2023年 第14戦 イタリアGP | Glass Labyrinth

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僕の視点からF1での Ferrari のレースと Formula1 Grand Prix について書いてみます。

2連戦の2戦目はモンツァでイタリアグランプリでした。これが今シーズン最後のヨーロッパ戦となります。そして、ついにあの記録が更新されました。レッドブル&フェルスタッペン、まさに恐るべしです。

 

 

/*・・・Preparation:コースとタイヤ・・・*/

アウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァ(モンツァ)

(Formula 1®から抜粋)

 

コース長:5.793 km

レース距離:295.134 km(51 laps)

特徴:・F1のトラックの中で最も平均スピードが速い超高速サーキット

   ・4本のストレートをシケインや中高速コーナーで繋いだシンプルなレイアウト

   ・ラップタイムがPUの出力に大きく左右される

   ・低ダウンフォースのためブレーキング時のスタビリティが低く、オーバーテイクが難しい

   ・主なオーバーテイクポイントはターン1とターン4

タイヤのコンパウンド:C3〜C5(やや軟らかい〜とても軟らかい)

 

 

/*・・・Qualifying:予選・・・*/

PP 55 C・サインツ(フェラーリ)

2位 1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

3位 16 C・ルクレール(フェラーリ)

4位 63 G・ラッセル(メルセデス)

5位 11 S・ペレス(レッドブル)

6位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)

7位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)

8位 44 L・ハミルトン(メルセデス)

9位 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)

10位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)

11位 22 角田裕毅(アルファタウリ・レッドブル)

12位 40 L・ローソン(アルファタウリ・レッドブル)

13位 27 N・ヒュルケンベルグ(ハース・フェラーリ)

14位 77 V・ボッタス(アルファロメオ・フェラーリ)

15位 2 L・サージェント(ウィリアムズ・メルセデス)

16位 24 ジォ・G(アルファロメオ・フェラーリ)

17位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)

18位 31 E・オコン(アルピーヌ・ルノー)

19位 20 K・マグヌッセン(ハース・フェラーリ)

20位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)

 

Pole Position Time:1:20.294(259.7 km/h)

Fastest Lap Time Throughout the Weekend:PP Time と同じ

 

 

/*・・・Race:決勝・・・*/

WIN 1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

2位 11 S・ペレス(レッドブル)

3位 55 C・サインツ(フェラーリ)

4位 16 C・ルクレール(フェラーリ)

5位 63 G・ラッセル(メルセデス)

6位 44 L・ハミルトン(メルセデス)

7位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)

8位 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)

9位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)

10位 77 V・ボッタス(アルファロメオ・フェラーリ)

11位 40 L・ローソン(アルファタウリ・レッドブル)

12位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)

13位 2 L・サージェント(ウィリアムズ・メルセデス)

14位 24 ジォ・G(アルファロメオ・フェラーリ)

15位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)

16位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)

17位 27 N・ヒュルケンベルグ(ハース・フェラーリ)

18位 20 K・マグヌッセン(ハース・フェラーリ)

Ret 31 E・オコン(アルピーヌ・ルノー)

DNS 22 角田裕毅(アルファタウリ・レッドブル)

 

Ret:Retire/リタイア。

DNS:Do Not Start/スタートせず。

 

Winner's Time:1:13:41.143(240.3 km/h)

Fastest Lap Time:1:25.072(245.1 km/h @lap 43)

81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)

 

 

/*・・・Scope:New Record・・・*/

優勝はフェルスタッペンでした。これでF1新記録となる個人10連勝を達成しました。10年前セバスチャン・フェテルによって9連勝が打ち立てられた時、これは破られないだろうと思っていましたが、その記録が更新された、つまり歴史が動いた瞬間を見られたのは個人的に嬉しかったです。でも、ぼくが破られないだろうなと思った記録が次々と破られていくシーズンでもありますね。

 

思えばこの10戦、フェルスタッペンはポールポジションからスタートして逃げ切るレースばかりではありませんでした。それどころか、スパ(ベルギー)のようにペナルティで6番グリッドからスタートしたり、ザントフールト(オランダ)のように雨に翻弄されて一時順位を落としたり、モナコのように敵失で救われるレースがあったり、厳しいレースも少なくありませんでした。そしてフェルスタッペンだけでなく、彼を支えるチーム、エンジニア陣やメカニックたちの誰もがこの10戦の間にほんの少しの失敗もなかったということは驚異的だと思います。素直に彼らの功績を評価したいと思います。

 

そして今回それよりももっと印象的だったのが、フェラーリ勢、特にサインツの勇敢なドライブでした。何しろ、今シーズンのグランプリで初めてフェルスタッペンと真っ向勝負した訳ですからね。ここまでの多くの展開としては、せっかくフェルスタッペンの前にポジションしていても、自分のマシンのタイヤを守るためにペースが段違いに速いフェルスタッペンにはほとんど無抵抗に抜かれるというシーンばかりでしたが、今回のサインツはペースの速いフェルスタッペンに対しても臆することなくバトルを挑み、たくさんの見せ場を作ってくれました。

 

