Glass Labyrinth

Glass Labyrinth

僕の視点からF1での Ferrari のレースと Formula1 Grand Prix について書いてみます。

 

第3戦が終わった後、F1が約1ヶ月ぶりに戻ってきました。第4戦はマイアミ・グランプリ。(前期)北米シリーズの幕開けです。最近のF1は北米ラウンドだけでも5戦もあるのは、かつてUSでF1が1戦たりとも開催されなかったことを覚えている時代を知っている人からすると驚きです(例えば1992年〜1999年シーズンの北米ラウンドはカナダの1戦のみでした)。

 

そしてこの空いた時間にレースのレギュレーションが議論され、結果として若干変更されました。今シーズンからICE(内燃エンジン)と電動モーターの出力が50:50の比率するという目論見はさすがに厳しかったようで、ドライバーからもクラシックなファンからも支持は得られず、それどころか前回のレースで危険なシーンも顕在化したということで、モーター側の出力を引き下げることになりました。モーターの比率を高める(より電気自動車に近づく)という触れ込みがなければ興味を示さなかったメーカーがあったため仕方なかったとはいえ、ちょっと意欲的すぎたようですね。でも今回見たレースは、ぼくも昨シーズンまでのレースに近づいたように感じましたし、多くの不満に対してすぐに対応したことも良かったと思います。

 

また話は変わりますが、これは誰も言っていないようなのでせめてぼくだけでも言わせてもらいましょう(言及されている方がいらっしゃったら申し訳ないです)。豪雨回避のための今回の決勝のスタート時間の繰り上げという判断も素晴らしかったと思います。こういう柔軟性が未来のレースシーンでも必要になる場面があると思うので、是非とも今後も必要に応じて的確な判断が下されるようになれば良いなと思います。

 

何かのWebサイトやソーシャルメディアのコメントでは批判や文句こそたちどころに広がる傾向にあり、他のメディアがそれに乗っかって非難の大合唱になる一方、誰かの好判断に対してはまるでそんなことが無かったかのように忘れられてしまうみたいな、一種不公平な感覚がはびこっている様にぼくは感じます。今回の時刻変更に関して、ひどい時は「そのままの時刻のスタートでも良かったじゃん」みたいなことさえ言われたりします。でも、ほんの数分後の天候でさえ予測もできない世の中のほとんどの人には、少なくともこの判断を笑い物にする権利はないはずです。ぼくは現地にいた訳ではないので本来のレーススタート時刻に降雨があったのかどうか知らないのですが、それとはまったく関係なく、リスクを回避したという事実だけを見て、是々非々で、評価するべきところはもっとそうしてもいいんじゃないかと感じます。

 

 

/*・・・Preparation:コースとタイヤ・・・*/

マイアミ・インターナショナル・オートドローム(マイアミガーデンズ)

(Formula 1®から抜粋)

 

コース長:5.412 km

レース距離:308.326 km(57 laps)

特徴:・高速コーナーから低速コーナーまで揃った中高速サーキット

   ・FNLのスタジアムの周辺道路を利用した市街地の特設コース

   ・時計回りの個所と反時計回りの個所が同居する珍しいレイアウト

   ・長短ストレート(全開区間)が3ヶ所あり、オーバーテイクを狙いやすい

   ・主なオーバーテイクポイントはターン1とターン11とターン17

タイヤのコンパウンド:C3〜C5(標準〜軟らかい)

 

 

/*・・・Sprint Qualifying:スプリント予選・・・*/

Top 1 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)

2位 12 K・アントネッリ(メルセデス)

3位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)

4位 16 C・ルクレール(フェラーリ)

5位 3 M・フェルスタッペン(レッドブル)

6位 63 G・ラッセル(メルセデス)

7位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)

8位 43 F・コラピント(アルピーヌ・メルセデス)

9位 6 I・アジャー(レッドブル)

10位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・メルセデス)

11位 5 G・ボルトレート(アウディ)

12位 27 N・ヒュルケンベルグ(アウディ)

13位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)

14位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)

15位 41 A・リンドブラッド(レーシングブルズ・レッドブル)

16位 30 L・ローソン(レーシングブルズ・レッドブル)

17位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)

