誰もが表情を曇らせる。
〝逃げるなら、今だぜライト〟
そんな中、ライトの脳に直接悪魔の声が響いた。
〝こんな奴ら放っておいてさ、とっとと逃げろよ。でないとここで復讐劇は終わっちまうぜ?〟
「黙れ……私はもう、誰も見捨てない。私は――悪魔にはならない」
〝それは理想に過ぎない。いつか、苦しむ事になるぞ〟
冷め切った声で悪魔は呟く。
「言っただろ、私の復讐ってのは――人間として果たされないと意味がないって」
ライトは力強く悪魔に言い切る。
そんな彼女の言葉を聞いた悪魔は鼻で軽く笑うと――。
〝いい答えだ、だがまだアンタは勘違いしてる。その過ちを正さなければ、自身の心に食い殺される事になるぞ〟
と、笑いながら呟いた。
ふと、ライトは目の前の男に視線を向ける。
グリードは余裕の笑みを浮かべ蛇腹剣の刃をペロリと舐め上げた。
状況は絶体絶命と言えるものだ。
悪魔の言う通り、逃げたほうが得策なのは確かなのだろう。
しかしそれはライトにとっての得策であり、護達にとっての得策ではない。
勿論、一人で逃げるなんて言う選択肢は今のライトには存在していなかった。
「なるほどね、良いこと聞いたわ」
と、何を思ったのか愛花は口元を歪ませながら呟いた。
「愛花、さん?」
エレナはそんな愛花に視線を向ける。
「暗闇でなら無敵の身体。アーサー王物語に出てくる太陽の騎士とは対照的な存在ね」
愛花は地面に右手を押し当てる。
すると同時に彼女の手から青く輝く魔方陣が波の様に広がった。
「またしても悪あがきか? 無駄だって言ったろ嬢ちゃん、お前らの人生はここでエンドなんだよ」
「さぁ、エンドになるのはどっちかしらね」
地面に着く愛花の腕に再びマジックラインが引かれる。
と、愛花は左手も地面に押し当てると――。
「第二因子、起動――」
そう小さく呟いた。
同時に左腕にも右腕同様マジックラインが燃え上がる様に引かれる。
そして愛花は一瞬、深く深呼吸をすると上を見上げた。
/続く