F1第13戦はイタリア・グランプリでした。イタリア・グランプリといえばヨーロッパ・ラウンドの終盤。かつてはヨーロッパ・ラウンドが終わればもうシーズンも終わりかという印象がありましたが、近年のF1はまだまだこれからが大変です。
今シーズンについては、イタリアの後にはスペイン、アゼルバイジャン、シンガポールとヨーロッパとアジアでのレースが続き、南北アメリカ・ラウンドも待ち受けています。中東戦はどうなるか分かりませんが、まだ10戦程度は残っていることになります。でもシーズンのこの時点でまだ、今シーズンが何戦で行われるか決まっていないというのは、相当なお金が絡んでいるとはいえ、かなりの異常事態ですね。
/*・・・Preparation:コースとタイヤ・・・*/
アウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァ(モンツァ)
(Formula 1®から抜粋)
コース長:5.793 km
レース距離:306.720 km(53 laps)
特徴:・グランプリ・サーキットの中で平均スピードが最も高い超高速サーキット
・ストレート(全開区間)をコーナーで繋いだシンプルなレイアウト
・長いストレート(全開区間)が4箇所あり、エネルギー・マネジメントが難しい
・PUの出力がラップタイムに与える影響が大きい
・主なオーバーテイクポイントはターン1とターン4
タイヤのコンパウンド:C3〜C5(標準〜軟らかい)
/*・・・Qualifying:予選・・・*/
PP 10 P・ガスリー(アルピーヌ・メルセデス)
2位 63 G・ラッセル(メルセデス)
3位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
4位 16 C・ルクレール(フェラーリ)
5位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)
6位 3 M・フェルスタッペン(レッドブル)
7位 12 K・アントネッリ(メルセデス)
8位 43 F・コラピント(アルピーヌ・メルセデス
9位 1 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
10位 41 A・リンドブラッド(レーシングブルズ・レッドブル)
11位 5 G・ボルトレート(アウディ)
12位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)
13位 27 N・ヒュルケンベルグ(アウディ)
14位 30 L・ローソン(レッドブル)
15位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)
16位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)
17位 22 Y・角田裕毅(レーシングブルズ・レッドブル)
18位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
19位 77 V・ボッタス(キャデラック・フェラーリ)
20位 11 S・ペレス(キャデラック・フェラーリ)
21位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)
22位 18 L・ストロール(アストンマーティン・ホンダ)
Pole Position Time:1:21.786(254.99 km/h)
Fastest Lap Time Throughout the Weekend:PP Time と同じ
/*・・・Race:決勝・・・*/
WIN 12 K・アントネッリ(メルセデス)
2位 63 G・ラッセル(メルセデス)
3位 3 M・フェルスタッペン(レッドブル)
4位 1 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
5位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
6位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)
7位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・メルセデス)
8位 41 A・リンドブラッド(レーシングブルズ・レッドブル)
9位 43 F・コラピント(アルピーヌ・メルセデス)
10位 22 Y・角田裕毅(レーシングブルズ・レッドブル)
11位 5 G・ボルトレート(アウディ)
12位 27 N・ヒュルケンベルグ(アウディ)
13位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)
14位 30 L・ローソン(レッドブル)
15位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)
16位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)
17位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
18位 11 S・ペレス(キャデラック・フェラーリ)
19位 77 V・ボッタス(キャデラック・フェラーリ)
Ret 18 L・ストロール(アストンマーティン・ホンダ)
Ret 14 F・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)
