Beyond Despair -34ページ目

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「まったく、これが学院に知れたら私生徒会長クビになっちゃうじゃない……」

「クビになるような事をしているお前にも問題あるだろ」

俺がそう言うと火野川が睨みつけてくる。

が、すぐにガクっと顔を下に向けた。

「私だって……気を付けてるのよ?」

「……何を?」

「あんまりキレないよいに」

火野川のその発言にお久しぶりの沈黙タイム。

「―― え、何この沈黙?」

「いや、だってなぁ……」

俺は坂口とエレナに視線を向ける。

「え、えぇ……だって、ですよね~」

「うんうん、ちょっと今の発言はどうかと」

俺達三人の視線に火野川はまた顔を赤くする。

「な、何よッ! 私そんなにキレてないじゃない」

プイっと顔を背ける火野川。

俺達三人は今だ目覚めない龍二に視線を向ける。

〝そんなにキレてないじゃない〟

悪いけど、これは〝そんなに〟ってレベルで到達する物じゃないと思う。

いやそりゃアニメとか漫画とかだとコント的に殴られたキャラが気絶するって事はある。

でも現実でリアルに殴られてリアルに気絶するって珍しい。

下手したら犯罪レベルになる。

「……ツンデレ会長、そんなにってレベルで人が気絶してますが?」

俺の言葉に火野川はピクっと反応する。

「そ、それは龍二が物理的衝撃に対して耐久力が無いだけよ」

まぁ、そう言われるとそうなのかもな。

俺はライトには殴られた事は無いからなんとも言えないが。

火野川には殴られたり焼かれたりするのは日常茶飯事。

けど、気絶なんて一回も――。

「いや、二回は気絶したな……」

一回目は初めて火野川に出会った時、生徒会に無断で二次元同盟部を結成したのが原因でだった。

二回目は一年の時、定期試験で赤点を取ってしまい学院の校舎裏で証拠隠滅をしようとした時だった。

一回目は殴られてそのまま気絶、二回目は魔術によっての気絶。

この事、警察とかにチクッたらどうなんだろうな。



/続く



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「……遅かったか」

壁に龍二が良い音を立てて激突したのが原因で周りの客が一斉にコチラに顔を向ける。

「あ~あ~」

俺はこの事態を起こした張本人である生徒会長を見つめながらそんなため息をついた。

火野川は頬を赤くしながら周りの客をキョロキョロと見つめる。

エレナは吹き飛んだ龍二に近づき、頬をチョンチョンと突っついている。

どうやら気絶しているらしい。

坂口は呆然と席に座ったまま。

誰一人として、火野川愛花に助け舟を出そうとしない。

「ぐ、ぐぅぅ~」

歯を食いしばりながらそんな声を上げる火野川。

と、カウンターの方から店員がコチラに近づいてくる。

先程パフェを運んで来てくれた店員だった。

「あの、お客様。店内で騒がれますと、周りのお客様のご迷惑になるのですが……」

苦笑いしながら店員が火野川にそう言った。

俺には言ってない、火野川にのみである。

「す、すみません……

火野川は頭を下げながら謝罪の言葉を口にした。

気のせいか、目だけが俺をギリっと睨んでいる気がするが。

いや、だが今回は火野川が悪い。

「以後、お気を付けください」

そう言い残すと店員はカウンターへと戻って行った。

それと同時に周りの客もコチラから顔を背ける。

火野川はホッとため息をつくと腰を降ろした。

「龍二さん、目覚まさないですよ?」

気絶している龍二をエレナは席に座らせる。

しかしあんな攻撃で気絶するとはまだまだ甘いぞ極道龍二。

俺なんて殴られるだけじゃなく焼かれるんだからな。

「良いのよ、ほっときなさい」

「お前がそれを言うか?」

「私を挑発したコイツが悪いのよッ!」

まぁ、確かにそれは言える事ではある。

八割は火野川が悪くて、残りの一割は龍二が悪くて――。

「もう一割はエレナが悪いな」

「にゃ? 何の事ですか」

「お前が変な事言い出すからこうなったんだろうが」

「あははは……そこは反省してます」

コツンと自分でおデコを軽く叩くエレナ。

彼女なりに反省はしているようだ。



/続く



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「でも魔術師のカードって所にはあまり意味はありません。見るべき点は位置によって変わるそのカードの意味なんですから」

「占い師らしい事言うわねアンタ……」

エレナはニコっと笑うと最後のカードを捲る。

と、そのカードの絵柄にエレナはキョトンとした表情になった。

「あれ、護さんにも運命の輪のカードが出ちゃいましたね」

エレナはそう言いながら最後のカードを手に取る。

「しかも愛花さんと同じ正位置です。意味は出会い、定められた運命ですけど――」

エレナは俺と火野川の顔を交互に見つめる。

そしてニヤリと不気味な笑みを浮かべた。

「お二人とも、この先良い事あるかもですね」

『何だその結論はッ!!』

つい火野川とハモってしまう。

「ふにゃ~? 息ピッタリですね~」

「違うッ! 護が勝手に合わせたのよッ!」

と、火野川が俺を鋭い目付きで睨みつける。

お前殺すとでも言いた気なその眼差しに身体が震える。

「やばい、アヴェンジャーも怖いけどコッチもなかなか……」

「な・ん・で・す・ってッ!?」

ズンと火野川は鬼の如き表情で俺に顔を突き出してくる。

聞こえないように小声に言ったつもりだったのだが。

「アンタ、何でこのカードを引いちゃうのよッ!」

「いやいやいやッ! ここで怒るのはおかしいだろッ!? 運だぞ運!!」

「運だろうがなんだろうが、もう少し考えて選びなさいよ、このツンツン馬鹿ッ!!」

「ツンツンって……そう言うお前だってもう少し考えて選べば良いじゃねーかッ!」

ビリビリと睨み合う俺と火野川。

そんな俺達をエレナはニヤニヤしながら見つめてくる。

「へへ、生徒会長顔真っ赤~」

龍二は鼻をほじりながらそんな言葉を口にした。

「馬鹿ッ! 挑発すん――」

な、と言い終える前に龍二は火野川愛花によって殴り飛ばされた。

先程ライトに殴り飛ばされた時と同じように。



/続く



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