Beyond Despair -39ページ目

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「なぁ、神崎護。お前もそう思うだろ?」

って、俺が居るってバレてる!?

つっても当たり前だよな、後ろ姿で分からないなんて子供じゃあるまいし。

「あぁ……龍二が悪いよな」

背中を向けたまま俺はライトにそう答えた。

つか、さっきから殺気に似た視線を感じるのだが……。

「それで、何でお前がここに居るんだ、神崎護」

「いやぁ~、これは本当に偶然の出来事であってだな……」

「私には関わるな、そう言った筈だぞ赤毛ツンツン頭」

「だからッ! 偶然だって言ってんだろッ!!」

俺は立ち上がりライトへと顔を向ける。

と、いつの間にかライトの顔が目の前にあった。

「お、お前……いつこんな接近してきたんだッ!」

相変わらず綺麗なサファイヤ色の瞳だと、俺は心の中で感心してしまう。

まぁ、その目で俺を今鋭い目付きで睨んでいる訳だが。

「私に何か用なのか、神崎護」

「だから、ここに居るのは偶然だって言ってんだろッ! 俺達はこれからナイトタウンに遊びに行くだけなんだよッ!!」

俺は叫ぶようにライトにそう言った。

すると彼女は何故か優しく微笑む。

「な、何だよ急に笑いやがって……」

「いや、エントランスで会った時とは大違いだからな。元気、出たんだな」

ライトはそう言いながら再びソファーに腰掛ける。

「その元気を無くしたくなければ、私とは、これっきり関わらないことだ」

外の風景を見つめながらライトは静かにそう呟く。

「神崎護だけじゃない、お前ら三人もそうだ」

ライトのその言葉に火野川とエレナは身体を一瞬震わした。

彼女のその拒絶の言葉には、幸福、日常の破壊を連想させる。


でも、何となくだけど。

俺にはその拒絶の言葉も〝強がり〟にしか聞こえなかった。

「わかってるよ、そんな事」

俺はライトから顔を背ける。

「俺だってな、お前とはもう関わらないって決めたんだ。あんな目に遭うのはもうゴメンだね」

そう、何故か心にも無い事を口にしていた。

いや、コイツに会うまでは思ってたさ。

でも……コイツの言葉や行動を見ていると。

こんな何も出来ない俺でも……。

「そうか、なら良い。もう会話もこれっきりにしよう。ナイトタウンに着いたら〝さよなら〟だ」

と、どこか安心したかのような、それでいて悲しそうな表情でライトは呟いた。



/続く



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「コイツ、オレのダチを凹ませた張本人だろうがよッ!」

「凹ませた? やっぱライトと何かあったの?」

龍二の言葉にアイネスは疑問そうな表情で俺を見つめる。

「いや~、何もないって~」

笑いながらそう言うも、無意識に苦笑いになってしまっている。

と、そんな事をしている間に龍二がライトへと近づいて行く。

「お、おい龍二! お前何する気だよ?」

「決まってんだろうがよ? ダチを凹まされたんだ、ただじゃおかねーッ!!」

そう言いながら龍二は眠るライトの首元を左手で掴む。

そして右手て拳を握り、そのまま――。

「寝てんじゃねーぞ、赤毛犬がぁぁぁッ!!」

ライトに殴りかかろうとしと、その時だった。

龍二の右手拳がライトの顔を直前で止まったのだ。

いや、止められたと言った方が正しいかもしれない。

「誰が……赤毛犬だって……?」

眠っていた筈の赤毛の少女に自身の拳を止められた龍二は驚いた顔をいしたまま、その場に固まっている。

そんな龍二をライトは容赦なく空いている手で殴り飛ばした。

ドン、と良い音を出しながら龍二は壁に激突する。

「ちょ、龍二ッ!?」

火野川は吹き飛んだ龍二に駆け寄る。

龍二は目をグルグルさせながら気絶していた。

「ちょっと、しっかりしなさいよッ!」

ペチペチと龍二の頬をビンタする火野川。

しかし、ぶっ飛ばしただけで相手を気絶させるって……。

「あれ~、ライト起きちゃったの? 眠って十分も経ってないよ?」

「赤毛犬って禁句だけで眠気も吹っ飛んだよ……」

そうは言うものの、ライトは眠そうな顔をしながら身体を起こす。

俺は顔を合わせない様にライトに背中を向けた。

「というか、何なんだこの状況は。この車両は私達だけの貸切じゃなかったのか?」

「その筈だったんだけどね、何かこの子達が一般車両で騒ぎをお越しちゃったみたいでさ~、んでもって魔学の生徒って事もあってここに強制的に連れてこられたって訳よ」

ふーん、とライトは鼻で返事をする。

「龍二さん、大丈夫ですか?」

「いい加減起きなさいよッ!」

ドスッ! と火野川は龍二の腹に拳を入れる。

「ごっふッ!」

と、さっきまでピクリとも動かなかった龍二が身体をクネクネと動かした。

動かした、と言うよりは痛さにもがいているって方が正しいかもしれないが。

それでホッとしたのか火野川は立ち上がり、ライトの方へと顔を向ける。

「ライトッ! いくら何でも殴り飛ばすなんて酷いんじゃないの?」

「何言ってんだ、先に私を殴ろうとしたのはそこの不良だぞ」

うん、今回ばかりは龍二が悪いと俺も思う。

寝込みを襲うのは良くないよな。



/続く



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「ソファーに座れば良いのに。遠慮しなくても良いんだよ?」

「いえ、任務で行かれるのですから」

アイネスに火野川は苦笑いでそう答える。

「もぉ~敬語なんてやめてよ~。第一、私達同い年でしょ?」

「へ、そうなのかッ!?」

俺は思わずそう叫んでしまう。

あの胸のデカさで俺らと同い年?

「ち、ちょっとッ! アンタどこ見てるのッ!?」

アイネスは胸元を隠しながら俺を睨みつける。

いや、でもガン見しちまうって。

「ところでさ、私アンタ達の名前聞いて無いんだけど……」

その言葉に火野川はすみません、と謝りながら席を立った。

「私は火野川愛花、そんで隣に居るのが――」

「はいッ! 神楽咲エレナでぇ~すぅ!」

相変わらずのスマイル顔でエレナはそう言った。

「それで、あっちで外を見つめてるのが極道龍二」

と、貫通扉付近にある窓から外を眺める龍二を火野川は指さした。

その事に気づいたのか龍二か俺達の方へと顔を向ける。

ギロりと言う鋭い目付きでアイネスを睨みつけている。

「あの子、不良か何か?」

アイネスは龍二を見つめながら火野川にそう聞いた。

「まぁー、学院では一応有名な不良生徒ね……」

ため息をしながら答える火野川。

すると龍二が俺達の方へと近づいてきた。

「つーかよ、このソファーに寝てる奴がライトってんだろ?」

龍二が荒い口調でそう言いながらソファーに眠るライトに顔を向ける。

そう言えば、龍二はライトと会うのは今日が初めてだったっけか。



/続く



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