F1第18戦はアメリカ・グランプリでした。また新たな3連戦が始まりました。3連戦が終わったと思ったらまた3連戦。なぜ毎シーズンのこの時期に連戦を詰め込んでくるのでしょうかね。
/*・・・Preparation:コースとタイヤ・・・*/
サーキット・オブ・ズィ・アメリカズ(オースティン)
(Formula 1®から抜粋)
コース長:5.513 km
レース距離:308.432 km(56 laps)
特徴:・様々なタイプのコーナーがレイアウトされた中高速サーキット
・フロントタイヤにもリアタイヤにも厳しい
・路面が非常にバンピーで突風が吹くことがある
・長いストレートがあり、コース幅も広いためバトルしやすい
・主なオーバーテイクポイントはターン1、ターン12
タイヤのコンパウンド:C2〜C4(やや硬い〜やや軟らかい)
/*・・・Qualifying:予選・・・*/
PP 12 K・アントネッリ(メルセデス)
2位 3 M・フェルスタッペン(レッドブル)
3位 6 I・アジャー(レッドブル)
4位 16 C・ルクレール(フェラーリ)
5位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)
6位 63 G・ラッセル(メルセデス)
7位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
8位 1 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
9位 41 A・リンドブラッド(レーシングブルズ・レッドブル)
10位 30 L・ローソン(レーシングブルズ・レッドブル)
11位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・メルセデス)
12位 27 N・ヒュルケンベルグ(アウディ)
13位 5 G・ボルトレート(アウディ)
14位 43 F・コラピント(アルピーヌ・メルセデス
15位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)
16位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)
17位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)
18位 18 L・ストロール(アストンマーティン・ホンダ)
19位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)
20位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
21位 11 S・ペレス(キャデラック・フェラーリ)
22位 77 V・ボッタス(キャデラック・フェラーリ)
Pole Position Time:1:34.035(211.06 km/h)
Fastest Lap Time Throughout the Weekend:Pole Position Time と同じ
/*・・・Race:決勝・・・*/
WIN 12 K・アントネッリ(メルセデス)
2位 16 C・ルクレール(フェラーリ)
3位 3 M・フェルスタッペン(レッドブル)
4位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)
5位 1 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
6位 6 I・アジャー(レッドブル)
7位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
8位 63 G・ラッセル(メルセデス)
9位 30 L・ローソン(レーシングブルズ・レッドブル)
10位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・メルセデス)
11位 27 N・ヒュルケンベルグ(アウディ)
12位 41 A・リンドブラッド(レーシングブルズ・レッドブル)
13位 5 G・ボルトレート(アウディ)
14位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)
15位 18 L・ストロール(アストンマーティン・ホンダ)
16位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)
17位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
18位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)
19位 11 S・ペレス(キャデラック・フェラーリ)
Ret 77 V・ボッタス(キャデラック・フェラーリ)
Ret 43 F・コラピント(アルピーヌ・メルセデス)
Ret 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)
Ret:Retire/リタイア。
Winner's Time:1:35:16.650(194.23 km/h)
Fastest Lap Time:1:37.976(202.57 km/h @lap 42)
16 C・ルクレール(フェラーリ)
/*・・・Focus On:目前・・・*/
優勝はアントネッリでした。自身の通算9勝目はポール・トゥ・ウィンで達成しました。今回は決まりませんでしたが、チャンピオンの戴冠ももう目前です。ぼくは、戦前はアメリカでは達成できないだろうと思っていましたが、チャンピオンシップ・ポイントをあと2ポイント獲得するまで追い込むとは思っていませんでした。
