「地球温暖化」を中国史から読み解く | 方丈随想録

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今まで常識と思われていたものが覆ることがある。急成長を続けていた中国経済が現在「崩壊」の危機にある、ということも数年前には考えられなかった。

ということは、我々が常識と見なしていることは、よくよく精査してみると常識でも科学的でもないことが判明してくるのだ。

そんな常識のひとつが「温室効果ガスによる地球温暖化」ではないかと思うようになった。

「地球温暖化」が指摘され始めたのは1980年代だった。1990年代に入って地球環境の保護とともに「地球温暖化」対策が国連の場で討議されるようになった。京都議定書が締結されたのは1997年のことだった。冷戦の終結とグローバリズム、中国の経済発展の時代と「地球温暖化」が叫ばれた時代は重なるのだ。偶然かもしれないが。

さて、現在の中国は電気自動車の生産では世界トップである。「地球温暖化」を抑止するためにガソリンや軽油で走る自動車よりも電気自動車が好ましい、という主張が強いからだ。ところが、電気自動車の売れ行きは最近になって鈍っている。バッテリーや充電施設、充電時間などの問題によるのだろうが、電気自動車が「地球温暖化」も含めた環境問題に対応しているとはいえないという根本的な問題があるからだと思う。

電気自動車の生産に大量の化石燃料(特に石炭)を消費するし、バッテリーの寿命が短く中古車では売りにくい。常に新車の買い替えが必要であれば、その分化石燃料の消費は増えるし鋼板の消費も増えるわけだ。とすれば、結果的には電気自動車の方がガソリン車よりも多くの炭酸ガスを発生させている。電気自動車はその走行中に炭酸ガスを発生させないにしても、生産過程でより多くの炭酸ガスを発生させているという事実が隠蔽されているわけだ。

炭酸ガスの発生については森林の伐採も一因である。ヨーロッパで森林が大規模に伐採され、森林が大幅に減少したのは18世紀以降である。18世紀にはイギリスで産業革命が起こり、石炭がエネルギーとして本格的に使われ始めた。木材と石炭からの炭酸ガスの大気への放出があったのだが、温暖化が問題になったのはそれから200年後である。石油の大量消費が始まったのは20世紀のことで、アメリカに乗用車が普及した1920年代を基準にしても、温暖化が注目されたのはそれから半世紀後である。大気中の二酸化炭素と温暖化に科学的な因果関係が本当にあるのかどうか、どうしても疑問符が付く。

さて、ヨーロッパ、特に西欧は現在では森林が少なく、平原が広々と続く景色である。こうした景色は歴史的には最近のものだ。では中国ではどうなのか。中国も古代では華北に大森林が広がっていた。中国史における繁栄は、豊富な木材資源に支えられていた。ところが、中国では植林の文化がなかったものだから、森林のあった場所は眺望の良い平原に変わってしまった。それは食糧生産にはいいかもしれないが、燃料としての木材は不足することになる。では木材の代わりに何を燃料としたかというと、それは石炭だった。中国史において、石炭を燃料にすることは宋代から始まったという。ということは、中国史において、古代から中世にかけて華北および華中の森林はほぼ伐採されつくした、ということ、そしてさらに石炭の使用がほぼ10世紀から始まったわけだ。中国の木材と石炭から発生した炭酸ガスの量は膨大だと思われるが、ではその後世界は温暖化したのだろうか。ヨーロッパでは14世紀から17世紀までが「小氷期」という寒冷期に当たるのだが、中国からの炭酸ガスの発生は「温暖化」を招いていないことになる。

というわけで、炭酸ガスと「地球温暖化」との関連は認められない、ということになる。