「誰って、そうだなー、名前は一応グリードってんだ、よろしくな嬢ちゃん」
不気味な微笑みを浮かべるグリードと名乗る男。
私は一歩後ずさる。
するとグリードは左手に掴む剣を私達の方へと突きつけてきた。
「な、何だコイツ……」
突然の第三者の登場に動揺している護。
と、グリードは動揺する護に視線を向けた。
「おやおや? 誰かと思えば昨日公園で吐いてた奴じゃねぇかよ」
ヒヒヒ、と癇に触る笑い声を上げるグリード。
ふと、そんな奴の言葉に私は引っかかる物を感じた。
「おい、お前……何で昨日公園でコイツが吐いた事を知ってるんだ」
ん? とグリードが私に視線を向ける。
何でコイツは昨日の事を知っているんだ。
そもそも護が吐いた事を知っているのはあの場にいた私だけの筈なのに。
「そりゃ俺達は記憶を共用してるからな~」
「……どういう意味だ、記憶を共有してるって」
コイツは何を意味の分からない事を言っているのだろうか。
「どういう意味もなにも、俺達はそういう〝生命体〟だからな」
と、不気味な笑みを浮かべなるグリード。
生命体、その単語が何を意味するのか私はすぐに理解した。
コイツは、間違いなく――。
「人間により近い、アヴェンジャー……」
私の言葉を聞くとグリードは満足した顔で口笛を吹く。
「ジャック・ポット……」
男がそう言い終えた瞬間、背筋に寒気が走る。
私は反射的に後ろにいる護の手を取り走り出そうとした、が既に遅かった。
コチラに突きつけられているグリードの黒い剣が、まるで蛇の様に伸びてきたのだ。
「――ッ!?」
刹那の速さで伸びてくる黒い剣の尖端を私は顔ギリギリの所でかわす。
が、完璧にかわしきれなかった左頬から真っ赤な血がダラリと流れる。
「ライトッ!」
護の呼び声が聞こえてくる。
でも今の私には奴の呼び声に反応する心の余裕が無かった。
伸びた剣はジャリジャリと音をたてながら主の元へと戻っていく。
「おぉ~? よくかわしたな赤毛犬。今のは普通の人間ならまずかわせねーってのに」
心臓がバクバクと激しい鼓動音をならしているのが分かる。
いつのまにか口の中もカラカラになっていた。
/続く