(あまりにも長くなったので、記事を2つに分けました。)

 

色々オプションのメリットデメリット楽しさ怖さなんかを書き連ねてみましたが、最後に、せっかくなので具体的な取引画面で実際のオプション取引がどんな感じなのかを見てみようと思います。

 

TWTRさん、出番ですよ!

 

 

こちらはTWTRの、5月6日の取引終了後のオプション取引画面です。

 

既に取引終了から一夜明けての状況なのでそんなに注文が入っていない感じになっていますが、それでも結構な注文が残ったままのオプションも目立ちます。

 

今週5/13(金)限りのオプションにおいて、最もインザマネーに近いアウトオブザマネーのオプション価格は、TWTRの現在価格が14.40なので、コールだと行使価格14.5、プットだと行使価格14の欄がそれに当たりますが、直近の取引でそれぞれコールは0.30、プットは0.19で取引されていたようです。


仮に0.30でコールを売ったら、今週金曜日にTWTRが14.5を超えていなければ、それだけで率にして約2%の利益を上げられるわけです。わずか1週間で2%です!


しかもスライムさんは現在TWTRを100株持っているので、1単位までの売りであればこれは完全にカバードコール売りになり、証拠金の類は一切不要、1ドルも差し出すことなく、ただ間抜け面しながらコール売りボタンをぽちぃーっと押すだけで、2%の利益(100株なので、0.30 x 100 = 30ドル)が得られるわけです!!一切何も消費することなく、買付余力等が縛られることもなく、完全にタダ・物的損失一切なしでコール売却代金が手に入る、という夢のような仕組みです(言うなれば、スライムさんは「TWTRが暴騰するかもしれないリスク」を売った、ってことですね)。

 

もちろん金曜日までに14.5を超えてしまうと、持っているTWTR株を1株14.5で売りに出さなくてはいけません。
しかし、1株当たり0.30のコール売却代金をゲットしているので、14.8を超えない限り、実質儲けになっていることになります。

もしまたTWTRが欲しければ、すぐに買い戻せばいいだけの話ですね。買い直した時に14.8を超えていなければ、(手数料を無視すれば)100株買い戻してもトータルで儲けが出る計算になります。

 

万一金曜日までに14.8を超えてしまったら、その時はコールを売らなかった方が良かった、ということになりますが(=同じTWTRを100株売るならば、その時の14.8を超えている市場価格で売った方が得なため)、TWTRホルダーだからあえて言わせていただきますが、こんなクソ株多分来週にはまた下がってますよ。14.8なんてまず超えません。

 

したがって、かなり分のいい確率で、完全タダで2%の利益をゲットできる可能性が高い、という算段になっているといっても過言ではない感じです。

 

(なお、米国株オプションは、満期日前でもいつでも好きなときに権利が行使できるアメリカンスタイルですが、経験上、かなりのディープインザマネーの状況であっても、意外と途中で権利を行使する人はいないようで、結局「満期日の価格がどうなるか」の勝負になることが多いようです(もちろん中には利益が出ていたら満期日前に権利を行使するオプション購入者もいるかもしれませんが)。

ちなみに、権利が行使された場合、どのオプション売却者が売った権利が使われてしまうのか?についてですが、証券会社に問い合わせた所、「権利執行時に誰のオプションが使われるかは、完全にランダムに、OCC (The Options Clearing Corporation)によって決定されます」とのことでした。オプションを売った場合、できれば最後まで権利が行使されずに失効してほしいわけですが、途中で行使された場合にそれが自分に当たってしまうかどうかは完全に運なんですね!)

 

もし「いかにTWTRさんといえども、14.5はさすがにもしかしたら超えるかもしれないっしょ」と思った場合は、一つ下にある行使価格15.0のコールを売れば、さらに安全に利益を上げられます。
ここでのコール価格は0.15のため、利益は14.5のコールを売った時の半分になりますが、この場合はTWTRが15.15を超えない限りは利益を生み出せることになります。リターンは小さくなるものの、リスクと比較して、どちらの方を売るのが正しい選択といえるのか…それはあなたの判断次第、というお話ですね。

 

あ、ただ、オプションは割と複雑な取引なので(…かどうかは知りませんが)、やはり手数料はちと高めです。大体現物株取引の2倍ぐらいではないでしょうか。


なので、15.0のコール1単位売りでは、手数料を引いたら、本当に雀の涙程度の利益しか残らないかもしれません。それでも、仮にTWTRが15.0を超えなければ、失うもの・失ったもの完全に0で利益を生み出せたことになるので、すごいことには変わりないですね。

 

 