ポイントとしては6周目のターン1で、ここでサインツはフェルスタッペンに対して、絶対に前を譲らないという意思表示をしました。中にはさっさと譲ってタイヤを守ったほうが得だという意見もあるとは思いますが、もしそんな「お利口な」手段をとっていたら、このレースはまったく面白くなかったことでしょう。今回は、本来理知的なサインツが本能剥き出しでがむしゃらにポディウムを争ったからこそ真に迫ってくるものがありましたね。結局はサインツがブレーキングでミスして前を譲ることになりましたが、そうでなくてもどのみちアンダーカットされてトップを譲っていたでしょうから、そこまでバトルが見られただけでも個人的には満足でした。

 

ルクレールも、表彰台には届きませんでしたが、面白いレースを見せてくれました。特に長い間レースに関わったり見てきている人の中には、フェラーリはさっさと2人のポジションを固定して安全にゴールを目指して欲しいという意見も多かったように思います。ぼくは、個人的にはそんなことをせず最後まで2人を戦わせたことは良かったし、結果的にとても面白かったと感じます。あくまでも結果論だと言われるかもしれませんが、サインツとルクレールの2人がこれまでレース中に絡んでポイントを失ったということはほとんどなかったですし、そういう意味でぼくはこの2人のプロフェッショナリズムと技量を信じていましたし、どちらが欠けることもなくフィニッシュすると思っていました。ただし、ファイナルラップのターン1だけは少し肝を冷やしましたが、事なきを得たので問題なしということにしておきます。

 

 

/*・・・Best Overtaking:オコン・・・*/

VS マグヌッセン(@lap 33/ターン1)

 

さすがに今回はモンツァということでなかなかオーバーテイク自体が難しく、これと言ったものを選ぶのに腐心しましたが、オコンのオーバーテイクを選びました。このオーバーテイクはスパでの角田に対するオーバーテイクのデジャヴュかと思うような凄みのある一撃だったので、スパに続いてまたここでも選んでしまいました。これは、こう言っては何ですが、非力なルノーPUのためただでさえ少ないチャンスを、オコンの完璧なマシンコントロールでものにした素晴らしいオーバーテイクだったと思います。

 

オーバーテイクで大事なのは、コーナーへの飛び込みで相手にもう抵抗できないと戦意を喪失させること、サブミットさせること。このオーバーテイクのオコンのコーナリングスピードはそうするのに十分以上のものでした。しかも、ターン1のオーバーテイクのセオリーはイン側から抜くことですが、これは数少ないアウトから成功させたオーバーテイクだったと思います。例えば、フェルスタッペンもペレスもノリスもターン1でアウトからトライしていましたが成功させることはできませんでした。ここでアウトから抜くのはそれほど難しいことなのです。それをスパに続きモンツァでもまた成功させたのは正直素晴らしいの一言です。

 


/*・・・Next Battle:シンガポール・・・*/

次回はアジアラウンドの緒戦、シンガポールグランプリです。今や市街地ナイトレースと言えばシンガポールだと言うほどにF1に浸透しましたね。今年も暑く、長いレースとなるのでしょうか。

 

ただ今回トラックの一部が変更され、旧ターン16〜19の4つの直角コーナーがなくなりました。その区間はストレートへと変更されたため、ラップタイムの短縮は当然、タイヤへのストレスも低減すると考えられます。また、この区間にあったクラッシュ多発コーナーとして悪名高いターン18もなくなったので、セーフティカー導入確率も低下すると思われます。距離的には少し短いのでオーバーテイクは難しいかもしれませんが、DRSを導入したらバトルは増えると思います。

 

ぼくは以前から、この区間はなくしたほうが面白いと思うと言い続けてきましたが、今回は暫定的な措置のようで恒久的なものではないようです。来シーズンはまたターン16〜19が復活するかもしれません。ぼくは基本的には、どんなレイアウトでもそれはそのサーキットの持ち味や個性であり、あっていいと思いますし、それを尊重するのですが、この今回なくなった区間は正直見ていても面白味はないですし、こう言っては何ですがトラブルメーカーだったので、永久になくしてくれてもいいかなと感じます。

 

またぼくに、このコースで他の区間に手を入れられる権限があるとしたら、間違いなくターン7を1ブロック延長したいですね。そしてそこから左へターンして現ターン9へとつながるようにしたいです。そうすれば唯一と言われるオーバーテイクポイントへのストレートが長くなりますし、超低速のターン8がなくなるのでトラックがより高速化すると思います。ただ、現地に行くと分かると思うのですが、この新ターン7と現ターン9を結ぶ道が少し狭いので、ぼくの新レイアウトに変えるには工事が必要になるはずです。でも、できれば実現してほしいですね。

 

そしてもう1つの注目ポイントは、もちろんフェルスタッペン&レッドブルの連勝記録です。ここでも勝てばフェルスタッペン11連勝、レッドブル15連勝と、前人未到をさらに突き進んでいくことになります。ただシンガポールは、フェルスタッペンには速さはあるのに勝ったことがなく、運にも見放されることが少し多いように感じるコースなので、もしかすると今シーズン全勝に向けては1つの試練になるかもしれません。まあ、今シーズンここまでのレースを見れば、フェルスタッペンがつまずく画を想像する方が難しいですけどね。

 

セーフティカーも事故もなく、面白いバトルが見られるといいですね。