韓国ドラマ「未成年裁判」 | ああいえBAR 旧館・支那竹銀座より

ああいえBAR 旧館・支那竹銀座より

「支那竹銀座」はラーメンズ小林賢太郎さんに名付けてもらいました。
負け犬というよりバカ犬。飼い主には従順素直。
悪そうなヤツや知らない人には、吠えたり噛み付いたり。
エサくれたら恩は忘れません。面白いエンタメを求めて日々彷徨っています。

キム・ヘス姐さん主演のドラマです。

顔がちょっと苦手…と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが

子役からの大ベテラン女優。

そこまで言うほど……です(なにが)。

1970年生まれ、身長170センチ!

 

とにかく見応えがあります。

全10話、韓国ドラマ平均としては短いです。

(最近ネトフリ作品で10話、多いよね?←誰に聞いてる?)

 

だいたい、2話でひとつの事件を扱っているので

ちょうど映画一本見た感覚に。10÷2で

計5本の映画見たぐらいのボリューム感があります。

 

韓国題: 소년 심판

脚本: キム・ミンソク
演出: ホン・ジョンチャン

2022年2月にNetflixで公開。全10話。

 

まず。

少年法に疑問を持ったことのある大人の方々には

ぜひとも一度観てみていただきたい作品だなと思います。

韓国では、満9歳以下は法律で裁けず。

満10歳から13歳は少年法の保護処分、

満14歳~18歳は少年法の保護処分か、刑法の適用だそうです。

日本もまもなく少年法が変わりますよね。詳しくはこちら

この時期にタイムリーに観るのもおすすめです。

※15歳未満の未成年の視聴は非推奨となっていますのでご注意を。

 

もう、あまり社会がこう言っているからああだとかこうだとか

言いたくないですけど、韓国嫌いは一旦置いておいて

一度、純粋にエンタメとして作品を味わってみてほしい。

 

この脚本家さんは本格的に作品を映像化したのはこれが

初めてだそうです…マジかよ…って話です。

約4年の準備期間に50~60名近い関係者に取材を行ったんだとか。

この熱意…日本のエンタメにも……。

 

【あらすじ ストーリー】

ヨンファ地方裁判所に赴任してきたエリート判事シム・ウンソクは

非行に走る未成年に激しい嫌悪を抱えていた。

「子供は更生なんてできない」「子供は嘘をつく」と公然と言い、
罪を犯した未成年に、少年法上の最高刑を多く与えることから

鬼判事と呼ばれている。

同部屋で仕事にあたる同僚のテジュ判事は、罪を犯した未成年たち

に対しても情をかけ、刑を終えたあとも面倒を見る優しく頼れる

存在である。2人はやがて子供たちが直面している社会問題を

認識し、彼らを非行に走らせる原因は社会にある事を痛感していく。

 

いくつかの事件のうち、実際にあった事件が

モデルとなったものもあります。

 

一つ目の事件は、14歳の少年が同じ団地に住む8歳の少年を

殺害、遺体をバラバラにして遺棄し自首した事件→実は共犯あり。

これは、2017年の仁川東春洞小学生誘拐殺人事件がモデル。

 

部長判事の息子も巻き込まれた試験問題流出「デカルト」事件は、

2018年の淑明女子高等学校・双子試験問題漏洩がモデル。

 

未成年のレンタカー無免許事故は、2020年の事件がモデル。

中学2年生8名がソウル市陽川区で、駐車されてたレンタカーを盗み

大田まで無免許で運転。警察に追われ逃走中、オートバイと衝突

配達バイト中だった当時18歳の大学生をひき殺した。加害者が

当時13歳だったため、法的に厳重な処罰ができなかった。


女子レイプ事件は、2018年の仁川女子中学生集団性暴行事件

 

シム判事の身内に起こった事故は、2015年の京畿道龍仁の

アパートからレンガが投下され、50代の女性が死亡、20代が

頭蓋骨を骨折する大けがを負った。加害者は9歳と11歳の少年3人。

日本・大阪でも消火器をマンションから落として、下にいた小学生が

亡くなるという事件がありました。

 

さて、この辺りでネタバレ警戒のお知らせです。
キャストも含みで、以下ネタバレ。

この作品は観て損はないので、ぜひ、ご鑑賞を!

