霧氷の甲武信ヶ岳 その1 NO.104 2015.10.24~25 日本百名山
●国師ヶ岳~甲武信ヶ岳 2015年10月24日(土)~24日(日) 快晴 温泉付 山梨県山梨市 国師ヶ岳(2,591m)、甲武信ヶ岳(2,468m)<参考コースタイム> 第一日目JR塩山駅~(バス約1時間半)大弛峠→(1時間)国師ヶ岳→(1時間半)国師タル→(30分)東梓→(45分)両門ノ頭→(30分)富士見→(35分)水師(みずし)→(10分)千曲川源流分岐→(20分)甲武信ヶ岳山頂→15分)甲武信小屋(泊)<参考合計タイム> 5時間35分 約2,6000歩 中央線塩山駅から大弛(おおだるみ)峠までバスが開通して、国師ヶ岳までわずか1時間、金峰山まで2時間半で登ることができるようになった。少し距離は長いが、甲武信ヶ岳も日帰りが可能になる。もう数十年も前だが、瑞牆山荘から金峰山を経て、大弛小屋に泊まり、翌日国師ヶ岳に登ったことがある。しかし、その先の甲武信ヶ岳は未踏のまま何十年と時が経ってしまったので、そろそろ長年の宿題をかたずける時が来た。そこで今回は、大弛峠から国師ヶ岳を経て甲武信小屋に1泊し、翌日は西沢渓谷に下山しようという計画。甲武信ヶ岳は、本来ならシャクナゲの季節が適期なのだろうが、今回は下山コースの西沢渓谷辺りの紅葉を期待することにした。 柳平の紅葉大弛峠までのバス便は、塩山駅北口から乙女湖畔の柳平で一度下車し、そこから8人乗りのマイクロバス(4台に分乗)に乗り変えて、隘路を峠まで向かうことになる。6月~11月下旬の季節運行で、駅からの所要時間は1時間半とかなり長い時間揺られることになる。中継地点の柳平の標高はおよそ1,560mほど、まさに紅葉の最盛期。幸いわれわれが乗ったマイクロバスの運転手さんが饒舌で、峠までの30分も飽きることがない。運転手さん曰く、この秋、金峰山付近はマツタケが豊富に獲れたので、小屋ではマツタケ御飯が出たという。しかも運転手さんたちにも、たくさンのマツタケのお土産があったというから羨ましい。こんな話を公にすると、来年はきっと大混雑するだろうから、ここだけの秘話!大弛峠までは一般車も入れるので、駐車場はすでに満杯で、狭い道路は違法駐車の車であふれかえっている。 大弛峠は、金峰山と国師ヶ岳・甲武信ヶ岳方面への分岐点で、ほとんどの登山者が金峰山を目指すようだ。峠の標高は2,365mで、案内板に「車で超えられる峠として日本一高い峠」と書いてある。 クリックすると拡大金峰山と反対側の国師ヶ岳に向かう登山者もいるが、それはほんの一握り、しかもそのほとんどが国師ヶ岳を往復するだけで、われわれのようにその先の甲武信ヶ岳を目指す登山者はいないはず。峠から国師ヶ岳までの標高差はおよそ230mで、スタートからいきなりの階段状の急坂だが、よく整備された木道で歩きやすい。道の両側はシャクナゲが生い茂って、季節(6月?)になれば、さぞや花の香りでむせ返ることだろう。 シャクナゲの道スタートして間もなくすると、「夢の庭園」 に向かう分岐があるが、ここは迷わず夢の庭園が正解。道はすぐ合流することになるが、シャクナゲの群生に包まれ、見晴らしも良い。金峰山の大日岩が聳え、その左側に甲斐駒、千丈、北岳、間ノ岳など歴々たる南アルプスの主峰が勢揃する姿はまさに圧巻。手前に見える山は茅ヶ岳の山塊だろうが、まるで横綱を控えた塵祓いのような存在に見えて来る。 スタートしてから35分ほどで、標高2,576mの前国師ヶ岳に着。山頂からは、行く手に国師岳を望み、やはり南アルプス連山も端から端まで遠望することができる。眼下の裾野に広がる朱色の絨毯は紅葉だろうか、カラマツの林だろうか? 前国師の山頂を少し下ると、北奥千丈岳の分岐に出る。山頂までは往復15分程度らしい。標高は2,601mと、奥秩父最高峰を誇る山だから、話の種に登ってみたいのだが、今回はその15分を割く余裕すらない。 分岐われわれが先を急ぐには理由(分け)がある。それは甲武信ヶ岳までの距離が長く、下手をすると山頂で日暮れを迎えることになるからだ。スタートが10時で歩行時間はおよそ6時間、昼食や休憩時間を入れると山頂までの所要時間は順調に行って7時間になる。小屋では遅くとも4時までには到着するようにと注意を促してしているが、われわれの山頂への到着時間は午後5時の予定。すでに日暮れも間近で、さらに小屋までは樹林の中を15分ほど歩くことになる。当然ヘッドランプはすぐ出せるように準備はしているが・・・果たしてこの先どうなることだろう。前国師岳から、国師ヶ岳は指呼の距離。300名山にふさわしく、朧に富士山が見えている。 国師ヶ岳の山名は、地元の名刹・塩山恵林寺の開祖・夢窓国師がこの山で修業した由来するとか。古くは国司ヶ嶽と書かれていたそうだ。 山頂に着いたのは10時50分で、予定より20分ほど早く、昼食にはまだ早いので、先を急ぐことにした。ここからシャクナゲの急坂を下ると、アップダウンを繰り返し、ひたすら尾根沿いの米ツガの樹林を歩くことになる。 山頂から1時間30分ほどで「国師のタル」に着。タルとは山が弛(たる)んだところだが、樹林の中で単なる通過点。途中、樹林の東側から乾徳山あたりの山塊が見渡せる場所がある。