Ret 16 C・ルクレール(フェラーリ)
Ret:Retire/リタイア。
Winner's Time:1:51:15.281(165.42 km/h)
Fastest Lap Time:1:23.504(249.75 km/h @lap 53)
12 K・アントネッリ(メルセデス)
/*・・・Focus On:諦念・・・*/
優勝はアントネッリでした。今シーズン7勝目。イタリア人のイタリア・グランプリ制覇は1966年以来、実に60年ぶりのことだそうです。しかもスターティング・グリッドが19番手からの優勝は史上2番目の記録でした(1位は1983年のアメリカ西グランプリでのジョン・ワトソンの22番手からの優勝)。アントネッリにとっては記録づくめの母国グランプリとなりましたね。
確かにモンツァでのメルセデスの速さは圧倒的なものがありました。ちょっと他のチームが付け入る隙はなかったように思います。まぁ、それでもチームメイトのラッセルとバトルして追い抜いた上での優勝ですから、今回はメルセデスというよりも、アントネッリおよび彼の陣営の勝利と言う方が適切だと思います。こういう圧倒的なレースが見られるとは、正直思ってもみませんでした。
2位はラッセルでした。2番手グリッドからスタートしたのにもかかわらず、最後方グリッド付近からスタートしたチームメイトにコース上でオーバーテイクされた訳ですからから、屈辱以外の何物でもありません。確かに終盤のバーチャルセーフティカー導入はラッセルにとっては不運で、序盤のレッドフラッグによるアントネッリの有利性をさらに増大させました。でも、現状こういうレースしか見せられないとなると、今回のラッセルはアントネッリに完敗したと言っていいでしょう。
ただ、メルセデスに関してこのレースで1つ分からなかったことがあります。それは、なぜ戦略の異なるラッセルとのバトルをアントネッリに許可したのか、です。前回オランダでラッセルは、トップを走るノリス攻略を名目に戦略の異なるアントネッリとバトルすることなく道を譲りましたが、その後もアントネッリはノリスを攻略できないまま周回を重ね、結局順位を譲り返されることはなくそのままの順位でフィニッシュしました。今回ラッセルはその時の「貸し」を返してもらうべきだったのではないか、つまり、彼らの哲学によると2人の戦略が異なるためバトルすることは許されないので、順位をホールドしたままでフィニッシュするべきではなかったのか、ということです。
まぁ、結果的には終盤まで激しいバトルが見られたので良しとする向きが多いと思いますが、もしぼく自身にこういうことが巻き起こったとしたら納得できないですね。でも、この事実に関して論理的な帰結を導くことができるとするならば、それはラッセルが今シーズンのチャンピオンを諦めたということになるでしょう。そういう意味では、正直シーズンのこの時点で、まさかこんな展開になるとはぼくも思っていませんでした。
3位はフェルスタッペンでした。予選では振わなかったのに、レースで盛り返してくるのはさすがフェルスタッペンです。しかも、中盤はメルセデスとバトルしていたり、ぼくが予選までに想像していた以上に好調だったように見えました。でも終盤はやはり厳しかったようで、メルセデスから遅れを取りました。このあたりを修正してくるとより怖い存在になりそうです。
4位はノリス、5位はピアストリのマクラーレン勢でした。今回は彼らのマシンの強みを活かせないトラックだったので、この結果もやむをえないでしょう。ノリスは予選で上手くいかなかったのに、上位からスタートして終盤まで先行していたピアストリに追いつき、最終的には仕留めてしまうのですから大したものです。今回でチャンピオン争いから後退したノリスですが、このまま引き下がっているとは思えない存在です。
また、7位のガスリーも良かったです。ストレートの速さを最大限に利してのポールポジション獲得は度肝を抜かされました。確かにフリー走行から「どうしてこんなに速いんだ」と思っていましたし、予選が始まってからもその速さに陰りが見えませんでした。そしてQ3でも速さを維持して史上109人目のポールシッター。ちなみにガスリーは109人目のグランプリ・ウイナーなので、彼の本当のラッキーナンバーは109なのかもしれませんね。
ちなみに6位はハミルトンでした。チームメイトのルクレールは2ラップすることなくリタイアとなりました。今回のレースについて何か詳しく書く必要はあるでしょうか。本当にどこでレースをしていると思っているのでしょうか。まぁ、ハミルトンに関しては、これがマシンの限界だと思うので仕方ないですかね。こういうコースではもはや諦めの境地です。
一方ルクレールに関しては本当に反省してほしい。本当にぼくは気分が悪いです。まず、彼がスタートで弾き出そうとしたマシンがフェラーリだったという事実は絶対許せないですね。正直言うと、フェラーリの2台交錯だけは勘弁してくれとスタート前に思っていました。それが現実になるなんて信じられません。いくらどんなに頭に血が上っていようとも、フェラーリを押し出そうとするフェラーリ・ドライバーは必要ないと感じました。また2周目のクラッシュもいただけない。ルクレールは彼の迂闊な行動でフェラーリの地元でフェラーリを2台ともスクラップにしようとした訳ですから、彼に関して評価できることは何もないです。今回唯一良かったことはルクレールが無事だったという1点だけで、他にこのレースで彼には何もありませんでした。まぁ、長々書いても仕方ないので、愚痴はこのあたりにしておきます。
/*・・・Next Grand Prix:スペイン・・・*/
マドリンク(マドリード)
(Formula 1®から抜粋)