今シーズンのアントネッリを語る際に運の良さを避けては通れないと思いますが、今回はほぼ運とは関係ないところで掴み取った勝利かなと感じます。ただ、予選でのポール・ポジション奪取には正直驚きました。フリー走行2ではトップのルクレールに0.04秒まで迫りましたが、フリー走行はもちろん予選もQ2まで1度もトップに立てませんでしたからね。最後の最後にすべてが上手く噛み合ったということなのでしょう。
そしてスタートも素晴らしかったです。スタートではミディアムタイヤでしたが、それよりも蹴り出しがいいはずのソフトタイヤ勢の誰よりもいいスタートを切ることができました。ほんとに信じられませんでしたね。トップを確保した後はタイヤをコントロールしながら徐々に後続を引き離すことができ、王道的な勝ち方をすることできたのだと思います。
今回に限ったことではありませんが、アントネッリに関して唯一気になっているのは、やはりトラックリミット違反の多さです。実況の方の「Mr. Track Limit」という強烈な皮肉には思わず吹き出してしまいました。ここまでは自分自身を上手にコントロールできているように見えるのに、反対に肝心のマシンをコントロールできていないというのはいただけません。もう少し落ち着くことができればもっと良いドライバーになると思うんですけどね。
ちなみにアントネッリのチームメイトにして、一応まだタイトルコンテンダーのラッセルは8位と惨敗でした。これは仕方ありません。何せアントネッリは前回のシンガポールでメルセデスの新型マシンを駆って研究しまくる時間があり、1戦分(スプリントを含めると2レース分)のアドバンテージがありましたからね(しかもこの研究期間にラッセルよりも大量のポイントを獲得していることも大きいです)。
ただでさえ今シーズンのレギュレーションに則ったメルセデスのマシンに苦戦しているのに、この1戦の経験の違いは今のラッセルにとってはとてつもなく大きすぎるというものです。次のレースでアントネッリに追いつくことができれば上出来ではないでしょうか。でも時すでに遅し。もはやチャンピオン獲得は風前の灯ですけどね。
2位はルクレールでした。ルクレールはフェラーリの地元モンツァ(イタリア)でみっともない姿を晒した後、本当に生まれ変わったように感じるくらい良くなったと思います。もちろんバクー(アゼルバイジャン)、シンガポール、そしてここオースティンはルクレールが比較的得意とするサーキットというのもあったと思います(バクーとシンガポールは未勝利ですが、いずれもポール・ポジション獲得経験はあります)。この勢いのまま終盤のレースまで活躍してほしいですね。
ルクレールのレースに関しては、予選Q3で失速して4位になったことで優勝を逃したと言われていますが、本当の敗因はレースで2回ストップを採ったことにあります。まぁ、ここ数戦はソフト側のタイヤが活躍してきましたし、おそらくチームと同じくぼく自身も金曜日の時点でハードタイヤは使えないと思っていましたから、ソフトタイヤをメインとすることはある意味、仕方なかったと思います。その上で、もしアントネッリと勝負するならソフトタイヤを保たせる以外に術はありませんでした。実際デグラデーションは前を行くアントネッリやフェルスタッペンと比べてもそこまで見劣りしなかったはずです。でも2ストップから1ストップへの切り替えはかなりの勇気が必要です。というか、タイヤが摩耗して耐えられない可能性もあります。結局、フェルスタッペンがタイヤ交換したことに引っ張られてしまいました。
ただし、レース中に他チームの動向を見てハードタイヤが使えると判断した機転自体は良かったと思います。誰も責められませんが、ただ気付くのが遅かっただけですね。勝つこそできませんでしたがラップタイム自体は良く、アップデートの正しさを示していて、今後のレースに対して明るい材料だったと思います。
ハミルトンも4位に入り、フェラーリはコンストラクターズ・チャンピオンシップで2位をぐいっと近づける2-4フィニッシュとなりました。ハミルトンは最初から2スティント(スタートから2回タイヤ交換するまでの走行)まではフロント側のセッティングが大きく狂っていたようで、ルクレールにまったくついて行けませんでした。でも最後のスティントはハードタイヤがどんぴしゃで合ったこともあって怒涛のように巻き返し、見ていてとてもわくわくしました。それだけに、たった1周足りなくてポディウムを獲得できなかったのは残念でしたね。返す返すもボッタスがストップしたことによって導入されたバーチャル・セーフティカーが恨めしかったです。
3位はフェルスタッペンでした。ここまで調子を上げてきていただけにこの敗戦は個人的には予想外で、実際レースでもとても苦戦していたように見えました。特にチームは2ストップ作戦の決め打ちで、ハードタイヤをまったく無視していたことが結果的には敗因となったように思います。でもオープニングラップのルクレールとの攻防はとても面白かったです。
5位はノリスでした。ピアストリも7位と振るいませんでしたし、正直この結果は個人的に予想外と言うか、何か物足りないものがあります。でも、これは別にフェラーリから宗旨替えしてマクラーレンを応援している訳ではありません。サマーブレイクの後にマクラーレンがもっと優勝争いに絡んでくるだろうというぼくの予想が外れただけです。まぁ、マクラーレンが追ってこないだけフェラーリにとってはありがたい状況だと思っておきます。マクラーレンとレッドブル、どちらがフェラーリに挑む位置に来るのか楽しみにしています。
/*・・・Next Grand Prix:メキシコシティ・・・*/
アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス(メキシコシティ)
(Formula 1®から抜粋)