18位 11 S・ペレス(キャデラック・フェラーリ)

19位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)

20位 77 V・ボッタス(キャデラック・フェラーリ)

21位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)

 

SQ3 Top Time:1:27.869(221.73 km/h)

 

 

/*・・・Sprint:スプリント・・・*/

WIN 1 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)

2位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)

3位 16 C・ルクレール(フェラーリ)

4位 63 G・ラッセル(メルセデス)

5位 3 M・フェルスタッペン(レッドブル)

6位 12 K・アントネッリ(メルセデス)

7位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)

8位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・メルセデス)

9位 6 I・アジャー(レッドブル)

10位 43 F・コラピント(アルピーヌ・メルセデス)

11位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)

12位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)

13位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)

14位 30 L・ローソン(レーシングブルズ・レッドブル)

15位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)

16位 11 S・ペレス(キャデラック・フェラーリ)

17位 18 L・ストロール(アストンマーティン・ホンダ)

18位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)

Ret 77 V・ボッタス(キャデラック・フェラーリ)

Ret 27 N・ヒュルケンベルグ(アウディ)

Ret 41 A・リンドブラッド(レーシングブルズ・レッドブル)

Ret 5 G・ボルトレート(アウディ)

 

Ret:Retire/リタイア。

 

Winner's Time:29:15.045(210.60 km/h)

Fastest Lap Time:1:31.885(212.04 km/h @lap 10)

1 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)

 

 

/*・・・Qualifying:予選・・・*/

PP 12 K・アントネッリ(メルセデス)

2位 3 M・フェルスタッペン(レッドブル)

3位 16 C・ルクレール(フェラーリ)

4位 1 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)

5位 63 G・ラッセル(メルセデス)

6位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)

7位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)

8位 43 F・コラピント(アルピーヌ・メルセデス)

9位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・メルセデス)

10位 27 N・ヒュルケンベルグ(アウディ)

11位 30 L・ローソン(レーシングブルズ・レッドブル)

12位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)

13位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)

14位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)

15位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)

16位 41 A・リンドブラッド(レーシングブルズ・レッドブル)

17位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)

18位 18 L・ストロール(アストンマーティン・ホンダ)

19位 77 V・ボッタス(キャデラック・フェラーリ)

20位 11 S・ペレス(キャデラック・フェラーリ)

21位 5 G・ボルトレート(アウディ)

DQ 6 I・アジャー(レッドブル)

 

DQ:Disqualified/失格。

 

Pole Position Time:1:27.798(221.91 km/h)

Fastest Lap Time Throughout the Weekend:PP Time と同じ

 

 

/*・・・Race:決勝・・・*/

WIN 12 K・アントネッリ(メルセデス)

2位 1 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)

3位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)

4位 63 G・ラッセル(メルセデス)

5位 3 M・フェルスタッペン(レッドブル)

6位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)

7位 43 F・コラピント(アルピーヌ・メルセデス)

8位 16 C・ルクレール(フェラーリ)

9位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)

10位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)

11位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)

12位 5 G・ボルトレート(アウディ)

13位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)

14位 41 A・リンドブラッド(レーシングブルズ・レッドブル)

15位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)

16位 11 S・ペレス(キャデラック・フェラーリ)

17位 18 L・ストロール(アストンマーティン・ホンダ)

18位 77 V・ボッタス(キャデラック・フェラーリ)

Ret 27 N・ヒュルケンベルグ(アウディ)

Ret 30 L・ローソン(レーシングブルズ・レッドブル)

Ret 10 P・ガスリー(アルピーヌ・メルセデス)

Ret 6 I・アジャー(レッドブル)

 

Ret:Retire/リタイア。

 

Winner's Time:1:33:19.273(198.24 km/h)

Fastest Lap Time:1:31.869(212.08 km/h @lap 35)

1 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)

 

 

/*・・・Focus On:混戦・・・*/

優勝はアントネッリでした。これでアントネッリは初優勝からの3連勝。しかもF1を代表する2大巨頭、アイルトン・セナとミハエル・シューマッハ以来となる、初ポールポジション獲得からの3戦連続(グランプリ・)ポールポジション獲得、そして初ポール・トゥ・ウィンから3戦連続ポール・トゥ・ウィンという史上初の離れ業をやってのけてしまったことになります。もはや何が何だか分からない記録のオンパレードです。この記録はどこまで続いてしまうのでしょうか。

