プレミアムとは呼ばず)『コール価格』『プット価格』と呼んでいます

 


プット (Put):

オプション保有者に、対象となる株を、定められた一定期間、指定された行使価格で売却する権利を与えるオプション契約。

 


流通市場 (Secondary market):

購入者と売却者が、相殺する売却と購入によって、既に手持ちのオプションのポジションを畳むことを可能にする市場。

 


シリーズ (Series):

同じ行使価格と満期日を持ち同じクラスであるオプションの総称。

 


売りポジション (Short position):

特定のシリーズのオプションにおける投資家の保有勢力が、純書き手となっているポジション(つまり、売却した契約数が、購入した契約数を超えている形)。

 


行使価格 (Strike price):

オプション購入者の権利行使によって、対象株が購入(コールの場合)または売却(プットの場合)される場合に支払われる、1株あたりの価格。

 


時間的価値 (Time value):

オプション契約満期まで残っている時間の長さに応じて付く、オプションプレミアムの部分。オプションの持つ本質的価値以外の価値の全ては時間的価値である。

 


種類 (Type):

オプション契約の種類分けで、プットかコールのどちらか。

 


カバーされていないコール売り (Uncovered call option writing):

オプション契約に示された対象となる株を同数保有していない状況で、コールオプション売りポジションを取ること。

 


カバーされていないプット売り (Uncovered put option writing):

対象となる株の空売りポジションを保有していない状況、あるいは現物口座で、プットの行使価格相当の現金もしくは現金相当物を供託していない状況で、プットオプション売りポジションを取ること。
※注コメント:この文面から判断するに、証券会社によっては、権利行使された時に全株を買い取る余力がなくてもプット売りを行える証券会社は存在するようですね。

もちろんこの場合権利が行使されてしまったら追証が発生するため、やや危険な取引形態であるとは思いますが、権利さえ行使されなければより多くのプットが売却できるということなので、権利行使時に備えて完全に証拠金を押さえられてしまう証券会社利用者としては、やや羨ましい形態である気もします

 


対象となる原資産 (Underlying security):

オプション契約の権利行使に伴い受け渡し可能な資産。
※注コメント:この記事は米国株個別オプションについての話なので、同じ用語ですが全て『対象となる株』と記述してきました

 


ボラティリティ (Volatility):

対象となる株の、市場価格の変動性を測定したもの。数学的に、ボラティリティは年率に換算された利益の標準偏差である。

 


書き手 (Writer):
オプション契約の売却者。
※注コメント:分かりにくいので、『書き手』と記述することは恐らくしませんが…

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まとめ終わってから気付きましたが、用語集も普通にオプション道場に用意されていました。むしろそちらの方が充実している感すらあります。

 

オプション取引 用語集
(http://www.option-dojo.com/term/term.html)

 

とりあえずそんな感じで早速やや無意味な内容になってしまいましたが、今後週末記事としてしばらく、こちらのハンドブックを読み進めていこうかと思います。