BIG BLUE SKY -around the world-
$BIG BLUE SKY    ~旅の空の下で~-0201_phramaethorani_570
[Penang Island, Malaysia]



旅行記
 2007 ①ベトナム縦断 ②マレー半島南下
 2008 ③USA~茶色い波頭・青い水平線~ ④青い朝焼け~タイ再訪~
 2009 ⑤夢の丘~チェンマイ~ ⑥路地裏のコスモポリタン~バンコク・パタヤー~ ⑦明月照,路迢迢・中国江南
 2010 ⑧精彩的城里・中国西塘 ⑨風神雷神~チェンラーイ~ ⑩アユタヤ満月記 ⑪バンコクの休日
 2011 ⑫休みの国 ~シンガポール・マレーシア・タイ~
 2012 ⑬修羅の郷~ヤソートーン~ ⑭経済成長の彼方~ホーチミン~
 2013 ⑮修羅の郷~ヤソートーン~ Pt.2 ⑯ラマダーン月の路地~バンコク~
 2014 ⑰八日間亜州一周 (香港⇒タイ⇒シンガポール⇒マレーシア⇒シンガポール⇒インドネシア⇒シンガポール⇒タイ⇒香港)
 2015 ⑱中庭のキッチン~南タイ,ハジャイ~ ⑲南へ行こう~シンガポール~ ⑳バンコクの休日 Pt.2
 2016 ㉑アウトロー・カントリー~北タイ紀行~
 2017 ㉒重力の都 ~カトマンズ~ ㉓ディープなタイに触れる旅 ㉔経済成長の彼方~ホーチミン~ Pt.2
 2018 ㉕晝の夢 ~南タイ~
 2019 ㉖旅をなぞってはいけない ~チェンマイ・パタヤー~
 2020 ㉗終わりから見た夢のように
 2022 ㉘エンデミックへの渇望 ~タイ紀行~ 
 2023 ㉙南へ行こう ~シンガポール~ Pt.2 ㉚三度目の暑季 ~タブラ・ラーサ~

音楽記事Music Magic Rich Tapestries


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25-Aug-2025 龍の舞

 

[龍の舞/KENSO] (2024)



敬愛するミュージシャンの訃報に触れたとき、限りない喪失感に囚われながら作品を聴き続けることがある。'80年代には John Bonham, John Lennon, Bob Marley … '90年代には Freddie Mercury, Cozy Powell … そして今世紀には Jon Lord, Keith Emerson, Greg Lake, Chick Corea, John Wetton, Jeff Beck …  
先週の火曜日に小口健一氏ご逝去の報に接してから、KENSO 作品を聴き続けている。Miscatonic, 月夜舟行, 時の意味, The Fourth Reich, 知識を超えて~Gips, 精武門, Tjandi Bentar, GOS, Voice of Sankhara, 龍の舞 … Live’92 のオープニングを飾った The Fourth Reich~月夜舟行~時の意味 … 楽曲とともにかつて観た小口氏のライブ・パフォーマンスが思い出される。2019年 11月3日のKENSO 最終章その弐から数えて 5年後に発表された新作を聴いてからと言うもの、久々のライブ日程の発表が待ち遠しかった。

2009年 7月に外国で夢の丘を見つけた私を日本へと引き戻したのは、同年 8月15日の KENSO の Sparta リマスター記念公演だった。そこで本当に久しぶりに演奏された "月夜舟行" に、1989年に "Sparta" を聴いてから 2009年のライブまでの 20年間が、曲に乗せて思い出されたものだった。それから 16年近くが経った先月、私は 16年前に見つけた夢の丘の近くに構えた寓居で一か月間を過ごした。もしも 1991年に夢の丘を聴くことがなかったら、そこに寓居を構えることはなかった。たとえ故郷を遠く離れていたとしても、自身が何処から来た何者なのかを忘れることはない。敬愛する人々の作品と出会い、学んだ幸運に感謝している。小口健一様のご冥福をお祈り申し上げます。


 [#1405]
 

17-Feb-2025 LTIA Part One, David and Jamie

 

RIP Jamie Muir... 彼の音楽との出会いが無かったら、私の人生は違うものになっていた。当時のロック・ファンなら誰もが、"太陽と戦慄" を聴いて、とんでもなく凄いミュージシャンだと思ったが、それがどこの誰かは誰も知らなかった... All part of the rich tapestry of life. Coo-ee...




