第二章 友達の絆 140 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「……やっぱりダメか」

舌打ちをしながらライトは呟く。

しかし彼女にはこの展開は予想できていた事だった。

男の脳天にナイフを突き刺したのは間違いない。

が、男はそれでも生きて、ここにノウノウと現れたのだ。

恐らく死んだ振りでもしていたのだろう。

しかし男、グリードは今や苛立ちが頂点に達しているのか死ぬ振りをする素振りすら見せない。

グリードは心臓部に刺さったナイフを引き抜くと、刃に付着した血を舐めとった。

「残念だったな赤毛犬。オレ様はこんなもんじゃ死なねェんだよ」

不死身の身体だからな、とグリードはゲラゲラ笑う。

そしてライトの槍に巻き付いた蛇腹剣を強引に引き戻した。

その衝撃でライトは槍から手を離してしまう。

ジャラン、と音をたてながらワイヤーの様に伸びた刃は持ち主の元へと戻っていく。

そして全ての刃が繋がった瞬間、グリードはエレナの方へと視線を向けた。

それに気づいたのか、エレナは身を震わせる。

「ククク……いいねぇその震え方。アンタみたいな嬢ちゃんを殺さなくちゃいけないと思うと少しばかり心が痛むぜ」

「……見ないで、こっちを見ないで……」

 弱々しい声でエレナは呟く。

「しかしまぁ、お前ら全員これで人生終了だな。オレ様は今ご覧いただいたよう、無敵の身体を持っている。お前らがいくら魔術やら悪魔の力を使おうが、この壁を超えることはできゃしねーんだよッ!!」

ふと、そのグリードの言葉にエレナの脳内である映像が流れ出す。

それはマンションの一室での出来事。

金紗の少女がグリードを軽くあしらった時、グリードは少女に言っていた言葉。

〝暗闇でなら、誰にも殺すことは出来ない〟

暗闇、ここナイトタウンはまさにそれに当たるのだ。

エリア全体が大きなドームに追われており、太陽の光が入る事は一切ない。

電気の明かりなどはあるものの、八割は暗闇で覆われている。

そんなこの街はグリードにとっては最高のテリトリーなのだ。

「ライトさん、愛花さんッ!! その人は暗闇ではどんな傷を受けても再生する特性を持ってるんです! だから殺すどころか、傷つける事すら出来ません!!!」

エレナは大声でその事をライト達に伝える。

「なるほど……、だからいくら急所を狙っても死なない訳か」

ライトは護を庇うように一歩グリードから後ずさる。

ここの駐車場にはいくつかの街灯が立っている。

しかし街灯が生み出す光などグリードにしてみれば無いも同然なのだ。



/続く



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