なお、当然過ぎて全く言うまでもないことですが、もし月曜にTWTRの株価が上がったら、恐らくコールの値段も上がります。TWTRの株価が大きく上がれば、行使価格14.5のコールは、きっと0.30より高い値で取引きされていることでしょう。


もちろん時間の経過とともに時間的価値は下がるため、一般的には日が経つにつれオプションの価格は下がりますが、これまで見ていた限り、意外と時間による価格の下落は大したことがないです。
それよりも株価の上下の影響の方が大きく、例えば株価が大きく上がったら、時間的には前日から1日経過しているわけですが、コールの価格は前日に比べてアップすることがほとんどです(もちろん逆に、株価が大きく下落すれば、プットの価格が上がります)。

 

それでももちろん時間の経過とともにオプションの価値は確実に下がっていきます。時間の経過を味方に付けられることは、「売りが有利」と言われる一つの理由ですね。

 


なお、当日限り(=満期日)のオプションは、時間的価値がほぼ0であり、オプションは現物を取引きした場合とほぼ完全に同じになるような価格で取引きされています。

(例:現在価格14.4なら、行使価格13.5のコールの価格は0.9、行使価格15.0のプットの価格は0.6で取引きされているといった具合。アウトオブザマネーのオプションは、まずほとんど取引されていないか、されていてもほぼ0に近い価格でしょう。)

 

上記の具体例の内どれを取引きしても、権利行使後、結局差し引き現在価格である14.4で株のやり取りをしたことと同義になります。

 

・コールを買った=13.5で株を買えるけれど、コールを買うのに0.9余計に払ったので結局14.4で株を買ったのと同じ
・コールを売った=0.9のコール売却金を得られるけど、14.4で株を買って13.5でコールを買った人に売らなければいけないので、差し引き利益0
・プットを買った=14.4の株を買って15.0でプットを売った人に売りつけることができるけど、プットの購入に0.6余計に払っている、利益0
・プットを売った=0.6のプット売却金を得られるけど、15.0で株を買わされる

 

オプションは手数料が高い分、現物をやり取りするより無駄が多く損をするだけであり、これらは無意味な取引だと思います。
もちろん取引をするのは人間なので必ずしも厳密にそうなっているわけではなく、微妙な差額で利益を得られることはあるしれませんが、あえて時間的価値のほぼ失われたオプションに手を出す積極的な意味はないかな、と思います。
(もちろん、当日市場が閉まるまでのわずかな時間の変化に賭けるという意味はありますが、それは別にあえてオプション取引でする必要がないですよね。)

 


また、これは単なる個人的にしていたつまらない勘違いなのですが、オプションの価格変化に関して、オプションを始めた頃は、「株価が暴落したらプットの価格が上がるんなら、暴落した時はプットの売り時だ!暴落を見たらプット売りに急げ!」とか思っていました。

しかし、これは実は全くそんなことはなくて、「既にプットを買っていた人にとっては暴落が来たら嬉しい」「既にプットを売っていた人にとっては暴落が来たらヤバイ」というのは100%正しいものの、これからエントリーする人にとっては、結局「プットを売った時点から、その先株価が上がるか下がるか」ということだけが自分の得られる利益に直接関わってくることなので、昨日に比べて株価が暴落して、昨日に比べてプットが値上がりしているからといって、それが新たにプットを売るチャンスが到来したことには全くならず、いわば時既に遅しなのです。

むしろ、暴落したために「昨日より大きく値上がりしています」と表示されているプットを売ってみたら、実はまだ暴落の途中で、翌日自分の売ったプットはさらに値上がりしており、手離したいけど買い戻すのも厳しく、身動きが取れなくなった、というのは実によくありそうな話です。

 

こんな単純なことに気付くのに、実は1か月ぐらいかかってしまいました。いかに何も考えずに適当に取引しているかが丸分かりです。当たり前すぎて、読んでいて「何言ってんだコイツ」と思われた方もいるかもしれません。
普通の株価で考えれば至極当たり前なんですが(=昨日比で大きくプラスになっている株が、別に今日お買い得なわけでもなんでもない)、なぜかオプションでは意味不明な思考に陥っていました。頭ぼけとりました、どうもすみません。