[Larks' Tongues in Aspic/King Crimson] (1973)  "Larks' Tongues in Aspic, Part One" 収録作品


 [#1404]
 

05-Nov-2024 イアラ

[闇のアルバム/楳図かずお] (1975)


人など好きになったから、お前今日からへび少女
この歌詞を呟いて、さらにイアラと叫んだまことちゃん
さらに記憶の中を辿ると、土麻呂とサナメが膨張する太陽を見つめる姿があった
再びあいましょう! いつかどこかで! いつかどこかで!
それは旅先で出会った人のもとを去る時に、いつも言う言葉に似ていた
楳図先生、再び会いましょう! いつかどこかで!


 [#1403]
 

RW-25, A Week in the Real World - Part 1/Various


[A Week in the Real World - Part 1/Various] (1992)

1. On the Wing/The Grid
2. Tang Uru/Ayub Ogada
3. I Want Jesus to Walk with Me/The Holmes Brothers
4. It šat Duolmma Mu/Mari Boine and Band
5. Omanarzy/Rossy
6. Picoro/La Bottine Souriante
7. Hibrido/Juan Cañizares
8. Lubanga/Geoffrey Oryema
9. Dodoma/Remmy Ongala & Orchestre Super Matimila
10. Slow Down/The Grid
11. Soledad/Totó La Momposina Y Sus Tambores
12. Mother and Son/Pól Brennan, Joji Hirota, Guo Yue
13. Variations on Tong Sal Puri (Eastern Exorcism)/Samulnori
14. Wuming Wuyi (No Name No Meaning)/Sola
15. The Legend of the Old Mountain Man/The Terem Quartet



[Real World Studio] (1991)


『 これは凄いコンピレーション盤だ 』

本作は、’91年 8月に 20箇国・75人以上のミュージシャンが参加して、英国 Box 郊外に在る Real World スタジオで行われた、”Real World レコーディング・ウィーク”で収録されたコンピレーション盤。様々なバックグラウンドを有するミュージシャン,エンジニア,プロデューサーに作詞家までが集合して、新たなる創造に燃えた一週間の記録である。この作品集でしか聴けない、次のように貴重な楽曲が多数収録されている。

① 初めての組み合わせでレコーディングされた新曲
② 初めてのゲストを迎えて演奏された既存曲
③ 野外の芝生で行われたガラ・コンサートでのライブ録音
④ 純粋なる新作のスタジオ・レコーディング



[ear Cover, A Week in the Real World - Part 1] (1992)


それでは、代表的な楽曲を紹介して行こう。

① 初めての組み合わせでレコーディングされた新曲

・Track-1: イギリスのテクノ・ユニット 2人組 The Grid が、フラメンコ・ギタリスト Juan Cañizares や、元 PIL のベーシスト Jah Wobble、キーボード, サックス奏者 Alex Gifford 等、多くのゲストを迎えて収録した楽曲。
エレクトロニカをバックに、Juan Cañizares がアコースティック・ギターを弾きまくる。この曲を聞けば、生楽器がどれほどエレクトロニカと相性が良いかが分かるだろう。ワールド・ミュージックとテクノが急接近して行く近未来を、暗示した楽曲と言える。正にオープニングに相応しい楽曲だ。



[Juan Cañizares (L) and Arona N’diaye (R)] (1991)


・Track-10: Track-1 同様 The Grid + ゲストによる演奏で、Wendell Holmes (The Holmes Brothers) の歌唱をメインで聴かせる楽曲。テクノ楽曲でこのような歌唱を聞かせるとは、Holmes の懐の広さ深さには全く恐れ入る。レコーディング・ウィークでの The Holmes Brothers の活躍ぶりを示す一曲。

・Track-2: ケニア出身 Ayub Ogada の新曲は、何と The Holmes Brothers を迎えて収録された。東アフリカのバラードに、Holmes のギター,ベース,バック・コーラスは、自然に溶け込んで未体験の音世界を形成している。The Holmes Brothers 恐るべし。



[Ayub Ogada at Gala concert] (1991)