 

【キャスト 出演者】

《ヨンファ地裁少年刑事合議部》
右陪席判事 シム・ウンソク: キム・ヘス    
左陪席判事 チャ・テジュ: キム・ムヨル    
部長判事 カン・ウォンジュン: イ・ソンミン    
後任の部長判事 ナ・グニ: イ・ジョンウン    

参与官 チュ・ヨンシル: イ・サンヒ    
主任 ウ・スミ: パク・ジヨン

事務官 ソ・ボム: シン・ジェフィ     

ヨンファ地裁所長:チェ・ジョンウ    
司法警察官(警備員) キョン・ジュンハン: クム・グァンサン    
ヨンファ警察署少年課刑事 コ・ガンシク: パク・ジョンファン    

ヨンファ小学生殺害事件で自首した少年 ペク・ソンウ: イ・ヨン(女優)  ペク・ソンウの母: パク・オクチュル
ヨンファ小学生殺害事件容疑者 ハン・イェウン: ファン・ヒョンジョン
ヨンファ小学生殺害事件の被害者少年 ユン・ジフ: イ・ジュウォン    
被害少年ユン・ジフの母: パク・ボギョン    

ブルム回復センター長 オ・ソンジャ: ヨム・ヘラン
オ・ソンジャの長女 キム・アルム: チョン・イジュ    
オ・ソンジャの次女 キム・アジン: パク・チェヒ    

更生施設出身者(スリ) ウ・ソラ: チョ・ミニョ    

更生施設出身(窃盗、売春)、父親の暴行被害者ソ・ユリ: シム・ダルギ
ソ・ユリの祖母: イ・ジュシル
ソ・ユリの父 ソ・ウォンソク: ヒョン・ボンシク    

ハヌル日報 キム・ヒョンジュン記者: ユ・ジョンホ
弁護士 ホ・チャンミ: キム・ヨナ    

ハン・イェウンの担当精神科医: キム・ビョンチョル    

テジュの母: パク・ヘジン    

自由党国会議員 オム・ジュンギ: ユ・ジェミョン
SYケミカル代表/自由党支援者 : ユ・ソンジュ    

ブルム回復センター入所者 チェ・ヨンナ: キム・ボヨン    
ブルム回復センター入所者 オ・ヨンジ: チェ・ジス    
ブルム回復センター入所者 ウ・ミンギョン: ハ・イアン    
ブルム回復センター入所者 コ・ヘリム: ユン・ソア    
ブルム回復センター入所者 ヨ・ジウン: キム・ジョンユン    
ブルム回復センター入所者 ハン・ミンジュ: チョ・ヒョンソ
ブルム回復センター入所者 ユン・ウンジョン: チョ・ユンス    
ブルム回復センター入所者(入院中)ト・ユギョン: パク・ジョンユン    
ブルム回復センターの少女を捜す刑事: チャン・テミン    
オ・ヨンジの売春の客: チェ・ジェソプ    

大田地裁判事:ハミン    

カン・ウォンジュンの妻: パク・ミヒョン
文光高校生徒/カン・ウォンジュンの息子 カン・シヌ:キム・ジュノ    

文光高校生徒(デカルト会員)イ・ナムギョン:    イ・ソクヒョン

文光高校教務主任: ファン・インジュン    
文光高校英語教師: ハン・ジウォン
文光高校事件等の担当検事: キム・ジョンファン  

オンライン塾講師: チョン・スンジェ(特別出演)  

更生施設出身者(暴行、恐喝) クァク・ドソク: ソン・ドクホ
クァク・ドソクの無免許運転事故被害者 オ・ギュサン: 
オ・ギュサンの妻: イ・ボム    
クァク・ドソクの母: イ・セラン    

クァク・ドソクの車の同乗者たちの付添人: ソン・ギョンウォン    
クァク・ドソクの友人/車の同乗者 ペク・ミジュ: チョン・スビン    
クァク・ドソクの車の同乗者: イ・ソクヒョン    
クァク・ドソクの車の同乗者 キム・イソン: チョン・イェノク    

