2024年 第7戦 エミリア-ロマーニャGP | Glass Labyrinth

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僕の視点からF1での Ferrari のレースと Formula1 Grand Prix について書いてみます。

F1第7戦は2年ぶりのエミリア-ロマーニャグランプリでした。改めて、昨年この地方で水害に遭われた方々にお悔やみを申し上げます。

 

今年は、2人のドライバーを失って悪夢と呼ばれた1994年のシーズンから30周年となりました。4月30日にローランド・ラッツェンバーガー、5月1日にアイルトン・セナを失ったあの週末です。改めて、安全にレースを行うことを誰もが誓う週末であってほしいですね。

 

 

/*・・・Preparation:コースとタイヤ・・・*/

アウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ(イモラ)

 

(Formula 1®から抜粋)

 

コース長:4.909 km

レース距離 :309.049 km(63 laps)

特徴:・起伏に富んだ中高速サーキット

   ・アイルトン・セナがタンブレロ(現ターン2〜4辺り)で事故死して30年周年となる

   ・ターン6以外のすべてのコーナーが100 km/h以上

   ・オーバーテイクが非常に難しい

   ・主なオーバーテイクポイントはターン2

タイヤのコンパウンド:C3〜C5(最も軟らかいセット)

 

 

/*・・・Qualifying:予選・・・*/

PP 1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

2位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)

3位 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)

4位 16 C・ルクレール(フェラーリ)

5位 55 C・サインツ(フェラーリ)

6位 63 G・ラッセル(メルセデス)

7位 22 角田裕毅(RB・レッドブル)

8位 44 L・ハミルトン(メルセデス)

9位 3 D・リカルド(RB・レッドブル)

10位 27 N・ヒュルケンベルグ(ハース・フェラーリ)

11位 11 S・ペレス(レッドブル)

12位 31 E・オコン(アルピーヌ・ルノー)

13位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)

14位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)

15位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)

16位 77 V・ボッタス(キックザウバー・フェラーリ)

17位 24 ジォ・G(キックザウバー・フェラーリ)

18位 20 K・マグヌッセン(ハース・フェラーリ)

19位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)

20位 2 L・サージェント(ウィリアムズ・メルセデス)

 

Pole Position Time:1:14.746(236.43 km/h)

Fastest Lap Time Throughout the Weekend:PP Time と同じ

 

 

/*・・・Race:決勝・・・*/

WIN 1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

2位 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)

3位 16 C・ルクレール(フェラーリ)

4位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)

5位 55 C・サインツ(フェラーリ)

6位 44 L・ハミルトン(メルセデス)

7位 63 G・ラッセル(メルセデス)

8位 11 S・ペレス(レッドブル)

9位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)

10位 22 角田裕毅(RB・レッドブル)

11位 27 N・ヒュルケンベルグ(ハース・フェラーリ)

12位 20 K・マグヌッセン(ハース・フェラーリ)

13位 3 D・リカルド(RB・レッドブル)

14位 31 E・オコン(アルピーヌ・ルノー)

15位 24 ジォ・G(キックザウバー・フェラーリ)

16位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)

17位 2 L・サージェント(ウィリアムズ・メルセデス)

18位 77 V・ボッタス(キックザウバー・フェラーリ)

19位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)

Ret 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)

 

Ret:Retire/リタイア。

 

Winner's Time:1:25:25.252(217.08 km/h)

Fastest Lap Time:1:18.589(224.87 km/h @lap 54)

63 G・ラッセル(メルセデス)

 

 

/*・・・Summary:風雲・・・*/

優勝はフェルスタッペンでした。通算59勝目。これですでに今シーズン5勝目となりました。でも、この5勝目は今週末苦しみ抜いて手にしたものでした。確かに結果だけを見ればポール・トゥ・ウィンですが、ヒュルケンベルグのスリップストリームを使うことができなければPPも厳しかったでしょうし、決勝も序盤にコース外走行が多発して早々とブラック・アンド・ホワイトフラッグを喰らうなど、決して乗りやすそうなマシンではないようでした。フリー走行も含めて今回の3日間の彼のドライブを見れば、フェルスタッペンがこれまで通り順調に勝ち星を積み重ね続けていくのは相当厳しいんじゃないかな、と思えるくらいでした。昨シーズンは、フェルスタッペンがここまで苦しみながら勝利を掴む姿を見た記憶がありませんからね。