② 初めてのゲストを迎えて演奏された既存曲

・Track-8: タンザニア出身 Geoffrey Oryema の既発楽曲に、ウルグアイ出身の Carlos "Pajaro" Canzani がアコースティック・ギターで参加したライブ演奏。Geoffrey の親指ピアノ Lukeme と Pajaro のギターとが、信じられない程の効果を上げている。楽曲は、初めからこの姿で演奏されるために、存在していたかのようだ。この演奏を聴いてしまったら、既発のスタジオ・バージョンは色褪せてしまった。それほどこの演奏は素晴らしい。

③ 野外の芝生で行われたガラ・コンサートでのライブ録音

・Track-4: Mari Boine and Band のライブ。『なんというビッグ・ボイスの持ち主なんだろう』と驚愕した一曲。これまでに聴いたことが無い唱法で、ppp の囁きから fff での雄叫びまで歌い上げる Mari に、度肝を抜かれたのだ。ノン・ビブラートで数小節間を引っ張り続けるシャウトは衝撃的だった。
その後、この曲のスタジオ・バージョンを聴いたときには、ライブ並みの迫力を期待していたので、少々抑制が利いた歌唱に拍子抜けしてしまった。良いのだけれども物足りない。それは、Deep Purple の “Live in Japan” を先に聴いてから、”Machine Head” を聴いたときと同じ感覚だった。ライブの迫力の方が勝っていたのだ。

・Track-11: Totó La Momposina Y Sus Tambores のライブ。レコーディング・ウィーク後に出演した WOMAD ’91 横浜でのパフォーマンスの記憶が蘇る。観客たちが、すぐ近くで歌い踊る姿が目に浮かぶ。彼女たちの、最盛期のパフォーマンスを観られた幸運に感謝する。



[Mari Boine and Band at Gala concert] (1991)



[Guo Yue (L) and 廣田丈自 (R) at Gala concert] (1991)


④ 純粋なる新作のスタジオ・レコーディング

このレコーディング・ウィークからは、6つの新作と、1つのコンピレーション盤 (本作) の、7つのアルバムが誕生した。

新作
・RW-21, Jubilation by The Holmes Brothers
・RW-22, Mambo by Remmy Ongala & Orchestre Super Matimila
・RW-23, Terem by The Terem Quartet
・RW-29, Majurugenta by Ghorwane
・RW-31, La Candela Viva by Totó la Momposina
・RW-32, Trísan by Trísan



[The Terem Quartet and Peter Gabriel (bottom)] (1991)


これらの作品中で、レコーディング・ウィークのメリットを最も活用しているのは、The Holmes Brothers “Jubilation” だと思う。
Holmes は、タンザニアの Remmy Ongala バンド のギタリスト 3人を迎えて、ゴスペルを披露している。スーク―ス・ギターとの共演は、アルバムのハイライトとなっている。観衆を入れたスタジオ・ライブでのギター・ソロの応酬は、大いに盛り上がっていた。
さらには、サミー・ノルディック Mari Boine, UK インディア Sheila Chandra によるコーラスを収録した楽曲や,Guo Yue の中国の横笛との共演も収録されており、異色のゴスペル楽曲が聴ける。

前出①の The Grid,Ayub Ogada の新曲や、自らのアルバムでの他のミュージシャンとの交流等、The Holmes Brothers はレコーディング・ウィークで最も活躍し、且つ最も恩恵を受けたミュージシャンだと思う。ワールド・ミュージックのイベントで、ゴスペル・グループの活躍が際立っていたとは、いかにも Real World らしいエピソードだ。

以上のように、20箇国・75人以上のミュージシャンが、新たなる創造に燃えた一週間の記録を、是非とも聴いていただきたい。



[The Holmes Brothers & Congolese guitarists] (1991)



[Peter Gabriel on Keyboard] (1991)