次回はバック・トゥ・バックでスペイン・グランプリです。舞台はスペインの首都マドリードに最近完成した初開催マドリンクです。初開催のサーキットというのはいつもワクワクするものです。
コース・レイアウトを見た時の個人的な第一印象は、ものすごくコーナー数が多いな、というものでした。しかもジッダ(サウジアラビア)のように全開区間の途中にあるブレーキングを伴わない「なんちゃってコーナー」ではなく、しっかりブレーキングしたり、テクニックを駆使しないとタイムが出ないようなコーナーが多いように感じました。
実際にフェラーリの2人がトラックを軽く流している動画も見ましたが、その時は今は開催されていないロシアのソチのコースのような印象を受けました。やはり半公道コースということもあってウォールの存在感が強く、特に終盤の市街地の区間では直角コーナーの印象が際立ちました。エスケープゾーンも少なく、少しのミスが大事故に直結する確率も大きそうです。
先ほども言及しましたが、5.4 kmのコース長に22ものコーナーが散りばめられているのでコーナーの密度としてはとても高いように感じますが、この裏返しとして、これといった長いストレートがないことは気がかりです。ハンガロリンク(ハンガリー)のようにバトルするのが難しいトラックとなるかもしれません。それでも無理矢理オーバーテイク・ポイントを見つけようとすると、ストレートモードが設置されている全開区間の突き当たりとなるターン5あたりを予測します。ですが、オーバーテイクするには全開区間が少し短いように感じます。現状では結局ターン2からの加速競争になってしまうので、そういう意味では、ターン1、2はなくても良かったんじゃないかなと思います。
また、このコースの目玉であるバンクのついたターン12「ラ・モニュメンタル」も興味深いです。このコーナーの直前が高速区間で、そのままスピードを維持してバンクに突入するF1はとてもダイナミックに見えるでしょう。ただ、F1がこのコーナーでバトルするのは難しいかもしれません。でもここを抜けた先にビッグブレーキング・ポイントがあるので、このターン13でバトルを仕掛けられるかもしれませんね。実際バトルがどうなるかは分かりませんが、少なくともこのセクションでは、予選では迫力あるドライブが見られるんじゃないかなと思います。
/*・・・Glory Memories:スペイン・グランプリ・・・*/
<< 歴代ドライバー >>
6勝 ミハエル・シューマッハ(ドイツ)
6勝 ルイス・ハミルトン(イギリス・イングランド)
4勝 マックス・フェルスタッペン(オランダ)
3勝 ジャッキー・スチュワート(イギリス・スコットランド)
3勝 ナイジェル・マンセル(イギリス・イングランド)
3勝 アラン・プロスト(フランス)
3勝 ミカ・ハッキネン(フィンランド)
<< 現役ドライバー >>
6勝 ルイス・ハミルトン(2014、2017〜2021年)
4勝 マックス・フェルスタッペン(2016、2022〜2024年)
2勝 フェルナンド・アロンソ(2006、2013年)
1勝 オスカー・ピアストリ(2025年)
スペイン・グランプリは、古くは1951年から開催されてきたグランプリです。でも時々まとまった期間(数年〜10数年)開催されていない時期があり、毎年のように開催されてきたという訳ではありません。それでも1986年以降は毎年開催されていて、この間は1度も途切れてはいません。今年で連続41回目となります。
昨シーズンまでのスペイン・グランプリの開催地は5箇所あります。これまでペドラルベス、ハラマ、モンジュイック、ヘレス、バルセロナで開催されてきました。1991年以降はずっとバルセロナで行われてきましたが、今年は6つ目のサーキット、マドリードのマドリンクでの開催となります。
歴代のスペイン・マイスター(通算3勝以上)を見てみると、やはりというべきか、歴代最多勝記録保持者のハミルトンと、ハミルトンが最多勝記録を破ったミハエル・シューマッハがともに6勝と頭1つ抜けています。面白いことに、シューマッハが最多勝記録を破ったアラン・プロストも3勝を記録しています。また、2026年現在のF1の歴代勝利数記録トップ3のハミルトン、シューマッハ、フェルスタッペンが、スペイン・グランプリの勝利数でもトップ3を占めるという事実はとても興味深いです。
スペイン・グランプリは連覇が多いという事実も面白いです。ハミルトンは2017年から5連勝。シューマッハは1994年から2連勝した後に2001年から4連勝。歴代3位で通算4勝を記録するフェルスタッペンは2022年から3連勝。スチュワートは1969年から3連勝。ハッキネンは1998年から3連勝しています。2連勝はシューマッハの他にマンセルやエマーソン・フィッティパルディも記録しています。みなさん過去のF1を彩ってきた偉大なチャンピオンばかりです。
さらに現役ドライバーに目を向ければ、やはりハミルトンとフェルスタッペンの存在感が際立ちます。2016年から2024年までの9年間のスペイン・グランプリは、ハミルトンとフェルスタッペンの2人のみに支配されていたという事実は非常に面白いですね。ちなみに2014年からの11年間まで遡ってみても、ハミルトン、ニコ・ロズベルグ、フェルスタッペンの3人しか勝者がいないという偏向ぶりです。また、最近はすっかり優勝戦線から遠ざかっているアロンソの名前がここで見られるのも良いですね。アロンソは、スペインだけではなく、もっと多くのグランプリで優勝争いに絡んでくるべきドライバーだと思うのですが、現時点ではなんとも残念至極です。
危険のない、それでいて激しいレースが見たいですね。