 

確かに初優勝のときと比べて、今回のレースは堂々と実力で勝利を掴み取っている様に見えました。シャンハイ(中国)や鈴鹿(日本)では多少運が味方した勝ち方だったのですが、今回はそれらよりも運の要素がグッと小さかったと思います。ただ、相変わらずスタートが良くないですし、レース中にミスもあるので、そういったあたりは成長の余地がありますが、一旦スタートしてしまえば、メルセデスの最強マシンの恩恵もあって手がつけられないくらい速いです。F1はとんでもない才能を開花させてしまったかもしれません。でも、誰にでも必ず逆境がやってきます。その時にアントネッリがどんなレースを見せてくれるのか、そういうところも含めて今後も楽しみな存在です。

 

これに対して、チームメイトのラッセルは4位となり、鈴鹿に続いでまたもポディウムを逃してしまいました。ちょっとアントネッリに水をあけられましたね。まぁ、でも本人もここは得意ではないと公言しているので、次のカナダでどういうドライブを見せてくれるのか楽しみにしておきます。このままアントネッリが突っ走るよりも、複数のドライバーがチャンピオンを争う方が盛り上がらりますからね。

 

2位はノリスでした。3位にはピアストリが入って、4戦目にしてマクラーレンが2チーム目のダブル・ポディウム獲得チームとなりました。スプリントでの1-2フィニッシュを含めて、こんなに早くマクラーレンが復活してくるというのは正直予想外でした。もちろん彼らは鈴鹿でも速かったのですが、開幕2戦目までまともにレースをスタートできなかったチームだったのに、あっという間に優勝を伺う位置まで舞い戻ってきました。恐るべきチームです。

 

ノリスに関しては、最終ラップまでアントネッリを追い詰めましたが、あと1歩届きませんでした。一瞬、アントネッリのアンダーカットに上手く対応したように見えましたが、実際は十分ではありませんでした。ここはトラックのレイアウトを見れば分かるのですが、コース復帰後にすぐ高速コーナーがあってここでは抜かれないのですが、そのコーナー数は少なくてタイヤが温まり切る前にすぐにストレート区間(ICEの全開区間)がやって来ます。そのため、たった1〜2秒のギャップではこの高速コーナー区間ですぐに追いつかれて、結果抜かれやすくなることから実はアンダーカット阻止の難しいコースなのです。もし鈴鹿のように、高速コーナー区間が延々と続いて、オーバーテイクが狙える区間までにタイヤを温めやすいようなトラックであれば、先にタイヤ交換した後続車はピットアウト直後のマシンを容易に追い抜くことはできないんですけどね。

 

5位はフェルスタッペンでしたが、レッドブルが上位争いにカムバックしてきたことももう1つの驚きでした。今回はスタートで意地を張りすぎたのか、トップ争いでスピンして後退してしまったため、これが今回のフェルスタッペンの真の実力を反映した成績ではないのは明らかですが、ではそのスピンがなければどこまで上位に食い込めたのかはとても興味深いです。何せ予選で2位になるくらいマシンの出来が良かった訳ですからね。今回はメルセデスがアップデートをほとんど持ち込んでいないとはいえ、マクラーレンとレッドブルの追い上げが著しく、ここまで混戦の様相を呈するとは正直思っていませんでした。

 

最後にフェラーリ勢はハミルトンが6位、ルクレールが8位と今回の上位3チームに大敗してしまいました。ハミルトンはマシンのセッティングに苦労していた上に、レースでのコラピントとの接触は余計でした。これについてはコラピントを責めることはできず、ハミルトンが目測を誤ってしまったと言えるかもしれません。でも、彼に一瞬でも「フェラーリと戦えるぞ」と思わせてしまったのだとすれば、ちょっとフェラーリは舐められていると言わざるを得ないので、ハミルトンはもっと速さを見つける必要があるでしょう。

 