 

前回のマイアミも含めて、ここ2戦のレッドブルが現在の真の実力だとはまだ思えませんが、少なくともマクラーレンとフェラーリがレッドブルに接近してきているのは確かだと思います。今シーズンが始まった頃は、フェルスタッペンはシーズンで何勝するのか、リードラップをいつまで続けるのか、と思っていましたが、ここまで7戦中5勝挙げているとはいえ、シーズンを通して安泰とはまったく言えなくなってきたと感じます。現にこの流れはペレスにとってはより深刻で、鈴鹿あたりまでレッドブルの1-2が予定調和のように思われていたのが、中国以降から順位を落とし始め、今回は予選ではQ3に進出することもできず、レースではメルセデスの後塵さえ拝してしまいましたからね。ここからレッドブルの巻き返しはあるのか、注目したいと思います。

 

2位はノリスでした。今回は優勝も狙えただけに、2位はむしろ残念だったと言った方がいいかもしれませんね。しかし今週の決勝で最速だったは、ぼくはノリスだったと思います。途中でルクレールに攻め立てられるシーンもありましたが、タイヤに余力を残していたのか問題なく凌ぎ切り、ルクレールがミスしたのを合図にしたかのように、反対に前を走るフェルスタッペンを追い詰めていきました。イモラはオーバーテイクどかろか、前走車フォローすることすら苦労するコースであることもあって結局オーバーテイクには至りませんでしたが、他のサーキットならファイナルラップまでにフェルスタッペンを捉えていても不思議でないくらいの勢いを感じました。今後のノリスのレースに興味津々です。

 

マクラーレンのもう1台のピアストリは4位でした。せっかくフロントロウからスタートできるタイムを記録したのに、他車のアタックを邪魔したとしてグリッド降格ペナルティで5番グリッドからのスタートとなりました。イモラでこのグリッドダウンは痛いですね。これで実質的に、優勝争いをふいにしてしまいました。もったいないことです。ただ、ハードタイヤではフリー走行から予想されていたほどの速さはなく、ルクレールにも挑むことはできませんでした。このことから考えると、個人的には、ピアストリが予選通りのグリッドからスタートできていたとしても、おそらく最終的にはノリスと順位を交代して、ルクレールをなんとか抑えての3位フィニッシュくらいだったのかなと見込んでいます。

 

フェラーリは3-5位でした。金曜日には、特にルクレールに速さを感じましたが、土曜日以降他のチームがペースを上げ始めると次第に車群に埋もれていきました。今回フェラーリが持ち込んだアップデートにはある程度の効果があるとは考えられますが、まだ十分という訳ではないようですね。実際スクーデリアのバスール代表も今回投入したものに対して大きなペースアップは見込んでいないと「予防線」を張っていて、ぼくもそこまで期待はしていませんでした。だからもし、この段階のアップデートで多少ドライブが改善されたのであれば、むしろこの先面白いことになるかもしれないなと感じました。

 

ルクレールは、途中ノリスを追い詰めたところまでは良くてぼくも非常に盛り上がりましたが、ノリスがペースを上げるとまったく追いつけませんでした。認めたくはなかったですが、フェラーリはマクラーレンに遅れをとっていますね。もはや3番目のチームです。でもその差は僅かで、まだまだ挽回のチャンスはあるはずです。サインツは第1スティントでピアストリを完全に抑えることができていましたが、やはり今週末速さで勝るピアストリにかわされてしまい、予選順位通りの5位フィニッシュとなりました。仕方ありませんね。でもそこまでは、いつものサインツと同じく非常に粘り強いドライブを見せてくれ、健闘していたと思います。ただ個人的には、マイアミ以降のサインツに開幕当初の勢いが感じられなくなったことの方が気になりますけどね。

 

