山梨県上野原市 高柄山733m
<参考コースタイム>
JR中央線四方津(しおつ)駅→(1時間40分)→新大地→(1時間)高柄山山頂→(35分)新矢ノ根峠→(40分)分岐→(15分)(鶴島)御前山→(30分)墓地→(25分)上野原駅→(バス15分)秋山温泉
<参考徒歩時間>
約5時間
<日帰り温泉>
秋山温泉
ネスパ
今年最後の紅葉を見ようと、奥多摩や丹沢山塊をいくつか候補に考えたが、どれも「時すでに遅し!」
あれこれ考えた末、ようやく探し出したのが、道志前山麓の高柄山(たかつかやま)。
道志前(神奈川県道志村)というより、甲州街道前の山麓(山梨県上野原市)と言った方がいいかもしれない。
標高わずか730mほどの低山だが、御前山(484m)と合わせて登ると、そのアップダウンの多さに辟易するハードコースだ。
「山梨県の山」(山と渓谷社刊)の著者が、「こんなコース!二度歩くもんかと叫びたくなる」と記している。ハードコースの原因は、高柄山からの下山ルートが、20年前にゴルフ場がオープンしたのでコース変更になったためらしい。
もっとも、バスを使わず駅前から登り、駅前に下山できるアクセスの良さや、紅葉や新緑の美しさは逃せない魅力。
駅からのスタートということもあって、相棒と二人、午前9時の遅い集合。
駅前の案内板に従って、線路下をくぐり、桂川の橋を渡ると予想通りの紅葉の山麓が見えてきた。
アスファルト道路を抜けて川合集落に入ると、「この道はいつか通ったことがある」、という記憶が蘇ってきた。しかし肝心のその山の名前が思い出せない。
地図を引っ張りだして、ようやくそれが矢平山
であることを知った。わずか1年半前の桜の時期に登ったばかりだ。
途中の新大地峠までは同じルートで、そこから左右に分かれるのだ。
その時は、途中、道標を見損なって分岐(下の写真)を右に行って、少し遠回りをしてしまった。
この分岐を左に
林道から登山道に入ってしばらく歩くと、カメラを構えた十数人の人だかり。
前回来た時は、3~4人程度だったが、今日は紅葉時期もあってか、かなりの人出。
皆、”撮り鉄”マニアばかりで、狙うは、桂川にかかる赤い鉄橋を渡る中央線の列車。
どうやら中央高速道路(一番下)の奥に、中央線が上下のセパレート区間になっている。上の線路が上り路線で、下の赤い鉄橋が下り路線。上下同時に、別々の車両が通過するのを撮るのが醍醐味らしい。
本日辿る登山道は、甲州街道と道志村(神奈川県)を繋ぐ重要な生活古道に違いない。路傍に古い石仏や、石垣あとがハッキリと残っている。
こうした生活古道をゆっくり味わいながら辿るのも、里山登山の楽しみの一つ。石仏の表情を見るだけでも心なごむ気分になる。
カヤの大木の根元に佇む地蔵に近寄ってみると、今まで見たこともない、かわいらしい表情をした童子の石仏がある。
人里離れた山奥に佇んでいるのは、馬頭観音の一種だろうか。それとも、子どもの成長を祈るために、村人が奉納した石仏だろうか。
表面に年号が刻んであるようだが、風化が激しく、解読できないほど古さびれている。
あどけない表情をした童子の石仏
道は徐々に傾斜がきつくなるが、それに比例して紅葉樹も増えてきた。すでにクヌギは葉を落とし、足元が埋まるほど枯葉が多くなった。
時折、目に眩いばかりの赤や黄色のカエデ類が山ひだを覆うような場所もある。

この山はあまり人に知られていないせいか、あるいはすでに紅葉が満開時期を過ぎたせいか、思いのほか登山者が少ない。これまで見かけたパーティはせいぜい5,6組だろうか。
一人の若者が、足早に下から登って我々を追い越してゆくと、上にカメラを構えたほかの人がいる。
どうやらここも”撮り鉄”の撮影スポットなのだろう。昨年来たときも、やはり同じ場所で、大きなレンズを構えているカメラマンがいた。
スタートして1時間半ほど汗を流して、舗装された林道に出た。
道路わきの川合集落方面に、「御座敷ノ松跡」と記された松の木がある。信玄が休息したと伝えられる場所に、川合集落の人たちが松の幼木を植樹したという。
ここから後ろを振り返ると、真っ白に冠雪した見事な富士山が見える。
見晴らしの良い、この展望地で小休止することにして、おにぎりを一つ頬張った。
本日は、相当気温が高いようだ。汗をびっしょりかいて、Tシャツ一枚でも寒くはない。
当初、ここが新大地(おおち)だと思ったが、それは違うようで、さらに15分ほど歩くと、わずかに北斜面が開けた新大地に着いた。
ここが、矢平山と、われわれが目指す高柄山への分岐点になる。
矢平山へのルートは、ガイドブックでは「旧大地峠」を経ると記しているが、道標には「旧大地」ではなく「大地峠」と記してある。新・旧大地峠のほかに、ただに大地峠と紛らわしい表記だが、旧大地峠と大地峠は同じ場所であるようだ。
冒頭、「高柄山はわずか730mの低山だが侮れない」、と記したが、山頂に近づくにしたがって徐々にその実感が湧いて来た。
