「コイツ、オレのダチを凹ませた張本人だろうがよッ!」
「凹ませた? やっぱライトと何かあったの?」
龍二の言葉にアイネスは疑問そうな表情で俺を見つめる。
「いや~、何もないって~」
笑いながらそう言うも、無意識に苦笑いになってしまっている。
と、そんな事をしている間に龍二がライトへと近づいて行く。
「お、おい龍二! お前何する気だよ?」
「決まってんだろうがよ? ダチを凹まされたんだ、ただじゃおかねーッ!!」
そう言いながら龍二は眠るライトの首元を左手で掴む。
そして右手て拳を握り、そのまま――。
「寝てんじゃねーぞ、赤毛犬がぁぁぁッ!!」
ライトに殴りかかろうとしと、その時だった。
龍二の右手拳がライトの顔を直前で止まったのだ。
いや、止められたと言った方が正しいかもしれない。
「誰が……赤毛犬だって……?」
眠っていた筈の赤毛の少女に自身の拳を止められた龍二は驚いた顔をいしたまま、その場に固まっている。
そんな龍二をライトは容赦なく空いている手で殴り飛ばした。
ドン、と良い音を出しながら龍二は壁に激突する。
「ちょ、龍二ッ!?」
火野川は吹き飛んだ龍二に駆け寄る。
龍二は目をグルグルさせながら気絶していた。
「ちょっと、しっかりしなさいよッ!」
ペチペチと龍二の頬をビンタする火野川。
しかし、ぶっ飛ばしただけで相手を気絶させるって……。
「あれ~、ライト起きちゃったの? 眠って十分も経ってないよ?」
「赤毛犬って禁句だけで眠気も吹っ飛んだよ……」
そうは言うものの、ライトは眠そうな顔をしながら身体を起こす。
俺は顔を合わせない様にライトに背中を向けた。
「というか、何なんだこの状況は。この車両は私達だけの貸切じゃなかったのか?」
「その筈だったんだけどね、何かこの子達が一般車両で騒ぎをお越しちゃったみたいでさ~、んでもって魔学の生徒って事もあってここに強制的に連れてこられたって訳よ」
ふーん、とライトは鼻で返事をする。
「龍二さん、大丈夫ですか?」
「いい加減起きなさいよッ!」
ドスッ! と火野川は龍二の腹に拳を入れる。
「ごっふッ!」
と、さっきまでピクリとも動かなかった龍二が身体をクネクネと動かした。
動かした、と言うよりは痛さにもがいているって方が正しいかもしれないが。
それでホッとしたのか火野川は立ち上がり、ライトの方へと顔を向ける。
「ライトッ! いくら何でも殴り飛ばすなんて酷いんじゃないの?」
「何言ってんだ、先に私を殴ろうとしたのはそこの不良だぞ」
うん、今回ばかりは龍二が悪いと俺も思う。
寝込みを襲うのは良くないよな。
/続く