集団性的暴行加害者でレンガ事件加害者

                                   ファン・インジュン: チョン・セヒョン
集団性的暴行加害者でレンガ事件加害者

                                   ペク・ドヒョン: キム・ギュンハ
ファン・インジュンの保護者: イ・ヨンシル

幼少期のファン・インジュン: パク・シウォン

集団性的暴行事件の加害者 ソ・ドンギュン:  キム・ドゴン
集団性的暴行事件の加害者 オ・ギョンス: キム・ジュンソン(緑の髪)
集団性的暴行事件の被害者 カン・ソナ: カン・チェヨン
カン・ソナの父: キム・ジュンウォン    

シム・ウンソクの元夫/検察 ナムグン・イファン: キム・ジュホン    
ナムグン・イファンの母: チョン・グクヒャン    
シム・ウンソクの息子 ナムグン・チャン: ?

 

【以下、個人的メモと感想】

・少年法の年齢引き下げとか、未成年による残忍な犯行とか

日本も同様にあるわけですが、実際の事件をモチーフにしていれば

遺族感情とかあれやこれやで作るのも大変だと思うんですよね。

でも、ここまでしっかりと書き込んで、人間性は変わらないだとか

親が一番悪い、とか言いたいこと言ってくれてありがとう…というのが

私の正直な第一感想です。

 

・同年代の若手俳優に演じさせることへの配慮からか、単に変声期

の少年がなかなか難しかったのか。少し大人の俳優さんたちが、

未成年役を演じています。

殺人を犯した未成年少年(声変わり前)の役を、

27歳の女優さんが演じています。驚いた!

 

・ひとつめの事件の13歳の少年が、同じ団地に住む8歳の小学生を

家に誘い込み殺して、遺体をバラバラにしたあと遺棄したとして

自首をしてくる。調べると16歳の女子高生が共犯として挙がってくる。

女手一つで生活のため忙しく息子を見られなかったという親と

金で優秀な弁護士を雇い、アメリカから帰国することもなく被害者に

謝罪の態度も言葉すら見せない無責任な親とが出てくる。

事件だけでも腹が立つのに、周囲の大人たちが上乗せして腹立つ。

精神的な病気を理由に罪をごまかそうとする弁護人…など

ほんと…弁護士ってなんなんでしょうね、な件。

なんで子供を釈放しないんだと文句を言ってくる親もいる。

「いくら判事でも人間性までは正せない」

「親の努力なしに子供は変わらない」←ド正論。

 

・被害にあって殺された少年の親が、シム判事の所に

息子が好きだったお弁当を持ってくる。シム判事はあることから

ロクな食事もしていないし、睡眠もちゃんとできていない状態で

仕事以外は死んだような生活を送っている。

突然のお弁当に困惑する判事だったけど、

それをゆっくりといただいて、裁判のあと、お弁当を詰めて

お返しするんだけど…ほんと、韓国エンタメの

「食べものを通した思いやり」の表現がすごく上手。

食べることを大事にするって大事だなって、本当思う。

 

・温厚そうなチャ・テジュ判事を演じるキム・ムヨルさん。

最近、なんか連続して彼の作品に当たっている気がします。

ということは、彼が売れてきているということなのでしょうかね?

(いや多分、すでにだいぶ売れている俳優さんかと思います)

・ウンギョ 青い蜜

・悪人伝

・記憶の夜 …と今まで見たのは映画ばかり。

 

・非行少年を憎むシム判事だが、冷酷なばかりではない。親からの

暴力を日常的に受けている非行少女が、父親の通報を拒む。

理由は、通報したところで、安全が保障されるわけではなく、

家から出ていかなければならないのは被害を受けている自分だから。家を出て生活に困って犯罪に手を染める負のループで

自分の人生の生き所がない少女。シム判事は警察の協力も仰ぎ、

少女の参考人としてアル中で暴力を振るう父親を呼び、処分を下す。

「親のしつけ」…虐待あるあるの言い訳。

本当に、これをご近所づきあいで見守っていこうなんて日本の

ドラマがあって怒り心頭でしたが、誰かが刺されたりでもしたら

どう責任とるんだよ!中毒甘くみるなよっ。っと…話がそれました。

 

