「ど、どうした火野川?」
何も言わず、黙って俺を見つめている火野川に俺はそう問いかけた。
「護、ライトが騎士団に利用されてるって何の話?」
真剣な表情で火野川は俺にそう聞いてきた。
でもコイツはライトがあの男と主従関係って事は知らない。
俺は火野川から視線を逸らす。
あんな事を言うにも、火野川達が居ない所で言うべきだったと今更後悔してしまう。
「もしかして、エリック大佐の事?」
「――え」
火野川の言葉につい反射的に答えてしまう。
エリック、その名前には聞き覚えがあった。
日本、魔術騎士団支部の現大佐。
「エリック・エルフォード大佐。ライトと初めて話した時に聞いたの、雇われてるって」
そう言えば、この中で一番最初にライトと話したのは火野川だったな。
「そっか、お前も知ってたんだな」
「大佐に雇われてるって事まではね。でも、何でライトが大佐と主従関係になったのかとかは知らないの。アヴェンジャー関係の事ってだけで……」
そうだろうな、初対面の相手に自分の目的なんて教える奴にも思えない。
「あ、でもアヴェンジャーについてなら聞かれたかな……」
「どんな感じで聞かれたんだ?」
「どんな感じって……あの化け物について何か知らないかって聞かれただけだけど。でも私、アヴェンジャーの事なんて全然知らないし、二年前にアメリカのメンフィス州に現れたって事しか知らないって答えたわよ」
でもきっと、彼女にも火野川のこの返事は予想していた物だった筈だ。
アヴェンジャーに関する情報は俺達一般人には一切公開されていない。
何でも軍事機密だとか。
騎士団は情報を餌に、ライトと言う最強の武器を手に入れた訳だ。
「って、その事が何か関係あるの?」
「あぁ、エリックって奴はな、アヴェンジャーに関する情報を餌にライトと契約したんだよ。アイツは口から手が出る程にあの化け物達の情報を欲してるからな……」
「何でアヴェンジャーの情報が欲しいの? 手に入れたって別に――」
「アイツの弟は……二年前、アヴェンジャーに喰われたんだよ」
俺がそう言った瞬間、世界の時間が一瞬止まった感じがした。
/続く