せっかくなのでメルセデスにも一言だけ触れておきましょう。開幕戦以来あまり大きく変わらないのですが、レッドブル(フェルスタッペン)、マクラーレン、フェラーリのトップ集団に追い付けず、レッドブル(ペレス)、アストンマーティン、RB(角田)、ハース(ヒュルケンベルグ)などとともに中団の一角を形成しています。いつも金曜日には速さを見せて「今回はトップ争いできるかな」と期待を抱かせますが、結局金曜日番長の位置を抜け出せていません。せめて予選だけは速いとか、決勝では強いといった特徴があればまだしも、どちらも平凡なので救いようがないです。まあ、高値であろうと安値であろうと、そうやって安定感のあるところが良くも悪くもメルセデスらしいのですが。でもマシンの問題は相当根深かそうなので、チームの心中をお察します。

 

 

/*・・・Next:モナコ・・・*/

次回はモナコです。舞台は伝統のモナコ市街地コースです。これまでモナコは、常にF1を象徴するイベントとしての地位と特権を与えられてきました。でも最近は、そのモナコでさえ開催が危ぶまれるという噂が絶えません。いつでも他のグランプリにとって代えますよと、F1からのプレッシャーは年々厳しさを増す一方です。モナコは開催権料が最も低いと言われているのでそうことになるのでしょう。

 

ただ、富裕層が集まる国とはいえ、居住者に税金を課さない小さな港町のような小国に、産油国並みとは言わないまでも、他の先進国並みの開催権料を要求するのは正直非常に厳しいことだと思います。でも、それを加味してモナコの特権を認めると、莫大な開催権を払っている国は納得いかなくなるのは当たり前です。F1がヨーロッパを中心としていたときは問題にならなかったことが、より多くの国を相手にするようになり、さらにアメリカの資本が入ってきて競争原理のビジネスモデルを当てはめるようになったことで、話が大きく変わってきました。今後モナコはグランプリを続けられるのか、それとも他に取って代わられるのか。見守っていきたいと思います。

 

さて、コースについて見てみましょう。これもよく言われることですが、ここのコースは狭く曲がりくねっていて、市街地コースでは珍しくもないことですが実質的なラインも1本だけなので、まともに仕掛けるスポットもなく、オーバーテイクは少ないです。少ないは盛り過ぎですね。言い直します。まともなオーバーテイクはほとんどありません。まあ、これは今に限ったことではなく、何十年も前から変わらない、モナコの特徴でもあります。むしろ、そんな特色があるんだとトラックのダイバーシティ(多様性)の1つくらいに考えられなくもありません。

 

よく「モナコはオーバーテイクがないからつまらない」と言われますが、それは個人的には半分正解だと思います。ぼくはつまらないと思ったことはないですからね。オーバーテイクがあると言われているトラックでも、予選で同じような速さを見せたマシンどうしの場合は、基本的にどこのトラックであろうと追い抜きは難しいものです。ただ予選でミスして、本来いるべきグリッドから大きく後方のグリッドからスタートとなったドライバーは、レースではペースの遅いドライバーに対してほとんど何もできず、2時間近く退屈なドライブし続けることになるでしょう。それだけ予選だけはミスが絶対許されず、全24戦中最も予選結果が重要な週末となります。

 

** 2023年シーズン結果 ******

Pole-sitter:1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

Winner:1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

Fastest lap:44 L・ハミルトン(メルセデス)

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昨年はファルスタッペンがポール・トゥ・フィニッシュ(全周回リードラップ付き)を決めました。でも正直、圧倒的な勝利という訳ではありませんでした。予選でもウォールに接触しながらわずか0.08秒ほどの差でPPを奪い、レースでは雨に足をすくわれていたのに、敵失で手にしたような厳しい勝利でした。この時の直接のライバルだった予選2位のアロンソは雨中で快走していましたが、雨が強くなってきたタイミングで敢行したピットストップでチームがドライタイヤを履かせるという明らかなタイヤ選択のミスをしてしまい、昨シーズン自身唯一と言ってもいいほどの勝機を逃してしまいました(アストンマーティンとしては、彼らは雨はすぐ上がると考えてのタイヤ選択だったということです)。まあ、抜けないモナコなんですが、特に雨が降るとこんな波乱も起こりえるので、そうなると1年で最も印象的なレースにもなり得るグランプリなんですよね。

 

昨シーズンのような白熱する予選や、面白いレース展開があればいいなと思います。