次回はオースティンから約1,200 km南下してメキシコシティ・グランプリです。南北アメリカ大陸3連戦の2戦目になります。舞台はメキシコシティのエルマノス・ロドリゲス・サーキットです。東京からで言うと鹿児島とか、あるいは海外だとソウル辺りでしょうか。
メキシコシティと言えば、やはり海抜高度ということになると思います。ここの海抜高度は2,200 m以上のため、海沿いの平野と比べると非常に空気が薄いということになります。日本で言えば富士山の5合目付近らしいですね。慣れていない人だと高山病みたいになると思います。単純計算だと100 m上昇するごとに気圧が約1%小さくなるので、海抜150 mくらいのオースティンと比較するとメキシコシティはそれより2割ほども気圧が低いということになります。
このため、メキシコシティではダウンフォースが非常に小さくなります。なぜならダウンフォースは空力構造物に衝突する空気分子(より正確にいうと窒素分子やら酸素分子やら)の数に比例するので、空気の薄いところではそれだけダウンフォースが減るのです。逆の見方をすると、空気が薄いためマシンに当たる空気分子の数が減ることは空気抵抗が減ることと同じなので、最高速は大きくなることになります。実際、昨シーズンまでのレギュレーションではここでシーズンの最高速が出ることもあるくらいでした。
でも、影響はそれだけではありません。空気が薄いということは、熱を媒介して逃がしてくれる物質が少ないということです。このためここでは排熱の問題は常につきまといます。また、内燃エンジンというだけあって燃焼にも影響を及ぼします。ものを燃やすには空気(の中の酸素)が必要となりますから、単純に酸素が少ないほどものが燃やせなくなります。ただ現在のPUにはターボがついていますので、標高の高さがそのままエンジンの出力低下につながることはありません。ただし、空気をかき集めてくれるターボの性能が重要となると言えるかもしれません。そう考えると、もし将来NA(自然吸気)エンジンに回帰することになればメキシコシティでは厳しくなるでしょうね。
さて、サーキットの特徴を簡単に見てみましょう。ここはセクター1が長短2つのストレート区間、セクター2がコーナーが連続する中速区間、そしてセクター3が非常に低速なスタジアム・セクションを含む低速区間とはっきり分かれています。長いストレートがあるので最高速が伸び、ターン1やターン4など勝負所となるコーナーもあります。反対にターン4以降から最終のターン16まではコースのレイアウトやトラックの汚れでマシンを並べることすら難しく、予選ではアタック中のマシンからの退避、レースでは周回遅れの処理が難しいです。これが原因で展開が一気に変わったりするので意外と侮れません。注意が必要です。
矛盾するかもしれませんが、このサーキットにはバトルできるコーナーがありながらも、従来のレギュレーション下ではオーバーテイクは決して多くはありませんでした。しかし、今シーズンからオーバーテイクモードとして追加の電気エネルギーが使用できるようになったので、もしかするとオーバーテイクは増えるかもしれません。興味深いですね。どうなるか様子を見てみましょう。
/*・・・Glory Memories:メキシコシティ(メキシコ)・グランプリ・・・*/
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5勝 マックス・フェルスタッペン(オランダ)
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5勝 マックス・フェルスタッペン(2017、2018、2021〜2023年)
2勝 ルイス・ハミルトン(2016、2019年)
1勝 カルロス・サインツ(2024年)
1勝 ランド・ノリス(2025年)
F1メキシコ・グランプリの初開催は1963年で、メキシコシティ・グランプリと合わせて現在までに25回開催されてきました(※)。舞台となったトラックはすべて、メキシコシティのエルマノス・ロドリゲス・サーキットです(サーキットの名前は変遷しています)。開催期間は1963〜1970年、1986〜1992年、2015〜2025年の大きく3つに分かれていますが(2020年はcovid-19禍により開催されず)、その各々の期間で少しずつレイアウトが異なっていることは面白いです。
各開催期間が7〜10年、しかも開催期間のインターバルは15年あるいは22年と、ほとんどのF1ドライバーとしての人生を超えるほど長いというメキシコ・グランプリ。このためメキシコでドライブせずF1を去るドライバーも結構多く、さすがに複数回優勝しているドライバーも少なくなっています。
そういう意味でもフェルスタッペンの通算5勝という実績は驚異的です。何しろ他にここで4勝または3勝したドライバーすらいない訳ですから、フェルスタッペンの異常とも言える相性の良さが浮かび上がります。通算2勝したドライバーを見てもジム・クラーク(1963、1967年)、ナイジェル・マンセル(1987、1992年)、アラン・プロスト(1988、1990年)、ハミルトン(2016、2019年)と後世にまでその名を轟かすであろうドライバーが並んでいます。
ここまで振り返ると恐るべき事実を目の当たりにしていることに気づくと思います。つまり現時点までにメキシコ・グランプリ(あるいはメキシコシティ・グランプリ)で連勝したことのあるF1ドライバーはフェルスタッペンただ1人なのです。しかも3連勝と2連勝を飾っているという事実が燦然と輝いています。ここはフェルスタッペンのためのグランプリだと言っても決して過言ではないのかもしれません。
(※)F1グランプリとして初めて開催された年。また「メキシコ・グランプリ」と「メキシコシティ・グランプリ」でトロフィーの名前は変わるが、ここでは基本的には同じグランプリを継続しているものとして同列で扱う。
目の覚めるような面白いレースが見たいですね。

