Beyond Despair -6ページ目

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「うかつだったぜ……口が軽いってのはオレみてーな奴の事か」

エレナの前で自分が暗闇でなら無敵と言ってしまった事に今更後悔する。

失言ではない、むしろグリードにとって暗闇でなら無敵と言うのは相手を恐怖させるものなのだ。

普通の、相手になら、の場合だが。

「まさかな……今の世の中の魔術ってのは、こんな大芸も出来ちまうのか?」

「いいえ、普通はこんな事出来ないわよ。何故か知らないけどね、私の魔術って魔術基準を大きく凌駕してるらしいのよね。だから、これは私のオリジナル」

「オリジナル……これを使える奴はそうは居ねぇ訳か」

「そうね、私と姉さん、それと師匠くらいかな」

予想をはるかに上回る愛花の魔術にグリードは絶句する。

ライトと同様、彼も魔術を甘く見ていたのだ。

が、驚いているのはグリードだけではない。

ここに居る誰もが愛花の大魔術に言葉を失っていた。

そんな中、一つの人影がグリードににじり寄る。

「覚悟は良いな……吸血鬼」

ライトはいつの間にか作り出したグレートソードをグリードに突きつけた。

「明るい所では弱体化するのが吸血鬼だろ赤毛犬。しかし残念、褒めてはやるよ魔術師の嬢ちゃん……だがなぁ、明かりがあるからオレ様が弱体化すると思ってんなら、大間違いなんだよなぁあ!?」

と、素早く蛇腹剣を元に戻すとグリードはライトに向かって一気に間合いを詰める。

左手で握っている蛇腹剣でグリードはライトの右腕に斬りかかる。

右腕を落とせば、ライトは戦力を失うと考えたのだ。

ライトはそんなグリードの攻撃をかわそうとする素振りを一切見せない。

いや、見せないのではない、かわす気が無いのだ。

グリードはそんなライトに構わず、彼女の右腕に蛇腹剣を振り下ろす。

瞬間……目の前に血飛沫が上がる。

飛沫を上げているのはグリードではない。

間違いなく、目の前にいるライトからだった。

彼女はグリードが振り下ろす蛇腹剣を右手に持つグレートソードではなく、空いている左手で防いだのだ。

真っ赤な血が彼女の皮で出来た手袋を滲ませる。

と、唐突にライトは左手で掴む蛇腹剣を強引に引き寄せる。

その衝撃でグリードの額がライトの額にガツンと音をたてながらぶつかった。

「ッ!? テメー、何しやが――」

る、と続けようとするグリードの顔が真っ青になる。

本来なら痛みで顔を歪めていてもおかしくはないはず。

にも関わらず、目の前にいる少女はグリードを睨みながら口元をニヤりと嬉しそうに歪ませているのだ。



/続く




にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ
よければクリック!
 

余りにも予想外の事態にグリードは周りを焦りながら見渡す。

「どう? これならアンタでも火傷するんじゃない」

「テメー……ふざけやがってッ!!!」

怒りが頂点に達したグリードは蛇腹剣をムチの様に振り回す。

負ける訳がない、負ける要素はどこにもない。

そう、グリードにとって〝負ける〟事などありえない、はずだった。

目の前にいる、〝赤毛犬〟のみを相手にするのならば。

「たかが魔術師風情が図に乗ってんじゃねぇぞッ!!!!」

手に持つ蛇腹剣を愛花の首を狩ろうと伸ばす。

刃が着いたワイヤーはライトを横切り、愛花に急速に近づいていく。

「――(エイワズ)――

が、伸びた刃は安安と砕かれた。

「ってか、それさっきと同じよアヴェンジャーさん。一度弾かれてるってのに、よくまぁ同じやりかたで……」

少々呆れ気味の愛花をグリードは歯を食いしばりながら睨みつける。

グリード自身、状況が逆転している事に焦りを感じているのだ。



/続く




にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ
よければクリック!  

Our(我が) flame() will() be(不滅) immortal(なり)

その呟きと同時に、青く輝いていた魔方陣が真っ赤に染まる。

Flame(絶望) burning(の闇) bright(に輝く) in(灼熱) the() darkness() of() despair(希望) a() ray() of() hope()

轟、と甲高い音を立てながら炎の渦巻きが魔方陣から円を描く様に巻き起こる。

Salvation(――) and(救済と) ruin(破滅) has() a(同等) meaning() equivalent(意味), they() also(持ち) have(我が) the() same() meaning(それらと) as(同じ) my(意味を持つ) flame(――)

炎の竜巻は、まるで愛花に絡みつくように彼女の周りを激しく回転する。

Flame(救済) of() salvation() is() to(滅ぼす) destroy(為に), the(破滅) flame() of() destruction() is(守護) for() the(為に) patron

炎はまるで鳥が翼を広げるかの様に周りに広がっていく。

However(――), if(しかし) you(どれか) choose(一つ) to() say() of() any(選べ) one() fire(言う), we() grab(なら) the(我は) flames(迷わず) of(破滅) destruction() in(炎を) this(この) hand(手に) without(掴もう) hesitation(――)

愛花は燃え盛る炎の中立ち上がる。

そしてグリードに右腕を突きつけた。

The(――) name(我が) of() the flame() is the(名は) flame of(破滅の) my(炎!) ruin(――)!

全ての呪文を呟き終えると同時に、暗闇が支配していた駐車場が赤く燃え上がる炎に包まれる。

幸い、この駐車場は周りが高い壁で覆われている為、愛花により作り出された炎の世界が駐車場外に漏れ出す事はない。



/続く

にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ
よければクリック!