日本にとっての「地球温暖化」問題 | 方丈随想録

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地球は大気の温度は基本的には低下傾向にある。じわじわと下がり続けている。ところが、165万年前から急激な気温の下降現象が起こった。いわゆる「氷河期」の出現である。「氷河期」は4度発生し、最後の「氷河期」が終わったのが1万年前のことである。「氷河期」があった時代を「更新世」、その後を「完新世」という。したがって、現在は「後氷期」である。

ところで、「完新世」の1万年間でも気温は安定せず、上昇と下降を繰り返した。下降した時期をヨーロッパでは「小氷期」と呼んでいる。日本はヨーロッパより緯度が低く温暖なのだが、気温の上昇と下降は水面の上昇と下降に繋がり、それが日本列島に大きな影響を与えた。具体的に言うと、縄文時代は温暖な時期で海面が上昇し、東京湾が現在の群馬県や栃木県あたりまで侵入していた。これを「縄文海進」というとのこと。広い浅海ができるので、縄文人にとっては魚や貝などが容易に入手出来てよかったことと思う。弥生時代には寒冷化が進み、海面が下降して陸地部分が拡大するという現象が起こった。これを「弥生海退」というとか。

縄文時代や弥生時代であれば人口は少ないから、海岸線の移動が生活に致命的な打撃を与えることはないが、現代はそうではない。世界の大都市の多くが海岸に立地している。海面が上昇したからといって都市を捨てられない。現在の海水面を維持したいのだ。縄文時代のような「海進」がおこれば、東京23区も横浜市も千葉市もさいたま市も海底に沈むだろう。「温暖化で海面が上昇する」となれば、是が非でもそれを阻止する方向に向かうのは当然だ。ところがである、「縄文海進」は「温室効果ガスの排出による温暖化」だったのかというと、そうではない。現在の「地球温暖化」が「温室効果ガス」の排出によるという仮説が正しければ、「温室効果ガス」の排出削減は意味があるかも知れないが、正しいという保証はないようなのだ。「温室効果ガス」の削減に力を入れるよりも、海面の上昇スピードに応じた対策に努めた方がいいと思うのだ。

新年早々能登半島で大地震があり、能登半島海岸部で海底が隆起するということがあった。このことは、海岸線の変化は海水面の変化だけではなく、陸地の上下方向への変動もあることを示している。内陸部にかつては海岸線や島であったことを窺わせる地名が残っている。海岸線は変化するものなのだ、という認識が重要だ。

大勢としては地球は寒冷化に向かう。寒冷化と温暖化とどちらがいいか悪いか。寒冷化の方だろう。氷河期が再来すれば、北欧とカナダは氷床の下敷きになり、ヨーロッパと北米も壊滅に近い打撃を受けるだろう。日本でも北海道は生存不可能な土地になるだろう。そして対馬海峡が陸地化し、九州と朝鮮半島がつながることになる。それだけは勘弁してくほしい。というように、温暖化は寒冷化よりはましなものだという認識は常識にしておきたい。