・少女たちの更生を手助けする民間の施設にも問題が発生。
実の子供の気持を理解できていなかった件。やはりここでも

問題は親、というのを浮き彫りに。施設長役のヨム・ヘランさん

(もちろん特別出演)なんの役でも似合うなぁぁ~。


・お金持ちや権力者などの子息だけを対象に試験答案のリークが

された事件では、カン・ウォンジュン部長判事の息子も関与を。

長年の判事生活から政界進出→自分の夢のために…と一歩を

踏み出す手前で…。息子を散々怒鳴り散らかした部長判事だけど

そもそもに息子の不出来で人格否定的なことまでした結果がコレ。

息子は自首しようとするも父に止められ…

悩んだ挙句、車に飛び込み。日本よりさらに「学歴こそすべて」

みたいな韓国の社会を描いた作品多いですけど、そこから弾かれた

人間はどう生きていくんですかね…。

 

・韓国作品には大体1人はヒステリックキャラが出てくるんですけど

今回はイ・ソンミンさんが担いましたね(笑)

 

・シム判事にとっての因縁の相手が、部長判事として入ってくる。

「少年裁判はスピードが命」だと思ってる。

シム判事の息子が死んだ事件を、加害者が未成年だからと

たったの3分で裁判を終えた張本人。そして、その後、何のお咎めも

なかった加害者2人はどんどん犯罪へと手を染めていく。

「どうせ処罰されない年齢だから」と。

 

・レンタカーを身分証を偽造し、無免許で飛ばした結果、

無関係の人を殺し、自分も植物人間になってしまったクァク・ドソク。

真面目に更生をしていたとばかり思っていたのに…と最初から

犯人扱いされるが、被害者の話や証拠の防犯カメラなどから

脅されて運転してたり、性被害者の女性を助けていたこともわかる。

が、証拠不十分で残ったやつらは軽い罪に。事故のせいで死んだ

遺族も、植物人間になってしまった息子を想う母も報われない。

自分たちの処罰を聞いた瞬間「やった」とばかりに笑顔を見せて

喜ぶ少年らがほんと腹ただしく、親の教育どーなってんだよ!って

思いましたとさ。地獄に落ちやがれ。ま、判決下したほうも悪い。


・性的暴行事件でサイコパス並に、被害者の靴を集めたりしている

主犯加害者がファン・インジュン(チョン・セヒョン)。その共犯の

一人がペク・ドヒョン(キム・ギュンハ)。彼らは数々の犯罪を

おかしている不良少年だけど、最初の事件は彼らが小学生の時。

マンションから面白半分にレンガを落として、幼い子供の命を奪った

事件。この時の被害者の子供が、シム判事の子供だった。

いたずら半分にやったことだから、と3分で審議が終わって

罪に問われなかった彼らは、少年法を逆手にとって「どうせ処罰され

ないから」と罪を重ねてきたわけですよ。

ファン・インジュンとの直接対決場面は、なんというか…

「判事がそんなに力あるん?全治数カ月レベルじゃ?」って

思いますけど(笑) ちょっとだけ頑な頑固ババァなナ・グニ部長判事が

自分の過去の裁きの責任をとる動きがあってよかったなと思います。

・幼い子供を亡くして心が死んでしまったシム判事。結局、

夫婦の家族生活も壊れてしまって、今は仕事をするだけの日々を

送ってる。が、そこに元姑のヒステリックババァが、怒鳴り込んできて

「あんたが結婚して仕事を辞めてちゃんと子供の面倒を見てれば

あの子が死ぬことはなかったはず」と騒ぐ。

この姑と、元旦那の親子関係も歪んでるよなぁ。

・「OECD加盟国で韓国は子供の自殺率が1位」

「少年犯罪のうち本当に凶悪なものは1%、校内暴力が15%、

その他は家庭環境が原因の非行」…わかるわ。←何が?

 

・10話最終話のラストに、いきなり顔面にタトゥーをぐわぁ!って

入れて非行が加速している少年が出てくるんですけど…

これ、続きますよね?

 

・本当はこの作品が今年1月配信予定だったのを、Netflixの戦略で

同じく韓国ドラマ「今、私たちの学校は」と順を入れ替えて配信した

そうで…いやぁ、なに?春休みとかそういうの?なに?すごい作戦。

両方ヒットしてるし。


星は

★★★★★★★★★★

私的には、あと一回ぐらい、ゆっくりと見返したい作品でもあります。

子供を持つ親の方々、ぜひとも観てみてほしい。