山裾を覆う朱色の帯は、やはり爛熟した唐松林のようだ。 国師のタル「国師のタル」からさらに20分ほどで2,224mの無名の三角点を通過。さらに20分ほどで国師岳に次いで2番目のチェックポイントの「東梓(ひがしあずさ)に着。見晴らしもない、ただシャクナゲに囲まれたなんの変哲もない場所で、チョットト拍子抜け。実はここが本日のちょうど中間地点で、時計を確認すると13:05分。依然、予定より20分ほど早く着いたことになる。だが山頂まではまだ残り3時間もある。ここで遅めの昼食を摂った(摂ったはずだがハッキリした記憶がない)。 次のチェックポイントは、「両門ノ頭」と言われるところで、ここから40分の距離。ガイドブックに大岩壁あり、展望良しとある。予定通り40分後に、大きな岩場のある「両門ノ頭」に着。確かに大岩の端に立つと、足がすくむほど断崖が切り立って見晴らしが良い。前方にわずかに見える山容は、目指す甲武信ヶ岳だろうか?本日初めて甲武信ヶ岳の山容を見た。 眼下に、乾徳山や大菩薩嶺、三ッ峠の山並が前後して、その向こうにかすかに富士山が雲上に浮かんでいるのが見てとれる。「両門ノ頭」で大分時間を費やし、次のチェックポイントは富士見。ここから針葉樹がまばらになり、心なしか梢も低くなったようだ。梢の間から陽が射してくるせいか、シャクナゲの幼木も増えてきた。予定より5分前の14時55分、富士見に着。富士見とは名ばかりで、富士山どころかまったく展望が効かない通過点。 三角点のある富士見まだ山頂までは2時間もある。登り一途の急坂はないが、アップダウンが激しいので、足の関節辺りが痛くなってきた。休憩時に、間接にサポーターを二重にしたら関節痛は治まったようだ。「富士見」をほぼ直角に曲り、2,396mの「水師(みずし)」を通過。この辺りから展望の良い尾根筋に出て、気分がだいぶ楽になった。ここまでほとんど展望の効かない樹林の中を延々と歩いて来たので、この景観はありがたい。 ガイドブックによると、富士見から次のチャックポイントの千曲川源流の分岐までは1時間30分とあるが、実際には50分ほどで着いてしまった。この分岐は、川上村(長野県)からの千曲川源流遊歩道との合流点で、甲武信ヶ岳に登る最も標高差が少ないルートになる。そのせいで、この分岐で30名近い団体客とイッキに合流。国師ヶ岳からここまでの行程で、出合った登山者はほんの数名だったので、どこか場違いの場所に出た感じだ。 千曲川源流分岐分岐から少し下ると、山頂までの最後の急坂が待ち構えている。見上げると、ゴツゴツとした山頂の岩場が見えて、にぎやかな人声が聞こえて来る。この坂を20分詰めて、予定より早く16寺15分に山頂にゴール。分岐まで予想以上に短時間で着いたので、山頂の日暮れにはまだ大分時間がある。 甲武信ヶ岳の名は、山容が拳(こぶし)を突き上げた形に似ていると言われるが、実際は、甲州(山梨)、武州(埼玉)、信州(長野)の3つの国境に立つので、その一字づつをとったのが由来。しかも、山頂で降った雨は、南に下って笛吹川(山梨)へ、東に下っては荒川から太平洋に注ぎ、北に下っては千曲川(長野)から日本海に注ぐという、まさに雄大な分水嶺でもある。 甲武信ヶ岳の山容この山も深田久弥の日本百名山の一座で、「山の形は遠望して際立って特徴があるわけではないが」とことわった上で、「奥秩父のへそと言いたい山である」と記している。久弥が登ったころの甲武信ヶ岳は、いまのような様々な登山ルートがあったわけではないらしく、笛吹川の上流東沢を遡って山頂に立ったとある。現在この東沢ルートは一般登山者の立ち入り禁止区域となっている。 山頂でゆっくり景色眺めていると時間が立つのも早く、4時半過ぎ頃から陽が傾き、月もハッキリと分かるようになってきた。 下からは相変わらず、千曲川源流ルートを辿ってきた登山者が続々と登って来る。 途中足がつってかなり遅れて来た相棒が山頂に着いたのは、16時45分と日暮れギリギリの時間だが予定より若干早かったようだ。その頃からイッキ陽が傾き、17時頃西の空に陽が落ちた。その頃にはもう山頂にはほとんど登山者はおらず、ほんの数人が落日を写真に収めようと残っているだけだった。 われわれも、落日を確認してからすぐにヘッドランプを装着して、小屋に駆け下りて行った。果たして小屋で受付をすると、われわれがその日の最終組らしく、一般の登山者のネグラとは違い10名ほどで食堂で寝ることになった。ネグラが食堂だから、当然皆の食事が終わるまで落ち着けない。その日の夕食メニューはカレーだが、大盛りの選択も可能。全員の食事が終わったところで、小屋の主に、外に置いたままのザックを入れてよいか聞くと、もう少し待ってくれという。どうやら食堂で、自ら撮影したビデオを放映するという。アズマシャクナゲや様々な高山植物が次々に映し出されて美しい。 ビデオの上映会 アズマシャクナゲの映像小屋のご主人は徳さんと言い、小屋番歴30年以上とか。この主人の人となりもあってか、小屋の雰囲気がどこか暖かくて居心地がいい。あるいは入口にある立派な薪ストーブのせいかも知れない。いつも山小屋と同様、今夜も蒲団1枚に二人寝で、眠れぬ夜を過ごすことになる。明日は、食堂組は4時起床とか・・。その2に続く →クリックにほんブログ村