(ただもちろん、「この行使価格でオプションを売りたい」という特定の希望取引価格があるような場合は、暴騰暴落はオプション売りのチャンスとも言えるかもしれませんね。その辺で頭ごっちゃになってたのかもしれません。
例えば「この株は現在15ドルだけど、もし12ドルになったら買いたいんだけどなぁ~」と思っている場合、ある日暴落して11.8ドルとかになったら、その人にとってはその株を買うチャンスが来た、というのと同じ感じです。
しかしもちろん言うまでもなく、本当にその株を買うチャンスが来ているのか、その暴落した価格は本当にお買い得・お値打ち価格になったと言っていいのか、というのは慎重に考えなければいけない点ですね。
個人的には、「どうしてもこの価格で」「このぐらいの価格になったらぜひ」と自分の考えに固執してしまうのは典型的な下手っぴの思考であり、本当に考えなければいけないのは「12ドルで買いたいと思っていて、実際12ドルまで落ちてきたはいいけど、果たして今この暴落した瞬間に12ドルで買うのは正しい選択なのか?この後株価は本当に戻っていってくれるのか?ひょっとしてこのまま暴落し続けてしまうのではないか??」…という、『今後どうなるのか』の見極めの方が何より重要な点であるのは間違いないと思います。)
…あまりにも言うまでもない、当たり前にも程があることを長々と失礼しました。

 


あと最後に、5/13限りのオプション一覧の下には、現時点で最長の2018年1月限りのオプションの一部も参考までに載せておきました。この場合、行使価格15のコールオプションは、なんと4ドルで取引されています!
つまり、このコールを月曜日に1単位売ったら、即座に400ドルゲットできるということです!!もしTWTRを200株持っていたら2単位カバードコールで売れるので800ドルゲット、1000株なら4000ドルゲット、以下同様、です!

 

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※訂正の訂正(6/19追記)

以下の赤字部分の訂正内容は、それ自身が誤りでした。ややこしくてすみません、即座に400ドルゲットできるので間違いありません。

 

※訂正: 大変申し訳ありません、ここの所、完全にミスでした。正しくは…

 

『オプションを売却して得られる資金は、満期日を過ぎてオプションの権利が失効するまで利用可能にならない』

 

というのが実際のルールでした。心よりお詫びして訂正させていただきます。

したがって、以下で述べる『現物を売れなくなる縛り』以前に、『得られた資金を使うことすらできない』のでは、なかなか長期間のコール売りは使いにくいものかもしれないですね。

もちろん、3段落後に述べているような、オプション価格の差異で利ざやを得る目的、すなわち中長期投資的な意味がないわけでもないですが…

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ただし言うまでもなく、このコールを売ってしまうと、約2年間ずっとTWTR株を持っていなければならず(もちろん売ることもできますが、その場合カバードコールではなくなるため、結構な証拠金が必要になると思います。しかし、もし仮に証拠金があったとしても、コール裸売りは本当に自殺行為なので、それだけは絶対にしない方がいいと思います。自分も無茶をし続けているスライムからの、これだけはお願いです)、その間どれだけTWTRの株価が上がっても何もできないということになります。


もちろん同じコールを買い戻せばその縛りは解かれるのですが、言うまでもなく、株価が上がるとともにコールの価格も上がるので、コールを買い戻そうにも大きな損失が生まれてしまいます。

 

ただし逆に、TWTRの株価が大暴落したら、コール価格もそれにつれて大きく下がります。その時はコールを買い戻して2年縛りを解くチャンスかもしれませんね。

 

多分、自分がTWTR株を買った2年前ぐらい、TWTRが60ドル70ドルだった頃は、行使価格15.0のコールは、恐らく50ドル以上はしたんじゃないかと思います。

その時の2年後が、まさに来週の5/13限りのオプションだったとしましょう(年単位のオプションは第3金曜が権利締日になるようなのでそれはおかしいですが、まぁ今はその辺は無視で)。
なんと、当時50ドル以上で取引きされていた行使価格15.0のコールは、今やわずか0.15ドルで取引きされています!もちろんこれには時間的価値の減衰もかかっているわけですが、いずれにせよ当時このオプションを売った人は、1単位のみ売っていたとしても約5000ドル、もし10単位売っていたら、約5万ドルものぼろ儲けですね。


恐らく彼らはもうとっくに同じコールオプションを買い戻して利益を確定させていることと思いますが(もちろん満期日まで待てば完全にタダでコール売却代分が丸儲けですが、TWTR株暴落後はコール価格も同じように暴落してゴミのような値段になっていたはずなので、コールの権利にずっと縛られるぐらいならとっとと買い戻してコールの束縛から自由になる方が遥かにメリットが大きいですよね)、もしまだ持っていたとしても、勝利は確定でしょう。

逆に当時50ドルぐらいでコールを買った人、残念でした(しかし、もしもTWTRの株価が今200とかになっていたら、勝敗は完全に逆転していたわけです。株価の予想は難しいですね!)。

 

同じことが、これから2年で、2018年限りのオプションでも起こり得るわけです。

もしTWTRの暴落に自信アリ、の方がいたら、行使価格3ドルのコールを売るかプットを買ってみるのもいいかもしれませんね(もちろん、カバードコールでない限り、プット買いの方が安全な取引です。しかし、コール売りをすれば、即座に大きな現金が手に入ります )。