Real World #01~25 の紹介記事のあとがき
ワールド・ミュージックの洗礼を受けた日々を思い出しながら、この夏は ’89~’92年の Real World 作品を聴いて過ごした。初期の 25作品の一つひとつを手に取る度に、初めて聴いた日の感覚が蘇って来た。自身の音楽に対する関心の対象領域が、加速度を上げて拡がって行くことへの期待感と高揚感を思い出したのだ。
初期の Real World 作品は、世界各地の音楽を世の中に紹介する役割が強かったと思う。既存音源そのもののリリースや、欧米向けに少々モディファイした作品のリリースで、その役割を果たしていたと思う。その流れが変わって来たと感じたのは、’91年の Real World レコーディング・ウィーク以降の作品だった。RW-25, “A Week in the Real World - Part 1” 収録の ①初めての組み合わせによる新曲や ②初めてのゲストを迎えた既存曲で聴ける新しい音楽の創造が、さらなる存在理由になったと感じたのだ。最初から意図されていたことが、その時期にリスナー側からも見えるようになったのだと思う。
Real World レコードのカタログ・ナンバーは、2024年 5月にリリースされた Bab L' Bluz の新作で、259番に達した。又機会を作って、RW-26 以降の作品も紹介していきたい。



 [#1402]

 

RW-24, … My Ancestors' Voices/Sheila Chandra


[Weaving My Ancestors' Voices/Sheila Chandra] (1992)

1. Speaking in Tongues I 2. Dhyana and Donalogue
3. (a) Nana, (b) The Dreaming
4. Ever So Lonely / Eyes / Ocean
5. The Enchantment 6. The Call 7. Bhajan
8. Speaking in Tongues II 9. Sacred Stones
10. Om Namaha Shiva


『 本人による詳しい曲解説があるのは、とてもありがたい 』

ライナーノートには、Sheila Chandra 本人による全曲の解説が載っていた。曲の成り立ち,その曲で用いた唱法,どのような思いが込められているか等、詳しく記述されている。歌手以外には書けない専門的な内容が、初心者にも分かり易く記述されているのだ。今になって思えば、2009年に歌手を引退した後、文筆業に転身しただけのことはある。



[Third Eye/Monsoon] (1983)


Sheila Chandra は、ライナーノートに 「声は最初にして究極の楽器である」,「声は血流とつながっている」,「声は生物学的に全ての人に共通するものである」 と書いていた。楽器とは異なる声の特性について、ご自身の言葉で力強く記している。その記述通り、本作全曲を通じて、Sheila Chandra の声が堪能できる。伴奏は控え目なドローンだけで、正に歌を聞かせる作品なのだ。邦盤には、Sheila の意を汲んだかのようなサブタイトル "遠き彼方の記憶を呼び覚ます10の歌声" が冠されていた。

プロデューサーは、Monsoon 時代からのパートナー Steve Coe。10曲中 8曲は Sheila Chandra と Steve Coe の共作である。Monsoon 時代の楽曲 "Ever So Lonely / Eyes" の再演が収録されているのには、アルバム中での曲配置を含めて、込められた意味が有るのだろう。



[Ever So Lonely/Monsoon] (1981)


Sheila Chandra は、WOMAD '92 横浜で来日を果たした。そのときは都合がつかず、残念ながらステージを観ることは叶わなかった。その後、WOMAD 横浜はいつの間にか開催されなくなり、Sheila Chandra の Real World 三部作が '96年の "ABoneCroneDrone" をもって完結してからと言うもの、消息を聞くことは殆ど無くなった。

そんなある日、英国で "Ever So Lonely" の Jakatta (DJ Dave Lee) によるカバー "So Lonely" がトップ 10ヒットとなった。何と、このバージョンには、Sheila Chandra のオリジナル・バージョンでのボーカル・トラックが使われていた。"So Lonely" を聴く度に、機会が有れば Sheila のステージを観に行きたいという気持ちが、沸々と湧き上がって来たのだった。



[So Lonely/Jakatta] (2001)


WOMAD 2007 シンガポールに Sheila Chandra が出演すると知り、丁度都合が付くので観に行くことにした。とても楽しみにしていたのだが、会場に付いた私を待っていたのは、Sheila 病欠の知らせだった。

病気とは BMS (burning mouth syndrome, 舌痛症) で、それがもとで Sheila Chandra は 2009年に歌手活動からの引退を決めてしまった。何とも残念だ。



[Womadness Singapore 2007: Ten Years of Real Music] (2007)  "Ever So Lonely / Eyes / Ocean" 収録


Sheila Chandra は、歌手引退後は文筆業に転身して、Self-Help Books (いわゆる自己啓発本) を執筆している。"Banish Clutter Forever – How the Toothbrush Principle Will Change Your Life" (2010) は、邦訳本 "歯ブラシの法則" が出版されているので、いつか読もうと思っている。


 [#1401]

 

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