「その証拠に、今日学院寮のエントランスでお前は俺に謝ってくれたじゃないか。昨日の公園で、お前にあんな所を見せてすまなかったって。それだけじゃない、俺がアヴェンジャーに殺されかけた時にだって助けてくれた。もしお前が自分の言う通り最低の人間なら助けたりも謝ったりもしないだろ」
そうだった、私はそんな事をしていたのだっけ。
アヴェンジャーに殺されかけた護を助けた事。
アヴェンジャーを殺し尽くして笑い声を上げている自分を見せてしまった事への謝罪。
思えば、アイネを泣かせてしまった事にも私は罪悪感を感じていた。
あぁ、私はなんて矛盾してるのだろう。
「……お前の事、ホントに言えないな」
呆れてまた笑ってしまう、自分の矛盾した事に対して。
すると護は立ち上がり、私に手を差し伸べてきた。
「人として悪魔憑きでいれば良いんじゃないか?」
ニッコリと笑う神崎護。
私は何も言わず、ただ差し伸べられる手を掴んだ。
そしてゆっくりと立ち上がる。
コイツはホントにお人好しでバカな野郎だって事はよく分かった。
けど、私はコイツのおかげである事に気づく事が出来た。
まぁ、コイツの言葉で気づかされたこには少しイラつくけど。
「んじゃ愛花達のとこに戻るか」
護のその言葉から、アイツらは全員無事なんだと言うことが理解出来た。
私は握り合っている手を離し、護から顔を背ける。
「ん? どうかしたか」
一応、コイツのおかげで少し気が楽になったから。
だから、礼くらいは言っておこうかな。
「いや、ただ……その……」
と、お礼を言おうとした瞬間、道の奥の方から口笛が聞こえてきた。
そしてそれと同時に、足音が聞こえてくる。
その足音はコチラに近づいてきているらしい。
「良いね、良いね、感動的だなオイ?」
ヘラヘラした男の声がだんだんと近づいてくる。
そしてその声の主の姿がようやく現れた。
とんがった髪型で何故か右腕が切断されている。
そして左手には変わった形状の剣が握られていた。
「んで、人として生きるにあたりアンタはどうずんだぁ? 赤毛犬」
「……お前、誰だ」
目の前の男を睨みつける。
何故か分からないが、この男からは普通の人間とは違う物を感じられる。
殺意、憎しみ、僻み、嫉妬、そういった人間の醜い感情がこの男からは放出されている感じ。
/続く