夫婦とは | 不幸を書こうか幸福を書こうか、それが問題だ

癌の摘出手術後に自宅でほぼ寝たきりの母は癌の他にもたくさん悪いところがある。


 まず、目が悪い。

 緑内障で視野が欠けて、ほぼ見えていない。


 耳が悪い。

 病名はついていないが大声でないと人の言葉が聞き取れない。


 脳梗塞で

高血圧で 

糖尿病で

脊椎管狭窄で足が動かない 。



こんな状態なのに要支援だ。

 ケアマネジャーさんも動いてくれているが今のところ変化はない。 





 身体が病気のみならず、 口も悪い 。





とにかく人の文句か愚痴しか言わない。





さらに、思い込みがはげしく

 食べて良いのはおかゆだけだと思っていたが

 先日、普通のご飯にちかい夕飯を作っていったら、それを食べ、それ以来、少しずつ普通のごはんを食べているようだ。




 そんな母から今日、電話があった。


 家の冷蔵庫に、なぜか生の魚がありそれを私が、持っていったものなのか聞きたかったらしい 。



その電話で気がついた。

 声が元気だ。

 食べているからだ。

きっと、そう。



 やっぱり、ちゃんと食べないと元気が出ない。



 いつもは、声にならない、掠れ声で囁くように話す。

 今日は昔の母のようにはっきり喋っていた。 



で、

 元気になると、愚痴も文句も大きく喋る。




 父に電話を変わると父は 


「 〇〇(←私の名前)が来ると喜ぶからまた来てな 」そう言った。






 不満と愚痴しか言わないのに?喜んでるの?





 父にはわかるんだな。



 機嫌の良い不満と機嫌の悪い不満 。


元気な時の愚痴と元気でない時の愚痴 。


犬の鳴き声でそれが何を求めているのかわかるように一切笑わない母の言葉でも父には、母の気持ちがわかるようである。 





 夫婦ってすごい。 





 ちなみに、冷蔵庫に入っていた魚は私が持っていったものではない。


 なぞのままだ。