私はフラフラと立ち上がり、壁に寄りかかる。
胸の痛みは引いてくれない、息も苦しいままだ。
無意識に私はまたマンションのある方へと視線を向ける。
誰も来ない、誰も居ない、追ってくるはずもない。
「……何でこんなに苦しくなる……なんで、私には関係ないのに」
矛盾している自分にイライラする。
いつしか私は涙を流していた。
視界がボヤけていくのが分かる。
私は壁に寄りかかりながら崩れる様に座り込む。
非道の事をしただけで何でこんなにも私は壊れそうになる……。
悪魔と契約した時から、人間として生きる事をやめたのに。
膝を抱え込み、下を向く。
周りからは何も聞こえない、聞こえるのはただ、自分の情けない鳴き声だけだ。
「……ダメだ、このままじゃ」
このままじゃ、〝あの頃の私〟に戻ってしまう。
無力で、何も出来ない私に。
「罪悪感なんて……感じてない……」
そう、感じてなんてない。
私は他人から見れば最低の人間なんだ、だからあんな事だって平然と出来る奴なんだ。
だから、だから……。
「じゃ何で泣いてんだよ、お前……」
「――え?」
突然の声に私は反射的に顔を上げる。
そこには、さっき廃墟に置き去りにしたはずの神崎護の姿があった。
護は私の目の前にしゃがみこむと、顔を覗き込んでくる。
「ったく、お前人の事言えねぇだろ。俺らの事切り捨てておいて罪悪感に襲われるって何だよ? もう少し悪役っぽくしてもらってないと、置き去りにされた俺達も調子狂うっていうか……」
深々とため息をつきながら護は私を見つめる。
「……何を、しにきた」
説教をしにでも来たのかコイツは?
それとも切り捨てておいて泣いている私に嫌味でも言いにきたのだろうか。
「何しにって、お前を探しに来に決まってんだろうが」
「……はぁ?」
一瞬、耳を疑ってしまう。
コイツは今、なんて言ったのだろうか。
探しに来たと、そう言ったのか?
/続く