ルクレールに関しては、彼の名誉のため言えば、途中まではトップあるいはポディウム争いできていたのでそこまで悲観的ではありません。でもファイナルラップでのクラッシュが本当に余計でした。当たりどころが悪ければその場でリタイア(実際は完走扱いの10位)となる可能性もあっただけに、5位を逃したのは残念でしたが、少なくとも4ポイント獲得できたことはまだ良かった方だったと思います。でも本人も反省しているのでこれ以上誰も責める必要はないでしょう。次回に期待しています。

 

 

/*・・・Next Grand Prix:カナダ・・・*/

ジル・ヴィルニューヴ・サーキット(モントリオール)

 

次回はカナダグランプリです。舞台はケベック州のモントリオール、ジル・ヴィルニューヴ・サーキットです。伝統的な半公道トラックでのレースとなります。しかもマイアミに引き続き、スプリント・フォーマットでの開催です。

 

このトラックは、端的に言えば、ストレートをシケインあるいはヘアピンで繋いだシンプルなレイアウトです(ターン1〜2のようにシケインとヘアピンを繋ぎ合わせたような珍しいコーナーもありますが)。ですが、パーマネント・サーキットではなく公道を使用したサーキットということでウォールが非常に近い、またストレート成分が多くてダウンフォースが小さいセッティングが施されるためブレーキングが不安定になりやすい、などといった原因で波乱が起きやすいことでも有名です。1997年には規定周回数に達することなく、近年では珍しくレースが途中で赤旗終了したこともあるという「曰く付きの」トラックでもあります。

 

また今シーズンは、サッカーのワールドカップの影響で5月末開催ということもあって、少し寒くなるんじゃないかとも言われています。この時期は天候も不安定ことがあり、波乱の起きやすい要素がそろっています。是非ともセーフティカーもなく、無事に終わってほしいところですね。

 

それにしても最近はレーススタートが遅くなる傾向が強いです。サマータイムとはいえ、今回も現地時刻4時(25日午前5時(JST))スタートですからね。もちろんマイアミ・グランプリと同じスタート時刻だと言われればそうですが、カナダ・グランプリとしては今までこんなに遅く開催されることはあったでしょうか。

 

全員が無事という前提で、興奮するバトルが見たいものです。

 

 

/*・・・At The End:最後に・・・*/

今回のマイアミを以って現場を離れたピレリのマリオ・イゾラに対しては、本当にお疲れさまでした。ピレリの独占供給となった2011年以降、ドライバーやチームだけでなく、マスコミやらファンからさえも厳しい目を向けられながらも現場を統括するというとても大変な仕事でしたが、最後まで本当にF1に尽力してくれたと思います。次の世界でもがんばってほしいです。

 

そして、本当の最後に。アレッサンドロ・ザナルディについてはとても残念でした。かつてアメリカン・モータースポーツのCARTで活躍していたときの親しみがあるからか、開催地がマイアミだったからか、あるいはF1の親会社の影響からか、CARTで活躍していた際のアレックス・ザナルディという名称で呼ばれていたので、その時の活躍を懐かしく思い出しました。

 

実はザナルディの訃報を受けるほんの2日前に、なぜか「ザ・パス」が見たくなって動画サイトで見返していたところだったので、本当に驚きました。「ザ・パス」とはラグナ・セカの名物コーナーのコークスクリューで、1996年のシリーズ最終戦のファイナルラップにザナルディがブライアン・ハータをオーバーテイクして優勝した、モータースポーツ史上最も有名なバトルの1つです。もちろん、現在のF1の基準に照らし合わせればコース外からのオーバーテイクに該当してしまうので無効となってしまいますが、コークスクリューという世界でも最も難しいコーナーの1つに数えられるポイントで勇敢にもブレーキングを遅らせに遅らせて、コースをはみ出して土埃を巻き上げながらオーバーテイクする姿には感動すらしました。当時ぼくはF1と同様CARTも逐一チェックしていたので、本当にいいものを見たと、しばらくずっと興奮していたのを覚えています。あのようなファイトができる精神力の持ち主だったからこそ、オーバルコースでの不幸な事故の後、パラリンピックに舞台を移して以降も、己の肉体を信じて活躍することができたんだろうなと思います。

 

これからのザナルディが、車椅子や何かの規制に縛られない、もっと自由な旅ができることを祈っています。