→訂正: 入りません。プット買いと比べた場合のカバードコール売りのメリットは、『行使価格までには至らない中途半端な暴落で終わってしまっても、実質現在価格に非常に近い価格で売却できることが、ある意味保証されている』(なぜなら、ディープインザマネーのオプションは、権利行使価格とオプション価格を合計すると、現在価格で取引したのとほぼ同じになっていることが多いから)ということにあるのかもしれないですね。

 

 

いずれにせよ、そこまで極端に長い期限日のオプションじゃなくても、2週間後、3週間後のオプションであれば、1週間後のオプションより遥かにお得な価格で売りつけることができます。

もちろん、その間手持ちの株または証拠金は拘束されますし、長期間待っている間に思っていたのと逆に大きく動いてしまう可能性もあります。そうなってしまうリスク込みでのお得な価格ということですね。

 

一般的には時間的価値とのバランスから、最も資金効率が良いオプションは大体2週間程度先のもの、と言われているらしいですが、個人的には必ずしもそんなわけでもなく、どのぐらいの期間のオプションを売る・買うのかは自分の好み次第で選ぶのが一番よいのではないかな、という気がします。

結局暴落暴騰なんて予想できないですし、ちゃっちゃっと取引してちゃっちゃっと結果を見てちゃっちゃっとまた次の取引を楽しみたい性格なので、個人的には直近のオプションを取引するのが好きな感じですね。

 

 

また、上でも少し触れましたが、もしモノ凄い暴落を予想するのであれば、プットを買ってみるという選択肢なんかもありかもしれませんね(この場合、期限が長いほど高いプットを買わなければいけないわけですが、期限が長いほど暴落する可能性も高くなるので、当たりを引ける可能性は高まります)。

 

ただ個人的には、「コールの買い」は、そんなもの買うぐらいなら別に普通に現物買うのでいいんじゃないかな、って気がします。素人の浅知恵かもしれませんが…。

 

(※6/26追記: 素人の浅知恵でした。コール買いの有用性について新たに記事をまとめたので、興味がある方はそちらもご覧ください。以下赤線で取消しを加えた点は誤りで、現物買いとはまた違った良さがあるものです)

現物買いとコールオプション買いの比較~それぞれの利点・弱点は?

 

もちろんコールを買った場合、仮に株価が暴落しても失うのは実際の株価より遥かに小さいことの多いコール代だけであり、現物株を購入していた場合よりリスクを小さく抑えられる、というメリットはあると思いますが。

 

現物しか扱っておらず空売りができない立場としては、プットの買いは「暴落に対して積極的に利益を出せる唯一の方法」として取引きする意味が大いにある、でもコールの買いは、結局現物株買いと本質的にはさほど変わらない気がするのであまり意義が感じられない、という個人的な好みの話でした。

(また、予想が外れたら本当にただの外れクジ・紙切れを買ってしまうことと同じであるということが、予想の外れることの多い自分にとっては、オプション買いになかなか手を出す気になれない一因になっています)。

 

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相変わらず無駄に長くなってしまいましたが、もし少しでもオプションの楽しさが伝わっていましたら大変幸いです。


ただ言うまでもなく、今回触れた話はオプションのさわりどころか、オプションのオの字の一画目を説明したにすぎないぐらいのレベルです。オプションはその戦略含めとても奥が深いので、興味の出た方はご自身でさらに突っ込んだ知識を習得されるのも面白いのではないでしょうか。


個人的には、爆益はなくとも安定収入を目指したいのであれば、あまり株価変化の激しくない株のプットの売りで入り、ひたすら毎週売って利益を上げ続ける、万一権利行使されて株を買わされたら、今度はカバードコールの売りに切り替えて、毎週売って利益を上げ続ける、また権利行使されて株を手放したら、今度はすかさずプットの売りを毎週…の無限サイクルが、非常に魅力的なシステムに思えます。
(まぁ、こんな大赤字野郎の言う魅力的なシステムなんて、実際は魅力的じゃあないに決まっているのかもしれませんが。)


もしGLBSやNYMXが爆益を生み出して非常に大きな遊び資金ができたら、例えば今のところ大暴落はほとんどあり得なさそうに思えるGOOGLなんかでこの永久機関を回してみたいなぁ、などとあらぬ妄想をしている次第です。
(現状だと、割と安全圏にあるオプションでも、毎週4単位(30万ドルぐらい必要)売り続けたら、それだけで毎週2000ドルぐらい儲けられそうです。毎月じゃなくて毎週ですよ!凄いですね!!)


そんな日は果たして来るのでしょうか…?!