といのも山頂に至るまでに小ピークがいくつもあり、そのたびに高低差のある登り、下りをいやというほど繰り返すことになる。
あまりに上り下りが激しいので数えてみると、6つもある。他の山に比べてその数は断然多いといってもいい。
ちなみにスタート地点と山頂との標高差はわずか約500mだが、累積標高差はその何倍もある。
急な下り坂にはロープが張ってある
大きな急途を上り詰め、ややなだらかな尾根筋に出ると、いよいよ最後のピーク。これを超えて11時35分、ようやく高柄山の山頂に着。
山頂はさほど広くなく、西側は樹木に覆われているが、南北と東斜面からの展望が利く。とくに北斜面が大きく開けて、生藤山に連なる笹尾根やその向こうに、かすかに奥多摩の大岳や御前山の山頂が見渡せる。
眼下に広がるのは上野原の街並みだ。
山頂には、三等三角点のほかに、壊れた赤いトタン屋根がある。何かの礎石のようだが分からないので後日調べてみると、かつて2基祠が祀ってあったという。そのうちの一つは、養蚕の神をまつっていたという。
かつて甲州街道の集落では養蚕が盛んで、山道の途中にある聖徳太子の「字碑」は、職能に優れた太子を祀っていたという。
山頂には続々と後続部隊が登りつめ、20名ほどのハイカーで山頂が一杯になった。
ここで湯を沸かし、昼食に50分ほど費やした。
次に目指すのは御前山。
御前山と言っても、この辺りには「御前山」という名前を冠した山が5座もある。
西側から「(猿橋)御前山」、「斧窪御前山」(梁川駅西側)、「網之上御前山」(梁川駅東側)、「四方津御前山」(四方津駅東側)、そしてが5番目がわれが目指す「御前山」。これは鶴島にあるので「鶴島御前山とも呼ばれている。
これら5つの御前山は、甲州街道を挟んでわずか12kmほどの間に密集しているのは不思議だ。しかもそれらに共通するのは山容にあるという。それは、御前山の名の由来となったご飯を盛った「ご膳」のような姿をしていること。
武田勢が支配していたころ、この5座の山頂には、烽火台が築かれていたという。
高柄山から急坂を下り、ザレた道や緩やかな尾根道を35分ほど上下して、新矢ノ根峠にある東屋に着。
地元の子供たちが親たちに引率されて登ってきたという。このあと辿ることになる、御前山までのあの険しい道を、本当に子どもたちが登ってきたのだろうか?不思議になる。
それほど御前山は、タフな山道と覚悟した方がいい。
新矢ノ根峠から15分ほど下ると、ゴルフ場のフェンス横を通り、さらに進むと、御前山と上野原駅への分岐にぶつかる。
分岐
上野原へ駅へのルートは、御前山を経由せず、道を左に巻いて林道に出るルートらしい。御前山経由でもゴール地点は同じだが、ここから直接下る方が10分ほどのショットカットになる。
先ほどの小学生たちはこのルートを使ったのかもしれない?
さてここから御前山への登りがすさまじい。
あまりの急傾斜で、途中、道を間違ったかと思えるほど険しく、手がかりも薄くなる。
這うようにしてようやく13寺55分着。
高柄山からおよそ1時間半かかったことになる。
山頂からはわずかに北側が開けているが、手前の樹木が邪魔をしてほとんど展望が利かないといっていい。
(鶴島)御前山山頂
山頂でほんの少し休んで、さらに等高線の目が一杯詰まった山道を慎重に下山。
道は、ここからさらに険しくなり、ロープを使わなければ危険な個所もある。雪や氷で凍結する時期の下りに使わない方が賢明だ。
山頂から30分歩いて人里近くの墓地に着。
ここから薬師堂や人家を通り抜け、夕暮れ迫る桂川を渡って、15時ちょうどに上野原駅前に着。
実は、15時に駅から秋山温泉(ネスパ)への無料バスが出るので、それに合わせて早足で歩いてきたのだ。
この秋山温泉は源泉かけ流しのアルカリ性単純温泉で、ph9.8の高アルカリ性という。
ゆっくり湯に浸かり、お決まりの湯上りの生ビールで喉を鳴らしたことは言うまでもない
。
帰りの無料バスに合わせて温泉を後にしたので、少し飲み足りない。🍶
駅前にちょうどいい具合に赤ちょうちんがぶら下っているので、ぶらり「酒場放浪記」!
店の名前は「一福食堂」。ラーメン、餃子の中華のほかに、牡蠣のカレー焼きめしやカキフライもある。
登山帰りの食堂&居酒屋として、いろいろな本に紹介されているようだ。
一冊目の「こんどは山かい!?」の本のサブタイトルは、「下りたら温泉、地元の居酒屋、これが楽しく、無いわけない、これぞオジサンの遊園地登山」とある。
2冊目の「山を下りたら山麓酒場」のサブタイトルは、「飲むために登るのか、登ったから飲むのか」・・。
ここで、餃子を肴に、焼酎のオンザロックを1杯、2杯!
ほろ酔い加減のせいか、「飲むために登るのか、登ったから飲むのか」分からなくなってきた(=⌒▽⌒=)。
<日帰り温泉>
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